サヨナラ二塁打を放ち、チームメイトから祝福される二松学舎大付の岩崎遥斗【写真:中戸川知世】

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春季高校野球東京都大会・準決勝

 高校野球の春季東京都大会は23日に準決勝(スリーボンドスタジアム八王子)が行われ、今春センバツ出場の二松学舎大付が6-5の9回サヨナラ勝ちで日大三を下し、2016年以来6年ぶりの決勝進出を果たした。殊勲の一打を放った4番の岩崎遥斗内野手(3年)はOBで米大リーグ・カブスで活躍する鈴木誠也外野手から大いに刺激を受けていると明かした。24日の決勝では関東第一と対戦する。

 ビハインドでも最後まで諦めない。二松学舎大付が気持ちで勝った。2-1と1点リードの5回、先発左腕の辻大雅(3年)が日大三の4番・朝倉大聖(3年)に逆転の満塁本塁打を被弾。2-5と逆転を許し、流れが大きく相手に傾いたが、守備を終えて戻ってきたナインに市原勝人監督は「攻めではなく、守れ」の指示を出した。

「9回までに3点差を2点差にして、それで9回勝負。それ以上突き放されたらお前たちの負けだと。しっかり守っていれば、そのうち(流れが)こっちに来る」

 春夏合わせて8度の甲子園を経験している指揮官の期待に、選手たちが応えた。6回以降は毎回走者を出しながらも無失点で切り抜けると、8回1死満塁のチャンスで途中出場の柴田怜英(3年)が左翼フェンス直撃の3点二塁打。一気に追いつき、9回2死二塁から岩崎が右中間へサヨナラ二塁打を放って勝負を決めた。

 控え選手だった背番号12の岩崎はこの日、主将・小林幸男内野手(3年)が右肩を脱臼したことで4番に抜擢された。同点打の柴田も背番号は「13」。勝利に貢献した2人に市原監督は「チャンスが数少ない中、諦めず粘り強く日々の練習をやっている成果だと思う。真面目にやっている子は打つよなという感じ」と目を細めた。

鈴木誠也から刺激の岩崎「アメリカという慣れない地で…」

 海の向こうのOBから刺激を受けている。今季からカブスに移籍した鈴木誠也は、早くもナ・リーグの週間MVPに選出されるなど活躍中。市原監督からも鈴木の高校時代の話をよく教えられている岩崎は、打撃フォームも鈴木が教材。低いライナーを打つイメージを持ち、徹底してトップの位置を高く持つよう心がけている。

「誠也さんはアメリカという慣れない地で、チームのことを第一に考えてやっている。自分よりチームの勝ちを優先してやっているからこそああいう結果が出ていると思う」

 センバツ出場したチームだが、新型コロナウイルスの陽性者が出た影響もあり、今大会の初戦・実践学園戦はコールド負け寸前から18-10で逆転勝利。ヒヤヒヤの滑り出しから、決勝まで勝ち進んできた。市原監督は「初戦の苦しみを乗り越えたのが財産になっている。(決勝は)気後れしないように、気迫では負けないように」と力を込めた。

(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)