ペットの柴犬の写真をツイッターに投稿し続け、その自然体のかわいさが人気となっている@inu_10kg。ESSEonlineでは、飼い主で写真家の北田瑞絵さんが、「犬」と家族の日々をつづっていきます。第47回は、犬の誕生日の出来事についてご紹介します。

5月7日は犬の誕生日

1年間でもっとも祝福する日、それは犬の誕生日。2022年5月7日犬が8歳の誕生日を迎えた。

今年は5月7日が犬の誕生日、そして翌日8日は第一日曜で母の日だった。2日にわたって祝い事が続いた。

写っているのは犬に贈った犬用バースデーケーキと母に贈ったカーネーション。前日に準備し、どちらも生ものなので新鮮なうちにと渡した。

7日朝、本日のバースデーボーイこと犬といつも通り散歩に行って帰ってくると、ケーキを冷蔵庫から取り出した。母が「8歳のお誕生日おめでとう!」と言ってケーキを差し出すと、犬は目を爛々と輝かせてさっそくぺろんと舐めた。

犬はケーキにかぶりついたりせず、外側を懸命に舐めるので、スポンジも合わせて食べてもらおうと一口サイズに切って食べさせる。

その食いつきが強烈なのだ。ガブッ! と食いつき、ムシャッ! と咀嚼し、ペロッ! と口周りについたクリームを舐めれば、さあさあ次の一口ちょうだいやと鼻の穴を膨らませている。「ちょっと待って〜」と母のフォークが追いつかない。

「そんなに喜んでくれたならよかったよ」そう私は毎年同じことを言ってるけれど、犬の食いっぷりを見たら飽きもせず言ってしまうのだった。

ピンクのカーネーションが柴犬を模した鉢植えに入っていて、かわいいもの好きな母が喜んでくれたのもよかった。中にはつぼみもあったけれど後日花が咲いた。

犬と一緒に柿畑へお出かけ

ケーキを半分残して食べ終えると、犬も一緒に柿畑へ出かけた。5月は摘蕾(てきらい)の作業である。畑で犬は現場監督のようにじっと見守っていたり、かと思えば土を掘り始めたり、気づけば脱力して眠っていたり、風の吹くまま気の向くままにお過ごしだ。

母が犬の隣に腰かけて休憩しているときに、名前を呼んで「8歳になったんかぁ」と感慨深そうに呟いた。

そして「もうすっかり家族になった感じがする」と犬の背中を撫でた。私は母の言葉を反芻しながら頷いた。最初から家族だったのではなく流れる時間のなかで家族になっていく。

夕方になって妹がお祝いに駆けつけた。なんだかGW明けでやつれていて「犬に癒されたい」と覇気なく言った。犬は妹を見ると柴ドリルで活気よく迎えた! これは遊ぶための準備運動である。たった今もう癒されたのでは?

犬の誕生日やし母の日前祝いやし妹帰ってきたし晩ごはんは手巻き寿司。そぼろとアボカドの組み合わせがうまかった。もちろん食事の前には、妹も加えてあらためて誕生日のお祝いをした。お祝いなんてなんぼしてもええのが家訓。

朝半分残しておいたケーキにろうそくを立て、母と妹とハッピーバースデーを合唱した。音程の外れたハッピーバースデー。この瞬間、うちが西日本でもっとも平和な光景だったかもしれへん。

犬の名前を呼んで歌い終えれば、妹がろうそくの火を消して、みんなで「おめでと〜!」と言い合って拍手を贈った。犬はもう食べてええんか? といった感じで、ふたたびケーキに夢中になった。

「やっぱり妹がいたら犬もさらに嬉しそうやなぁ」と母が笑った。犬がみんなに祝福されてよかったし、祝福できるみんなもおめでとうだ。

8歳も走って遊んで食べて眠っていい感じの棒見っけてよ、心身ともに健康でいてください。