30日、埼玉県さいたま市の合同庁舎で行われた食育フォーラムで、食育に詳しいパネリストが自分の活動を報告。(撮影:久保田真理)

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「食育フォーラム〜子供の食育をどう進めるのか〜」(食を考える国民会議、農林水産省関東農政局主催)が30日、埼玉県さいたま市の合同庁舎で行われた。食育を推進する学者や団体の代表らによる講演やパネルディスカッションが行われた。

 学校給食に詳しい女子栄養大学の石田裕美教授は基調講演で、子供たちは食に関する知識はあるが、それが実生活に結びついていない現状を説明した。子供たちは総合学習や理科の時間に米作りを学び、米の種類や米の伝来について詳しく知っている場合でも、実際に家庭で自分が食べている米については知らないことが多い。同教授は今後の食育が目指すものとして、「食に関連して得た知識を自分の生活の中で確認すること、体験したときの気持ちを誰かと共有することが大切」と強く主張した。

 引き続き行われたパネルディスカッションには、同県で田舎暮らし体験ができる農場の運営者や、栃木県で食生活改善に取り組む団体の代表者など4人が参加。それぞれの活動について報告し、田植え、稲刈りなどの農業体験のほか、味噌作りやもちつきなど郷土料理の伝承に関わる体験、乳牛の乳しぼりや加工体験などに関する事例が紹介された。同県さいたま市にあるファーム・インさぎ山の副代表佐藤久子さんは体験することの大切さを強調し、「かなづちや包丁を使ったことがない子、火をおこしたことがない子がたくさんいる。体験することで人生が膨らむので、お母さんたちは子供にどんどんやらせてあげて」と話した。

 また、食育を継続して進めていく秘訣(ひけつ)についてパネリストが話し合ったところ、一緒に活動できる仲間を作ること、常に新しいアイデアを出して子供を飽きさせないこと、子供と大人でコミュニケーションをしっかりとることなどが挙げられた。特にコミュニケーションについては、上からの目線で話をしてもうまくいかないことが説かれ、シンボライズファーム亀田牧場代表の亀田康好さんは、「子供の目線でものごとを見て話さないと、子供はすぐに飽きてしまう。乳牛の出前訪問を重ねて、だいぶ幼稚園児に鍛えられました」と経験を語った。

 政府は2006年3月発表の食育推進基本計画で毎年6月を「食育月間」と定め、今年は東京2カ所をはじめ、全国各地でイベントや啓発活動が行われた。今回のフォーラムは、その一環として行われた。【了】


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