くしゃみで尿もれ、四十肩。年齢による下半身や体の悩みと対処法
30代後半〜40代は体の曲がり角。「尿もれ」や「四十肩」など、人には恥ずかしくていいにくい悩みを抱える年齢でもあります。不調の正体を知り、早めに対策を! 産婦人科専門医の高尾美穂先生に伺いました。
大人女性の悩みに?「尿もれ」「骨盤臓器脱」の原因
「くしゃみをするともれることがある」のは尿もれかも。「お風呂で体を洗っていると、下半身に違和感がある」のは骨盤臓器脱かもしれません。
●筋肉量の低下や出産が原因
恥ずかしくて人に相談しづらい下半身のトラブル。閉経前後になると、骨盤臓器脱や尿もれなどに悩む人が増えます。
「更年期は加齢に加え、エストロゲンの減少によって筋肉や皮下組織の衰えが始まるタイミング。そのため、骨盤の底にあり骨盤内の臓器を支えていた骨盤底筋がゆるみ、尿もれや骨盤臓器脱など下半身のトラブルの原因になります。また、経腟分娩の経験がある人はとくにゆるみやすいので注意が必要です」(高尾先生)
下半身のトラブルを減らすには、骨盤底筋に負担をかけない生活が大切だと言います。
「適正体重を保つ、排便時にいきまないなど、体の使い方を意識して生活しましょう。気になる場合は婦人科や泌尿器科に相談を」
●骨盤底のゆるみ度チェックリスト
経腟分娩の経験があり、かつ回数が多いほど骨盤底に影響が。下記に1つでも当てはまれば、骨盤底がゆるんでいるかも。
・くしゃみをすると、少し尿もれしたり、おならが出てしまうことがある
・運動やストレッチをしていると、腟から空気が出るのを感じる
・なにかの拍子に、腟から空気が出て音が鳴ったことがある
・お風呂から出たあとに、腟から水が出てくることがある
・イスに座ったときに、座面になにかが当たったような違和感を覚えたことがある
・自転車のサドルが当たる部分に違和感がある
・夕方になると、股間に異物感があることがある
参考:『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】』(世界文化社刊)
「尿もれ」はこんな症状
くしゃみなど腹圧をかけたときに、意思とは関係なく尿が出てしまうのが尿もれ。
「出産や加齢などの影響による骨盤底のゆるみが原因。40代以降の女性の44%に尿もれの経験があるというデータもあります」
●対処法
頻度や1回の量が多い場合は治療のサイン
「1日に何回も尿もれがある、1回の量が多い場合は治療のサイン。それ以外は骨盤底のゆるみを防ぐ、骨盤底筋を刺激する運動を3か月以上続けてみましょう」
「骨盤臓器脱」はこんな症状
骨盤底に収まっている臓器が腟口から飛び出てくる状態。
「膀胱脱、直腸脱、子宮脱の順で頻度が高く、複数の臓器が落ちてくる場合も。とくに夕方になると、股間のあたりに違和感や異物感を覚えます」
●対処法
排便時にいきむ、くしゃみなど腹圧をかけないように心がける
症状に応じて、手術や保存的治療などが行われます。
「予防法は骨盤底筋を鍛えるヨガのほか、適正体重を保つ、排便時にいきまないなど腹圧をかけない生活を心がけましょう」
骨盤臓器脱・尿もれ対策に「フロッグライズ」
骨盤内の臓器を正しい位置に保つ骨盤底筋。意識しづらい骨盤底筋を強化するヨガのポーズで、下半身のトラブルを予防しましょう
(1) 肩幅より広めに足を開いて立つ。上体を前に倒して背中を丸め、足の親指を手の人さし指と中指ではさんで握る。
(2) 息を吐きながらお尻を突き出すようにひざを伸ばし、視線を正面にして10秒キープ。キツい人はひざに手を置いても。
「四十肩」を感じたら…?
「下着を着けようとしたら、肩がビキッ!」は四十肩かも。
●痛みがあるときは動かさず、病院へ
腕を上げると痛いなど、40代で起こる肩の痛みが四十肩。
「四十肩は肩回りの軟骨の減りや、肩関節周囲の筋肉の動きが悪くなり、こりとなって痛みを感じることが原因です。腕を上げるなど、日常生活で肩関節を使う動作が少ないと症状が起きやすくなります。痛みが強い場合は無理に動かさずに、整形外科などで相談をしましょう」(高尾先生)
Q:予防法は?
A:生活のなかで意識して肩関節を動かしましょう
「日常生活では腕を上げる動作が少なく、洗濯物を干す、上にあるものを取る、つり革をつかむ程度です。普段から腕を上げる、肩を回すなど肩関節を動かしましょう」
Q:肩こりだと四十肩になりやすい?
A:ひどい肩こりは四十肩の一種です
「ひどい肩こりも四十肩の症状のひとつです。肩関節回りの筋肉の動きが悪くなると、重い肩こりの原因に。痛みが強くなければ、肩を大きく回すなど動かして対策を」