タブレット端末は必需品ではないが、あると便利なことも確かだろう。優れたタブレット端末は、家の中で自由に持ち運べるテレビ画面になってくれるし、デスクから離れた場所で簡単な仕事をさっと終わらせるためのツールにもなってくれる。絵を描いたり作曲したりするためのアプリも豊富に揃っているので、創造力を発揮する場としても最適だ。

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使いやすさとソフトウェアを考えると、ほとんどの人が選ぶべきはアップルの「iPad」だろう。とはいえ、選択肢はほかにもある。ほかのOSを採用したタブレット端末も、近年ますます性能を高めているからだ。

アマゾンの「Fire」シリーズは機能こそ限定的ではあるが、映画観賞やインターネットの閲覧といった基本をしっかりカヴァーしてくれるお手ごろ価格のタブレット端末である。ノートPCとしても活躍してくれるタブレット端末が欲しければ、やはりiPadかWindowsの2in1端末が最良の選択肢だろう。優れたタブレット端末を探しているなら、ぜひこのガイドを参考にしてもらいたい。

ほとんどの人にはこれが最適

アップル「iPad」(第9世代、2021年モデル)

「iPad」のベースモデルほど滑らかに動いてくれるタブレット端末はなかなか見つからない。第9世代のiPadには「iPhone 11」にも搭載されている「A13 Bionic」チップが搭載されており、これが同価格帯のほかのタブレット端末と決定的な差をつけている。

太いベゼル(画面の枠)や指紋認証機能「Touch ID」搭載の古めかしいホームボタンのせいで、見た目はまるで5年前のiPadのようだ。しかし、そこが長所とも言える。このデザインのiPadはもはやこのモデルだけであり、ヘッドフォンジャックもこのモデルにしか搭載されていない。

第9世代のiPadで最大の目玉は、被写体を自動追従する「センターフレーム機能」を備えた12メガピクセルのインカメラだ。これは料理をしながら母親とZoomで会話をするときなどに便利である。

タブレット端末用に最適化されたさまざまなアプリも用意されており、それがiPadを真の意味で仕事と娯楽の両面で使えるタブレット端末にしている。特に「仕事」に関しては、アップルの「Smart Keyboard」(あるいは他社製のキーボード)をつなげばその有能ぶりを実感できるだろう。

第9世代のiPadは第1世代の「Apple Pencil」にも対応しているが、このモデルはほかのiPadに比べべてディスプレイとカヴァーガラスの間の空気の層が厚い。ユーザーの指先と実際のピクセルの間に認識できるほど大きなギャップがあるので、ほかのiPadに比べると使用感に若干の不自然さが生じてしまうのだ。スケッチ用のタブレット端末を探している人は、ほかのiPadを選んだほうがいいかもしれない。

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さらに優れたモデルを求めている人に

アップル「iPad Air」(第4世代、2020年モデル)

もっと“いまっぽい”外観のタブレット端末を求めているなら、第4世代の「iPad Air」がおすすめだ。このモデルには、より高価なモデルである「iPad Pro」と同じ機能も数多く詰め込まれている。ベゼルはスリムでホームボタンはなく、USB Type-Cによる充電や第2世代のApple Pencilにも対応だ。iPad Air本体にApple Pencilをマグネット装着すれば、ワイヤレスで充電が完了する。

「iPhone 12」シリーズと同じ「A14 Bionic」チップを搭載しているので、パフォーマンスの点でもiPad Proに引けをとらない。このプロセッサーのおかげで、このiPad Airは大容量の動画・写真の編集といった作業にも耐えられるパワフルなタブレット端末になった。顔認証機能「Face ID」は搭載されていないが、Touch IDが電源ボタンに組み込まれている。

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第9世代のiPadと比較すると、10.9インチの「Liquid Retina」ディスプレイを備えているiPad Airのほうがキャンヴァスはやや大きい。ガラスとピクセルの距離も近いので、絵を描いているときの使用感もこちらのほうが自然だ。ただし、映画を観ているときにバックライトが画面の端でにじんでいることが気になるという指摘もある。

なお、「iPad Pro」(12.9インチの第5世代)はiPadのなかでもずば抜けて高価なモデルだが、実にさまざまな機能を備えている。その大きな画面は絵を描くにも最適だ。このモデルにはより明るいディスプレイとより鮮やかなコントラストを実現する最新のミニLEDバックライトと、より高性能な「M1」チップが搭載されている。

ほかにもディスプレイのリフレッシュレートが120Hzで、合計4つのスピーカーに5G対応、Face ID搭載など、さまざまな魅力が詰め込まれたモデルだ。より低価格な11インチモデルもあるが、最新のミニLEDバックライトは搭載していない。

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20,000円以下で最適なタブレット端末

アマゾン「Fire HD 10」

アマゾンの「Fire HD 10」は万人向きではない。「Fire」シリーズのタブレット端末は総じて「Amazon プライム」のサーヴィスとアプリに力を入れており、ゲームや映画観賞といったどちらかというと受け身の作業に最も適しているのだ。

Google Play ストアに対応していないので、あらゆるAndroidアプリをすぐに利用できるわけではない。しかし、150ドル(日本では15,980円、Amazonのセール時は割引価格)という値段を考えると、Fire HD 10に勝てるタブレット端末はなかなかないだろう。イチ押しのFireタブレット端末といえば、このモデルだ。

