施設に入所した70代の母が住んでいた実家を片づけた、ライフオーガナイザーの尾花美奈子さん(40代)。クローゼットに詰め込まれていた「着ていない服」を、尾花さんの10代の娘たちがリユース。世代を超えて祖母の服が孫に受け継がれたエピソードを教えてくれました。

70代母の「昭和ファッション」がレトロかわいい。不要な服を10代娘がリユース

去年の12月、70代半ばの母が施設へ入居することになりました。その際、施設の部屋のクローゼットがとても狭いため、衣類は最低限しか持って行けませんでした。残った大量の服はその後どうなったのか。後日談としてお話したいと思います。

<写真>祖母の服を10代の孫が着こなす!

 

●もうだれも着ない?もったいないけれど処分?というジレンマ

母の服をチェックしながら整理をしていると、あることに気づきました。
・年齢を重ねてサイズやデザインが合わなくなった服
・敏感になった肌には肌ざわりが優しくない服
・介護の点からは不向きな前開きではない服
など、仮に施設のクローゼットが広くなったとしても「これから着ることはない」と思える服がたくさんありました。

もったいないけれど、もう処分するしかないのかとジレンマを感じていたとき、以前見たテレビ番組のことをふと思い出しました。

●昭和ファッションが人気!若い世代が祖父母の昔の服をほしがる

それは昭和時代を知らない若い世代で「昭和レトロ」が流行っているという内容の番組でした。昭和時代の古い家屋、いわゆる古民家をリフォームしてカフェなどや自分たちの住まいにすることが人気なことは知っていましたが、ファッションにおいても昭和時代の服が人気だそうです。祖父母や両親のタンスの中から昔の服を探し、「オシャレ」「かわいい」と言って喜んでもらってくるのだとか。

昭和生まれ・40代後半の私から見れば、「懐かしい」「昔そういう服を着ていた」と感じる服が、10代、20代の若い世代にはそういったノスタルジックさはなく、むしろ最近の服では見られないデザインが新鮮に感じられて人気となっているらしいです。

●母の昔の服を娘たちが喜んで着てくれた

「もしかしたらわが家の娘たちも着たがるかも?」
さっそくどんな昭和ファッションが今また流行っているのかを調べ、母が今後着ないであろう服の中からそれに近い服を持ち帰りました。娘たちに見せたところ「かわいい!」と大喜び。私から見れば奇抜なデザインの服もあったのでかなり意外な反応でした。

心配だったサイズについては高校生の娘はそのままでちょうどよく、小6の娘には7分袖や半袖、サイズ調整ができるブラウンジングブラウスが着られました。

祖母から孫へ。コロナ禍の今、服を通して家族がつながる

 

母の服を着た娘たちの写真を母に送ったところ「最近の流行りにはついていけない」と驚いていましたが、その言葉からはうれしそうにしている様子も伝わってきて、ほっとしました。コロナ禍でなかなか面会に行けず離れて暮らしていますが、母の服を通して繋がることができたように感じています。

●求められるのは「今ある物を生かす」という精神

母の服を手にしていて気づいたことは、昔の服はボタンや生地が最近の服より質がよく、縫製もしっかりしていることでした。決して高い服ではなくむしろリーズナブルな価格帯の服だと思うのですが、それでも明らかにしっかりしたつくりで、古いにも関わらず型崩れもおこしていませんでした。

そういうことも「ただ処分してしまうのはもったいない」と思う理由になり、娘たちが喜んで着てくれることに感謝をしています。古いものが必ずしも悪いものとは限らず、今あるものを生かして大切に使うという精神は、これからの時代にこそ必要なのではないかと思います。