10月に栃木県で開催される国体と全国障がい者スポーツ大会の注目選手・競技を紹介する特集「一期一会」です。今回は剣道少年男子、国体に出場に向けて栃木県代表を目指す高校生剣士を取材しました。

竹刀と竹刀が触れる音、床を踏み込んだ足音が場内に響き渡ります。国体で剣道の会場となる宇都宮市の栃木県総合運動公園内にあるユウケイ武道館では大型連休中の5月3日から5日まで関東地域などの強豪高校が集まり強化試合が行われました。

栃木県内からは剣道男子の重点強化拠点校、佐野日大高校などから9人の選手が参加しました。国体の剣道少年男子は5人の団体戦。栃木県代表入りを目指し選手たちは熱が入ります。

佐野日大高校剣道部主将、増森勇輝選手。リーダーシップはもちろん、スピードや技の切れといった攻撃的なプレースタイルでチームに流れを与えます。

増森選手:「先鋒、次鋒という前のポジションなのでがつがついって、自分が1本取ってチームを勝たせるという気持ちでやっています」

副主将の土井 康た選手。高校では団体戦で大将を務め、183センチの長身を生かした堂々としたプレースタイルで落ち着いた試合運びが持ち味です。

土井選手:「身長がでかいので堂々とやるっていうところが自分のプレースタイルです。身長を生かして相手を攻め崩して飛び込み面で取るのが得意技です」

そして地元・壬生中学校出身の藤田将人選手。打突のスピード、精度、身体的、技術的な面で全国でもトップレベルの剣技で相手をねじ伏せます。

藤田選手:「あまり小技が得意ではないんですけど、得意じゃないから大技をいかにどこで使うかを意識して剣道しています。得意技は相手を追い込んでいっての面です」

3人は部活だけでなくクラスも一緒です。

増森選手:「勉強で分からないところを教え合ったりとかクラスでも剣道の話しが多い。自分たちの剣道ではなく大人のこの選手がいいなとかそういう話しが多い」

試合後に選手たちがスマートフォンである映像を入念にチェックしていました。

増森選手:「自分のさっきの試合を見てどこが悪かったのかとか、いいところを見つけて、それを次の試合に生かす。攻め切れていない部分があって相手とかみ合っていないからそれで1本が取れていない」

チームメートが「試合の撮影」というバックアップで個々のそしてチーム全体の成長を後押します。さらに剣道部の指導に当たっている監督の大関利治さんが選手たちを鼓舞します。

大関監督:「持っている技で勝負しなくてはいけない。自分の今できることで今できることを出し切ったなかで勝負」

とちぎ国体では剣道少年男子の監督を務める大関さんは自身も高校時代に国体に出場していて、その経験を選手たちに伝えています。今の3年生は入学した時からコロナの影響で対外試合がほとんどできませんでした。

大関監督:「動き自体は悪くないと思います。良くなってきていますし最終的には精神力あるいは心技一体の心の部分の強化・充実が勝負の鍵になってくる」

佐野日大剣道部が掲げる「不屈不撓」の精神で42年ぶりの地元開催、とちぎ国体への挑戦は続きます。

大関監督:「選手たちの目標や夢、国体優勝の気持ちが強いと思うので同じ目標をもって達成したい」

藤田選手:「力をもっと身につけて国体で今までで一番いい剣道ができるようにしたい」

土井選手:「国体ではどのポジションになるか分からないが、自分がチームを鼓舞する。チームの勢いをつける気持ちで試合をしたい」

増森選手:「国体ではもちろん優勝を目指して自分が出るなら先鋒というポジションだと思うので前の方で出たなら自分が取ってチームを勝たせる。そういう試合展開ができたらいい」