男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。

出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。

-あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?

誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。

さて、今週の質問【Q】は?

▶前回:どんなに盛り上がっていても、22時半になると帰る女。女がその時間に男を置いて去る理由は…




結奈と再会したのは、地元で開催された、少人数のプチ同窓会だった。

地元は横浜なので頻繁に帰ってはいたものの、高校の集まりにはほぼ出席していなくて、実に8年前ぶりに参加したのだ。

“みんなどんな感じになったのかなぁ”と思いながら個室の扉を開けると、まず小松結奈が目に入った。

「あれ?小松?」
「橘くん?久しぶりだね〜」

久しぶりに会う結奈は相変わらず可愛くて、僕は不覚にもときめいてしまった。

そしてお互い東京に住んでいる独身同士ということもあり、個人的に会うようになったのだ。


久しぶりの再会にときめく男女…。だけどそこに待ち受けていた試練とは


Q1:久しぶりの再会で、女が思っていたことは?


年末に開催された同窓会以降、年明けに東京に戻ってきてからも、僕たちは連絡を取り合っていた。

そして仕事が始まって初めての金曜日。急に時間が空いてしまった僕は、結奈に連絡をしてみた。

― 恭平:小松、急なんだけど今夜空いてたりしない?一杯どうかなと思って!


さすがに金曜だからダメかなとも思ったが、結奈からはすぐに返信が来た。

― 結奈:私もちょうど、飲みたいなぁと思っていたところ!飲もう♡どこにする?


フットワークの軽さが素晴らしい。連絡をして約1時間後、僕たちは恵比寿で合流した。

「小松、ごめんね急に」
「ううん。橘くんからの連絡だったら嬉しいから♡」

― え?どういう意味…?

この日は寒かったせいか、恵比寿駅西口はいつもより人が少ない。冷静なふりをしながら、その言葉の意味を考えてしまう。

「どこ行こうか」
「ご飯はもう食べた?飲むなら好きなお店があるんだけど、そことかどうかな?」
「いいね、行こう!」

こうして、僕たちは結奈の行きつけだという『ピットフォール』へ入ったのだ。




「さすが、いい店知ってるね。初めて来たよ」
「家が近くて。みんないい人たちだし、おすすめのお店だよ」

そう言われても、エントランスでインターホンでの認証が必要な店をサラリと普段使いしている結奈に、少しだけ怖気づいてしまった自分がいる。

だがそんなこと、今はどうでもいい。

「小松と2人で飲むことになるなんて、不思議だなぁ」

高校時代から、結奈は可愛くて有名だった。しかも当時は校内でも有名なイケメンの先輩と付き合っていて、完全に高嶺の花だったのだ。

「そんなこと言うなら、橘くんのほうこそ。バレンタインとかすごかったイメージがあるけどなぁ」
「そうかな?」
「そうだよ。橘くん見るために、サッカー部の練習場の周りは常に女の子が群がっていたじゃん。でも2年の時から付き合い始めた彼女が怖くて、結局誰も近づけなくなったみたいだけど(笑)」
「あったね〜そんなことも」

学生時代の話は、なんだか照れる。社会人になって、早6年。28歳になった僕たちは、もうすっかり大人だ。

でもあの頃、僕たちは素直だったと思う。相手のステイタスなんか関係なく、ただ好きか嫌いかで恋愛をしていた頃。

だからこそ、学生時代の知り合いは特別だ。結奈と話していると、懐かしくて穏やかな時間が流れていく。

「ってかさ、苗字で呼ぶのやめない?なんか他人行儀というか…」
「そうだよね、私もそれ思っていた(笑)。じゃあ恭平くん」
「僕の名前、よく覚えてたね」
「当たり前だよ〜。橘くん…じゃなかった、恭平くんは校内の有名人だったから」

さっきから、結奈はキラキラとした眼差しを僕に向けてくれている。

たしかに学生時代僕はモテてはいたと思うが、そんなことを覚えていてくれたのかと思うとただただ、嬉しい。

「よく言うよ。結奈のほうこそ」

青春時代の甘酸っぱい記憶が、蘇ってくる。昔話に花も咲いた。

だが大人になった僕たちはこのあともう1軒だけ行き、何もせずに解散した。

「じゃあ、またね」
「うん、また…。ねぇ恭平くん、来週は忙しい?」
「来週?暇だけど」
「じゃあまたご飯行かない?」

まさかの結奈からの誘い。向こうから誘ってくれるとは思ってもいなかったので、動揺しながらも大きく頷く。

― 同窓会、参加して良かった〜!!

