人気自治体の移住者支援ガイド。子育て、就職、住居に知らないと損
移住希望者に人気の自治体では、子育て支援、就業サポート、住居あっせんなど、暮らしに関わるさまざまな支援策が用意されています。今回は、北は北海道から南は九州まで、各自治体が実施している支援策を調査。魅力的なサポートを紹介します。ここに掲載されていないものもあります。興味がある自治体があったら、支援策について、ぜひチェックしてみましょう。 ※情報は、2021年10月末現在の取材にもとづきます。今年度の受け付けは終了し、来年度改めて事業が始まるものも含みます
北海道下川町：移住者もなじめる、道北のコンパクトタウン
道北に位置する森に囲まれた、人口約3100人のコンパクトな町で、移住サポートデスクによる手厚い支援と毎月移住者も参加できる町民交流会も開催。
直近5年で100名以上が移住。住宅取得・改修や薪ストーブ設置補助のほか、「下川人財バンク」で仕事探しも支援。イベントや勉強会が盛んで、SDGsを取り入れた町民主体の持続可能なまちづくりに取り組む。
●下川町産業活性化支援機構タウンプロモーション推進部 TEL01655・4・3511
秋田県にかほ市： 県外からの定住で最大100万円。子育て支援も充実
秋田空港から車で約1時間、鳥海山と日本海の自然に恵まれた比較的雪が少ない気候で、子育て世帯やシニアの移住先として人気が高い。
「定住奨励金事業」では住宅を取得すると最大100万円の奨励金と固定資産税を3年間キャッシュバック、市内の温泉を1年間無料で利用できる。40歳未満の夫婦か18歳以下の子どもがいる世帯では、空き家バンク物件の購入に最大50万円交付する事業も活用できる。
●にかほ市商工政策課 TEL0184・43・7600
山形県鶴岡市：テレワークや起業など柔軟な働き方を支援
鶴岡市にUIターンを検討する人が現在の住まいと鶴岡市を行き来しながら自分の移住プロジェクトをつくるUIターンサポートプログラムを用意。
お試しテレワークの宿泊費補助や移住者がテレワークを導入する際の補助を行い、起業をサポートするなど働く世代を応援する施策が充実している。
江戸時代に城下町として栄えた市街地、田園風景の広がる郊外それぞれに魅力ある暮らしが選べる。
●鶴岡市地域振興課 TEL0235・35・1191
茨城県境町 ：独自の住宅支援や英語教育が、子育て世代に好評
定住を希望する子育て世帯への住宅支援として戸建て賃貸住宅に月5万円程度で入居でき、20年間住み続けると土地・建物を無償で譲渡する。
民間活用のPFI方式で子育てにやさしい間取りの賃貸マンションも整備。遊具スペースとワークスペースがあり、親子で利用できる「S-WORK+KIDS」や、公設の保育園・小中学校での無料の英語教育も好評だ。英検の受験料の補助も。
●境町地方創生課 TEL0280・81・1309
栃木県鹿沼市：テレワークも就農も。暮らし方さまざま
東北新幹線線の宇都宮駅から電車で約10分と首都圏からアクセスがよく、テレワークで移住する人が増加。移住者が空き家バンク物件を購入してリフォーム工事を行うと上限50万円の補助（費用の1/2以内）に18歳以下の家族人数×10万円などの加算がある。
農業を始めたい人を支援するプログラムを用意し、特産のイチゴやニラ農家で自立すれば高収入の可能性も。
●鹿沼市まちづくり戦略課 TEL0289・63・2226
千葉県佐倉市 ：東京へ電車で約50 分。子育てのしやすさにも定評
公園をはじめ家族で過ごせる空間が多く、都心に通勤しながら快適に暮らしたい子育て世帯を中心に移住が増加。始発の駅が複数あり、駅近くに設置された市営のコワーキングスペースも便利。
子育て世代には成長にあわせてきめ細かく相談・対応できる機関が多数そろう。「Weラブ赤ちゃんプロジェクト」に県内で唯一参加する自治体で、地域ぐるみで子育てを支える機運もうれしい。
●佐倉市地域創生課 TEL043・484・6748
長野県大町市：北アルプスのふもとで、のびのび子育てを実現
北アルプスのふもとに位置し、山村留学のさきがけで知られる。移住希望者には町中でのお試し暮らしと山間エリアの滞在型農園での体験メニューを用意。
妊娠・出産・子育てに関する総合相談窓口で切れ目のない子育て支援に力を入れるほか、第1子5万円、第2子8万円、第3子10万円の出産祝い金を進呈。保護者や住民が運営に参画するコミュニティ・スクール形式の小中学校など教育環境にも定評がある。
