【越前庵 チョコミント胡麻どう

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これまでにない斬新な「胡麻どうふ」に、大きな注目が集まっている。食品メーカー・ふじや食品(福井県越前市)が発売した「越前庵 チョコミント胡麻どうふ」だ。

ツイッターでは、「どんな味なんだ......!!」「オカズなのかデザートなのか」などと話題になっている。J-CASTニュースは2022年6月9日、商品企画開発室の担当者に開発経緯を取材した。

そもそも「胡麻どうふ」とは

22年5月1日に発売された。夏限定の商品で、8月末までの販売を予定している。チョコレートのほど良い香りとミントの爽快感を売りとする。

開発したふじや食品は、1953年に創業し玉子どうふや茶わんむしなどのチルド食品を製造している。なぜ胡麻どうふを、チョコミント味にしたのか。商品企画開発室の中島靖浩さんは、その経緯や狙いを次のように説明する。

そもそも胡麻どうふは、豆からつくられた豆腐とは全くの別物。ねり胡麻をくず粉で固めたもので、精進料理としても知られている。同社の地元・福井県にある永平寺家では、修行僧達たちが禅修行の貴重なタンパク源として食してきたと伝えられる。一方で、家庭料理としては馴染みの薄いものだった。

ふじや食品は、ヘルシーでありながら胡麻の豊富な栄養を含む、胡麻どうふの魅力を全国の家庭に広めたいと考えている。そのきっかけづくりとして18年9月、「くるみ胡麻どうふ」発売。この商品が好評だったことを受け、さまざまなスイーツ系胡麻どうふを展開した。

今年の夏はチョコミント味を開発した。好き嫌いがはっきり分かれるフレーバーであるものの、夏らしさがあり、好きな人には話題にしてもらえるという確信があったのだという。ターゲットは性別年齢問わず、チョコミントをこよなく愛する、いわゆる「チョコミン党」の人々だ。

「開発に疑問の声もある中で、弊社開発チームだけでなく、役員にもチョコミント好きが少なからずいたことで発売への後押しとなりました」

担当者、開発を通して「チョコミント」嫌いを克服

チョコミントは好き嫌いがはっきりと分かれる味だ。社内では「常に新しいフレーバーにチャレンジするのはよい」「話題性、インパクトがありおもしろい」など肯定的な声があった一方で、「ニッチなフレーバーにチャレンジする必要性があるのか疑問」「いわゆる歯磨き粉の味」「絶対売れない」という否定的な意見も多数あったという。

実は、中島さんもチョコミントが苦手だったのだそうだ。

「私自身もチョコミントは苦手だったので、試作品を毎回試食するのが苦痛でしたが、何度も何度も食べているうちに苦手を克服し、いまやチョコミン党員です」

工夫したのは食感や、チョコとミントと胡麻の風味のバランス。胡麻どうふに用いられる「ねり白胡麻」は、スイーツとしても濃厚感や複雑な味わいをほど良く醸し出すのだという。上品で優しい風味があるため、コクだしとして料理の隠し味にも適しているそうだ。

「『チョコとミントと胡麻・・・本当に合うの?』と面食らうのはごもっともですが、ゲテモノ的な商品ではなく、『ちゃんと美味しい』を目指して真面目に作った商品なので安心してお試しください」

豆腐などの副菜と一緒に売り場に並ぶことが多いが、食後のデザートやティータイムで食べることを想定している。一般的なスイーツよりもカロリーが低いのも魅力だという。

「ここまで反響が大きくなることは想定外」

チョコミント胡麻どうふは発売1か月で、ふじや食品が目標としていた約1.5倍の売り上げを記録した。同社には「どこで販売していますか?」という問い合わせが日に日に増えているという。1日に製造できる数が限られていることもあり、今や「ご注文にこたえられなくなるのではないか」という心配もしている。

「アイスクリームやお菓子ではチョコミント味は今や夏の定番となっていますが、胡麻どうふはそこまで大きなカテゴリーではないので、ある程度の反響は期待していましたが、ここまで反響が大きくなることは想定外で、これだけ話題にしていただきありがたく思っています」

ツイッターでも大きな注目を集めており、マンガ「ラブやん」「アルプス伝説」などで知られる漫画家・田丸浩史さんも「ワイはついていけるだろうか、この世界のスピードに」などと、商品の斬新さに驚くようなをツイートしている。

ふじや食品はこれまでに、アーモンド、よもぎ、さくら、モンブラン、ショコラ、ミルク、バナナなどのスイーツ系胡麻どうふを販売している。中島さんは、「『チョコミント胡麻どうふ』をきっかけに、シリーズの他の製品や、ベーシックな胡麻どうふにも興味をもっていただけたら大変嬉しいです。次の新フレーバーにも期待していてください」と述べた。

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)