しかしもう一度食事へ行った後、結奈は急に冷たくなったのだ。


久しぶりの再会に燃え上がったはずなのに…。女が急に冷たくなったワケ


Q2:女が“次はみんなで”と言った理由は?


二度目のデートは、どういうお店が好きかリサーチするため、結奈のInstagramを見てみることにした。

しかし見た途端に、僕は後悔することになる。

「うわ。いい店行ってんなぁ」

予約の取れない名店の、美味しそうな料理の数々。また楽しそうなパーティーから垣間見える、華やかな人脈…。とにかく、キラキラした生活を送っていることだけはわかった。

そんなものを見てしまった後なので、当然ながら店選びは悩み過ぎて迷宮入りしてしまった。

ぐるぐると悩んだ結果、結局僕が普段からよく行く麻布十番にあるカジュアルなイタリアンを予約したのだ。




「ごめん、こんな店でよかった?」

明るい店内で、ひと際輝いている結奈。そんな彼女がこのお店で満足しているのか、気になってしまう。

「何が?全然いいよ。すごく素敵だし、このお店」
「いや、結奈いい店たくさん知ってそうだし、実際行ってるから…」

本当に、大丈夫なのだろうか。店選びでジャッジする女性もいるし、一抹の不安が残る。

「そんなことないよ〜。インスタの写真かな?あれは華やかな部分しか載せてないからね」

とりあえず結奈の言葉を信じて、他の話題を投げかけてみることにした。

「というか、堀田さんとか知り合いなの?マジで顔広いな」

堀田さんは、テレビなどにもよく出ている有名経営者だ。

結奈と親しいのか、彼女のSNSには何枚か一緒に写っている写真が載っていた。

「結奈すごいよな…。いつからそんなパーティーガールになったんだよ」
「パーティーガールじゃないよ(笑)。普段は職場と家の往復だし。仕事柄、ちょっとそういう付き合いがあるくらいで」
「そうなの?俺なんかからすると、だいぶ華やかな生活だよ」

結奈はPR系の仕事をしていると言っていたので、たしかに仕事柄なのかもしれない。

― まさか堀田さんと交際中…なんてことはないよな?

そう思いながらも、僕は話を続ける。

「恭平くんは?最近どうなの?」
「僕は結奈と違って、全然地味な生活だよ〜。特にコロナになって以降、飲みに行く機会も減ったし…。人様に見せられるような生活は何もしてないかな(笑)」
「そうなの?意外。私も、最近は飲みに行く機会減ったよ」
「嘘だ〜。結奈は華やかでいいよな」

こんな可愛い子、世の中の男が放っておかない気がする。だから僕は、思いきって正面から聞いてみたのだ。

「そっか。ちなみに結奈って…今、彼氏とかいるの?」
「今?いないよ!いたらここに飲みに来ないでしょ」

その言葉を聞いて、安心した。彼氏がいないとなると、僕にもチャンスがあるということだ。

「そうなんだ。じゃあ俺にもチャンスあるかな?平凡なサラリーマンだけど…」
「もちろん。そういう恭平くんは?」
「僕も今フリーだよ」
「そっか」

2人の間に、妙な沈黙が流れる。これは、かなりいいサインな気がしてきた。

だが別れ際の結奈の言葉に、僕は止まってしまった。

「結奈、またご飯行こうよ」
「うん、いいね!次回さ、せっかくだったら東京にいる高校メンバーも呼んでみない?」
「みんなで?もちろんいいけど」

そしてこれ以降、何度か結奈と食事へは行っているものの、宣言通り“みんなで”の食事だったのだ。

― あれ?再会当初はいい感じだったよな…?

やっぱり、あの経営者が彼氏なのだろうか。もしくは、触れてほしくないところに、触れてしまった可能性も高い。

結局結奈の本心がわからず、行動できずにいる。

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女が男を、急に拒絶した理由は…?