梅雨時季、気圧の変化で起こる「天気痛」。悪化しがちなタイプとは?
梅雨入りし、天気が悪い日はどことなく不調かも? そう感じることはありませんか? じつはそれは「天気痛」と言われるものかもしれません。天候不良によって起こる不調の原因と、セルフケアについて愛知医科大学客員教授である佐藤純先生に教えてもらいました。
その体調不良、天気痛かも?天候不良で不調が起こる理由
「天気痛」という言葉を聞いたことはありますか? 天気痛とは天気の影響を受けて悪化する気象病の中で、痛みや気分障害に関するものを指し、愛知医科大学客員教授である佐藤純先生が名づけた病態のことです。この天気痛は長年、天気との因果関係がはっきりとわかっておらず、「気のせいだ」「怠けているだけだ」と片づけられてしまい、患者さんの多くは我慢するしか対処法がありませんでした。
しかし、体調不良の原因が天気の変化であると解明されたのです。
●原因不明の不調、じつは「天気痛」かも?主な症状
近年、天気が私たちの体に深く影響していることがわかってきており、天気の変化に応じて体調が左右されることがあります。その体調の変化に悩まされている人は、1000万人以上とも言われています。そのため、原因不明の頭痛や耳鳴り、めまい、だるさ、さまざまな部位の痛みなどがある場合は、天気が引き金となっている可能性もあるのです。
天気痛の症状は、頭痛や関節痛、古傷が痛む疼痛症状、肩こりや首こり、耳鳴りなどの身体症状のほか、不眠やうつといった精神症状など、多岐にわたります。こうした症状を併発する人もいれば、頭痛だけが起こるなど、症状の現れ方や程度は人それぞれなのです。
●敏感な人は、晴天の日でも不調が起こる?
天気痛の主な原因は、気圧です。気圧といっても、気圧の低さよりも気圧の変化がカギを握っています。気圧の変動が大きいとき、天気が崩れ始めるとき、天気が回復するときは、大きな気圧変化が起こりやすいタイミングなので、注意が必要になります。
また、最近の研究によって、天気痛は大きな気圧変化のときだけでなく、小さなスケールの気圧変化(微気圧変動)によっても起こることがわかってきました。微気圧変動の気圧変化幅は1ヘクトパスカル以下と小さく、継続時間も数分から数十分と短いのですが、発生すると1日に何度も押し寄せてきて、晴天の日でも起こることがあります。そのため、気圧変化に敏感な人は天気が良い日でも、天気痛を感じ取ってしまうことがあるのです。
さらに、大気潮汐(昼間に太陽光で大気が暖められることや、日没後に大気が冷やされることによって起こる周期的な気圧変化)による気圧変化を受けやすい人もいます。毎日決まった時間(3時、9時、15時、21時ごろ)に天気痛の症状が出やすい人は、大気潮汐を感じ取っているかもしれないのです。
そもそも天気痛は、自律神経が乱れている人や、気圧の変化を感じ取る内耳が敏感すぎる人に起こりやすい症状です。天気痛であることを自覚しないまま放置すると、痛みはさらに悪化していきます。すると、自律神経がうまく働かなくなり、その痛みはさらに高まるという負のスパイラルに陥っていまうのです。そのため、適切なセルフケアを行い、天気痛による痛みなど緩和させる必要があるのです。
天気痛のセルフケアで、もう不調も怖くない
佐藤先生が診察を行う愛知医科大学病院には、日本初の「気象病外来・天気痛外来」があり、そこには毎日のように天気による不調に悩む患者さんが多く訪れています。
では、そこで先生が患者さんにおすすめしているセルフケアのひとつ「ツボ押し」を教えてもらいました。
●天気痛に効くツボ押しのやり方
耳の後ろにある乳様突起という出っぱった骨の近くにある「頭竅陰(あたまきょういん)」「完骨(かんこつ)」「翳風(えいふう)」の3つのツボに人さし指の腹を当て、それぞれ5〜6秒間ずつ適度な強さで押す。3〜5回くり返す。
(1) 1つのツボは1回に5〜6秒間、3〜5回押す
ツボに指の腹(押しやすい指でOK)を押し当て、ゆっくりと5〜6秒間押して、ゆっくりとゆるめる。これを1つのツボに対して3〜5回くり返す。
(2) 息を吐きながら押し、吸いながら力を抜く
ツボを押すときはお腹からゆっくり息を吐きながら行い、ゆるめる(力を抜く)ときはお腹に向かってゆっくり息を吸いながら行う。
(3) 押してズキッと痛むところを探す
ツボの正しいポイントがわからないときは、押してみてズキッと響くような痛みがあるところを探す。押しながら少しずらして周辺を探してみよう。
(4) 不調が右側のときは右、左側のときは左
ツボは右は右側と、左は左側と連動しているので、頭痛やひざ痛など、症状が体の右にあるときは右側を、症状が体の左にあるときは左側を刺激しよう。
(5) 強く刺激しすぎない
ツボを押したあとに強い痛みが出るのは、やりすぎ。交感神経を刺激してしまっているので、ゆっくりとした優しい刺激に変えて、痛みを和らげて。