この記事をまとめると

■クリスマスにドライブデートの予定がある人は今から気分が高まっていることだろう

■しかし筆者はある失敗により、破局してしまった経験がある

■車内のBGMの選曲には細心の注意を払うべきなのだ

ある曲をかけた途端、不穏な空気に……

 間もなくクリスマス。そんな男子も女子もウキウキするウインターシーズンにやっとドライブデートにこぎつけた彼女がいたとすれば、もう気分は盛り上がりまくり。迎えに行くまでにクルマの内外のクリーニング、車内の消臭を済ませておくのはもちろんだが、良かれと思って準備していたことが、地獄を見る、地雷を踏む結果になることがあるからご用心。

 それは、車内で流す音楽、BGMである。じつは若いころ、憧れの年上の女性をやっとのことでクリスマスシーズンのドライブデートに誘い、事前のさりげない調査から、彼女が好きであろう音楽を車内で流すBGMとして編集(当時はカセットテープ!!)。車内外はピカピカ、そして時刻どおりの迎え、走り出してからの楽しさ溢れる会話、そこまでは多分、完璧だったはずだ。BGMもいいカンジで車内を包み込む。

 が、ある曲が始まったとたん、彼女の表情は一変。ひたすら運転席とは反対側のフロントサイドウインドウ越しに外を向いたままになってしまったのである。気分でも悪いのかと声をかけても、「うん、大丈夫」としか答えない。今は私に構わないで……そんな気配を肩越しに感じたものだ。

 それからのドライブデートはまさに12月の外気温のように冷たく、いや、気まずさ全開の凍り付いたような流れになってしまったのである。結局、予約したお店でディナーこそしたものの、そのあとの、ひっちゃきで考えた予定はすべてキャンセルされてしまい、早々に家に送り届け、それっきりである。のちに、以前から彼女といっしょに遊んでいた彼女の親友の女性に事を打ち明けると、予想だにしない理由を知ったのである。

今冬は“恋あた”の主題歌なら安心か!?

 それは、ドライブデート当日のお互いの気持ちや、ボクの行いとはまったく違うところにあったのだ。彼女の親友によれば、ボクが彼女の好みだと思い選曲し、カセットテープに収めて車内で流した1曲が、その理由だったのだ。ウン十年前のことだから、もはやうろ覚えだが、その曲は彼女の過去の恋愛において忘れられない1曲であり、当時の彼氏とよく聴いた、そして好きなまま(彼女が)別れた際に車内で流れていた曲だったのだそうだ。

 その曲を聞いた瞬間、彼女の脳裏には、一気に過去の幸せと辛い別れのシーンが走馬灯のように蘇り、ボクとの初ドライブデートを楽しむ気持ちが吹き飛んだと思われる(まだ思いが100%通じ合っていない初デートだからそうしたことになりうる)。恋愛において、音楽はひとつの重要なキーワードに、思い出になるということだ。当時、ボクはそうした現象を、「過去恋愛ダークフラッシュバック現象」と名付けたものだった。

 実際、今のカミサンだって、付き合いのスタートはレコード(80年代ですから)の交換から始まり、以来、車内にお互いの好きなアルバム、曲を持ち寄り、その曲の思い入れを語りつつ、音楽にも満たされたドライブデートを重ねたものだった。今ではわが家でほぼそれしか聴かない、コンサートはここうん十年、すべて制覇している、2人の出会いから今に至る思い出が詰まりに詰まったユーミン(の曲)を教えてくれたのもカミサンだったのである。

 では、今、初めてのドライブデートで、上記のような悲劇を招かないためには、車内の雰囲気を盛り上げるBGMとしてどんな音楽を用意すればいいのだろうか。答えは簡単だ。相手の過去の恋愛をダークフラッシュバックさせるかもしれない過去のヒット曲、この季節であれば定番のクリスマスソングを避けることである。一例として、前彼と別れたのが2019年内であれば、2020年以降にリリースされた、彼女が好きであろう曲、あるいは最新のクリスマスソングをセレクトすれば、まず、地雷を踏むことはないはずだ。

 例えば、「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」以来、エルトン・ジョンをこよなく愛するボクがすでに車内で流している2021年12月にリリースされたばかりのエド・シーラン&エルトン・ジョンのクリスマスソング「Merry Christmas」、2021年10月リリースのノラ・ジョーンズ 初のクリスマスアルバム『I Dream Of Christmas』の中の「Christmas Calling (Jolly Jones)」、そして邦楽なら2020年12月リリースのドラマ「この恋あたためますか」主題歌だったSEKAI NO OWARIの「silent」などならば、たぶん、安心。クリスマスシーズンの初デートドライブの車内を盛り上げる、最高かつ安全パイなクリスマスソングになるに違いない。ちなみに、リメイクされた往年の名曲は、微妙である……。