26日、都内で開かれたフォーラムで食育について講演する服部学園理事長の服部幸應さん。(撮影:久保田真理)

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「第1回食を考える国民フォーラム」(食を考える国民会議主催)が26日、東京都千代田区のイイノホールで開催された。教育関係者による講演のほか、食育に取り組む生産家らがパネルディスカッションを行った。

 基調講演で、食育推進会議委員で服部学園理事長の服部幸應さんは、これまでの15年にわたる食育活動について話をした。子供にとって3歳から8歳までの期間は、食習慣を学ぶ大事な時期であり、ここで正しい食習慣を身につけないと成人してからそれを変えるのは難しいという。また、食育がまだ定着していないことを挙げ、「“MOTTAINAI”(もったいない)、スローフード、ロハスに比べて、食育はまだまだ。これからは、“Shokuiku”(食育)が海外にも広がれば」と、今後の食育の展開に期待を示した。

 引き続き行われたパネルディスカッションでは、学校給食に関する取り組みや生産者との交流などをテーマに、パネリストが事例を紹介したり、意見を述べ合ったりした。学校教育に詳しい上智大学の奈須正裕教授は、岡山県の学校で行われた郷土料理を再現する授業で、子供たち自身で米や野菜を育てた経験を紹介。「子供たちから『ありがたい』『もったいない』という言葉が素直に口に出てきた。このような実践的な学習がもっと必要なのでは」と話した。

 また、酪農教育ファーム推進委員会などのメンバーである亀田康好さんは、乳牛を学校に連れて行く出張授業での体験を話し、「食育を部分々々取り上げてもよく伝わらない。生産現場から牛乳が給食で出されるまで、一連のストーリーにして分かりやすく伝えるのが大事」と、消費者の立場だけではなく、生産者や加工業者の立場を理解することの重要性を説いた。

 このフォーラムは、06年3月に策定された食育推進基本計画を実践するためのきっかけになることを目的に開催された。この計画の中で、毎年6月を「食育月間」とし、全国各地でのイベント開催や、食育に関する啓発活動が行われることになっている。【了】

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