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Fire HD 10は、ほとんどの作業に十分なパワーを備えている。Bluetoothキーボード付きカヴァーと「Microsoft 365 Personal」の1年版(サブスクリプションはキャンセルしない限り自動的に継続される)がセットになった「エッセンシャルセット」を購入すれば、軽作業もこなせる。[編註:エッセンシャルセットにはFire HD 10版(RAMは3GB)と、Fire HD 10 Plus版(RAMは4GB)の2種類ある]

USB Type-Cポートが付いているので、ノートPCやAndroidスマートフォンと同じケーブルで充電することも可能だ。さらには「Alexa」によってハンズフリーで音声操作できるので、アマゾンのスマートディスプレイである「Echo Show」シリーズの代わりにもなってくれるだろう。「Fire HD 10 Plus」を選ぶとRAM容量が1GB多くなり、ワイヤレス充電が可能になる。

関連記事:アマゾンの「Fire HD 10」は最高のタブレット端末、ただし20,000円以下で選ぶ場合に限る:製品レヴュー

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低価格帯でベストなタブレット端末

アマゾン「Fire HD 8」(2020年モデル)

「Fire HD 8」と「Fire HD 8 Plus」の2020年モデルは、どちらもFire HD 10とそれほど大きく違わない。パフォーマンスは高く、USB Type-Cポートを搭載してステレオサウンドに対応しており、ハンズフリーでAlexaも使える。しかもそのすべてを、旅行に適した8インチサイズで利用できるのだ。

ただし、ディスプレイの性能はそれほどよくはない。外にいると画像やテキストが少し見えにくくなることがあるのだ。とはいえ、お金をかけずに買えるなかでは最良のタブレット端末であることは間違いない。

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予算に余裕があればさらに20ドル(日本では2,000円)を足して「Fire HD 8 Plus」を買うといいだろう。こちらのモデルを選ぶと、RAMの容量が1GB増える(インターネット閲覧時にスクロールしたり、アプリを同時にいくつも使たりするときには容量が大きいほうが助かるだろう)。

ワイヤレス充電に対応しているので、ほとんどの充電パッドで充電可能だ。また、アマゾンのワイヤレス充電ドックにも対応しているので、そこに立てかければ充電中は“Echo Show”に早変わりする。テレビ番組を一気見するときにはアマゾンのマグネット式カヴァーを取り付けて、Fire HD 8がぐらつかないようにしっかりと固定しよう。

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ベストなポータブルタブレット端末

アップル「iPad mini」(第6世代、2021年モデル)

もう少し高性能なタブレット端末を必要とする人には、iPad Proのようなデザインに生まれ変わった8.3インチの「iPad mini」がおすすめだ。プロセッサーには、iPhone 13シリーズと同じ最新の「A15 Bionic」が使われている。

ベゼルもスリムで、電源ボタンはTouch ID対応だ。iPadのベースモデルとiPad Proにも搭載されているセンターフレーム機能や、充電用のUSB Type-Cポートも搭載している。この小さくてかわいいタブレット端末を持ってスケッチに出かけるときには、第2世代のApple Pencilをくっつけることも可能だ。

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ベストな子ども用タブレット端末

アマゾン「Fire HD 8 キッズモデル」

子ども用のタブレット端末を買うときには、安くて丈夫なものを選びたい。そうすれば、もし壊れて買い換えることになっても、財布はそれほど痛まないだろう。アマゾンのFireシリーズのタブレット端末なら、全機種に子ども用が用意されている。なかでも子どもに適したサイズと財布に優しい値段という意味で最適なモデルは「Fire HD 8 キッズモデル」だ。

中身は「Fire HD 8」とまったく同じだが、50ドル(日本では5,000円)高いキッズモデルには本体を保護するための頑丈なケースと2年間の限定保証が付いてくる。つまり、もしアクシデントが原因で壊れてしまっても、無料で新品と交換してもらえるのだ。また、子ども向けの本や映画、アプリ(すべてペアレンタルコントロール付き)にアクセスできる「Amazon Kids+」も1年間無料で利用できる(1年目以降の利用料金は月額2.99ドル[日本のプライム会員は480円、一般会員は980円])。

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ベストな2in1端末

マイクロソフト「Surface Pro 8」

タブレット端末にはスマートフォン用に設計されたOSを採用しなくてはならない、という決まりはない。マイクロソフトの「Surface」シリーズのOSにはWindowsが採用されており、そのおかげでこのタブレット端末はデスクトップ級の重作業に適している。なかでもおすすめは「Surface Pro 8」だ。高性能で13インチのタッチスクリーンディスプレイを搭載し、リフレッシュレートは120Hzとなっている。

特筆すべきは、キックスタンドが組み込まれている点だ。そのおかげでSurface Pro 8は、ほぼあらゆる場所にも設置できる。もちろん、タブレットモードの完成度はiPadにかなわない。しかし、Windows 11のほうがタッチ可能な範囲が広いので、使いやすさではSurface Pro 8に軍配が上がる。不安な点があるとすれば、バッテリーの持続時間だろう。

「Surface Go 3」にも同じような弱点はあるが、値段が安いぶんまだ許せる。いずれにせよスタミナに難があるので、メールを書いたりインターネットを閲覧したりNetflixを観たりといった、どちらかというとシンプルな作業に向いているモデルと言えるだろう。

一般的なユーザーには、Intel Core i5のCPU、8GBのRAM、128GBのSSDという仕様をおすすめする。

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