●大町市まちづくり交流課 TEL0261・21・1210
岐阜県飛騨市 ：I ターンで特典が。雪国暮らしのサポートも
白壁土蔵の街並みと豊かな森林資源で知られる飛騨市。移住コンシェルジュがサポートし、移住検討時の交通費や宿泊費を補助。移住者には飛騨地域限定の電子地域通貨を支給する。
住宅新築や空き家バンク物件リフォームの助成のほか、Iターン限定で住宅を新築または購入すると米10俵を贈呈するプロジェクトがある。
冬の積雪には雪かき講習会やスタッドレスタイヤの購入助成など「雪国デビューパック」で支援。
●飛騨市地域振興課 TEL0577・62・8904
静岡県伊豆の国市 ：移住サポートは県内屈指。就農支援も充実
首都圏に近く温暖な気候で人気の静岡県の自治体にあって、きめ細かな移住サポートに定評がある。県外から移住する40歳未満の夫婦または、小学生以下の子どものいる世帯に住居費・引越費用の一部（夫婦10万円、子育て世帯20万円）を補助。
特産のイチゴとミニトマトなどの新規就農を推進しており、受け入れ農家とJA、市、県が連携して支援する。
●伊豆の国市政策戦略課 TEL055・948・1413
三重県伊賀市：移住後のサポートや起業支援が充実
伊賀上野城で知られる歴史の町。移住コンシェルジュが移住後も暮らしから就業まできめ細かく支援。有効求人倍率は県内上位で、伊賀焼など伝統産業で働く選択肢もある。
起業する場合は伊賀流創業応援忍者隊の相談窓口や創業スクールを活用できる。住まい探しには、伊賀流空き家バンクを活用でき、建築士や宅建士の資格をもった専任職員が内覧や物件購入についてサポートを行う。
●伊賀市地域づくり推進課 TEL0595・22・9680
京都府舞鶴市： 出生率は県下一。充実の子育て環境
日本海に面し、街中エリアと農漁村エリアのそれぞれに魅力ある暮らしを楽しめる。移住者向けの補助制度がある空き家はバーチャル内見が可能。
国の重要文化財の赤れんが倉庫に設けたコワーキングスペースで、多様な働き方もできる。
合計特殊出生率が1.90と高く、「0歳から15歳までの切れ目のない質の高い教育」を掲げ、独自の乳幼児教育センター、子育て交流施設「あそびあむ」など子育て環境が充実。
●舞鶴市移住・定住促進課 TEL0773・66・1085
兵庫県新温泉町：温泉のある暮らしを実現。起業支援も充実
山陰海岸ジオパークに位置し、温泉エリア、海側エリアなど4つのエリアからなる。移住検討者に1 〜 3か月間貸し出す温泉付きお試し住宅が好評。
定住者を対象とした新築やリフォーム補助金など住まい関連の助成のほか、40歳未満の転入者を対象とした町内企業の就職奨励金（雇用期間1年を超えるごとに5万円、連続2回まで）、転入者が起業すると最大100万円の支援金などを用意する。
●新温泉町商工観光課 TEL0796・82・5625
和歌山県田辺市 ：世界遺産のまちで起業やテレワーク
世界遺産がある紀南の中核都市。移住に関わることに精通した「ワンストップパーソン」による相談支援、最長1年間入居できる短期滞在施設などで移住をサポート。県外からの移住者が起業する場合、県の補助金に田辺市独自の上乗せで最大350万円を助成する。
ほぼ市内全域に光ファイバー網が整備されており、テレワーク対応も万全。紀州備長炭の後継者育成事業に参加し、伝統産業の働き手になる道も。
●田辺市たなべ営業室 TEL0739・33・7714
鳥取県琴浦町：充実の持ち家施策と、子育て世帯にうれしい教育環境
日本海と大山の自然に囲まれた琴浦町では、空き家ナビと新築分譲地の2本立てで住まいを支援。移住者を対象に空き家の賃貸で20万円、購入で40万円を支給。リフォーム助成もある。
市内2か所に定期借地権付き住宅用地を設け、通常500万〜 600万円の土地が100万円程度の借地権（51年）と格安で家を建てることができる。小中学生にタブレット配布、交通費補助など教育支援も子育て世代に好評。
●琴浦町企画政策課 TEL0858・52・1708
島根県雲南市：暮らしから働き方まで、地域の力で活性化
出雲空港から20分の自然豊かな風土。子育て世帯が空き家を購入して改修すると県の補助に独自の上乗せで最大160万円を助成。
地域活性化の取り組みに熱心で、住民自らの地域づくり「大人チャレンジ」、保幼小中高で一貫したキャリア教育「子どもチャレンジ」、市と民間企業が連携した「企業チャレンジ」で子連れ出勤ができるオフィスを整備。
●雲南市うんなん暮らし推進課 TEL0854・40・1014
岡山県和気町：英語教育をはじめ、充実した教育環境が魅力
JR岡山駅から30分、暮らしやすい環境といち早い移住者受け入れ体制の整備で「田舎暮らしの初心者向き」と言われる和気町。最大4か月利用できるお試し住宅や移動用の自動車の貸し出しで、じっくりと移住を検討できるのがうれしい。
幼稚園の無料化や給食の地産地消など子育て施策が充実。グローバル人材の育成を目指して小中学校の英語教育を推進するほか、無料で英語学習ができる公営塾を開講する。
●和気町移住推進室 TEL0869・92・4633
広島県呉市： 都市型生活と多島美を楽しむ暮らし
瀬戸内海に面した中核市で、主要な島が橋でつながり、都市生活と豊かな自然が楽しめる。移住希望者にはLINEでの相談や市職員による見学ツアーでサポート。
借り主がリフォームする際に経費の一部を助成する「空き家バンクDIYリフォーム補助事業」など住まいの支援策のほか、学童保育や保育園入所などの申し込みがオンラインでできる子育て施策も充実している。
●呉市住宅政策課 TEL0823・25・3394
山口県萩市： 城下町で暮らしたい女性は注目！
日本有数の城下町・萩市では、重要伝統的建造物保存地区の文化財施設でお試し暮らしができる。世帯主が55歳以下または18歳以下の子どもがいる移住者を対象に空き家バンク物件の改修費や家賃を一部補助。DIYにも助成する。
「萩LOVE女子応援事業」ではJIターンの独身女性（18歳以上44歳以下）に家賃の一部、市内事業所の就業で引越し費用の一部も補助する。
●萩暮らし応援センター TEL0838・25・3819
香川県三木町：ほどよい田舎暮らしを実現。子育て支援も万全
獅子舞祭りが象徴する地域コミュニティが今も残る三木町。県庁所在地の高松市に隣接するベッドタウンでもあり、空き家を活用する移住者には家賃や物件購入費、リフォーム費への助成制度がある。
1年以上居住する家庭を対象に第1子・第2子誕生で1万円、第3子以降は20万円分の子育て支援券を交付。転入世帯の小中学生が町内の学校に転校する場合、学用品の一部を補助する事業もある。
●三木町地域活性課 TEL087・891・3320
愛媛県西条市：移住環境を体験できるツアーが大好評
オンライン相談など多彩な移住サポ―トの中でも好評なのが、1泊2日移住体験ツアー（宿泊・交通・食費すべて無料）。完全オーダーメイドで「知りたい西条」を体験でき、ツアー開始後4年で移住者が3倍以上に。お試し移住や無料アテンドサービスもある。
空き家住宅改修支援（子育て世帯は最大400万円）、四国で1位の合計特殊出生率（1.75）が示す子育て環境、小中学校のICT教育推進なども好評。
●西条市移住相談窓口 TEL0120・987・882
長崎県五島市 ：島暮らしと起業、2つのチャレンジが可能
豊かな自然の中に小中高校や病院、大型スーパーなどの生活施設がそろう島。移住者の約8割が30代以下で、理由のひとつは「雇用機会拡充支援事業」。
五島市で起業すると最大450万円が補助され（採択事業に限る）、飲食店などの前例がある。子育て世帯の引っ越し費用助成（最大15万円）、就職希望者の面接旅費助成（最大6万円）など移住支援にも力を入れる。
●五島市地域協働課 TEL0959・76・3070
大分県豊後高田市：土地代無料の宅地と多彩な子育て支援
温暖な気候と文化遺産、近年は昭和を再現した町並みで知られ、幅広い世代の移住先として人気。空き家バンクに常時60件掲載し、1日で8件近くの物件を見学する「空き家見学プログラム」を定期的に実施するほか、新築希望者向けに土地代無料の宅地の提供などの移住・定住支援メニューを用意。
妊・産婦健診無料からはじまり、幼稚園・小中学校の給食費無料、市営塾の無料など子育て・教育支援も充実している。
●豊後高田市地域活力創造課 TEL0978・22・3100
※各自治体の助成金は内容が変更になることがあります。また予算額に達した場合、募集を終了する場合があります
※情報は「住まいの設計2021年12月号」取材時のものです
