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 チャーハンといえば、残ったご飯を炒めてチャッチャと作る家庭料理の代表格。しかし町中華のような本格的で美味しいものを作ろうとすると、けっこう難しいものです。ふっくらパラパラにはならないし、味に深みも出にくく、いわゆる“焼き飯”になりがち。

 そこで活用したいのが、コンビニの冷凍チャーハンです。袋のまま電子レンジで加熱するだけでパラパラ&ふっくら、味もバッチリ。今の冷凍チャーハンはものすごくレベルが上がっているので、かなりハイレベルなチャーハンが味わえます。

 しかし、コンビニ各社の冷凍コーナーによーく注目してみると、それぞれオリジナルの冷凍チャーハンがあり、しかも1社で複数の商品を出していることがわかります。適当に買ったとしても、どれも満足いく商品なんでしょうけど、本当はどれが1番美味しいチャーハンなんだろう? とふと思ったわけです。そこで今回は、大手コンビニ4社の冷凍チャーハンを食べ比べしてみることにしました。

9月末に各コンビニに売っていた冷凍チャーハン10商品を買ってきました。コンビニ巡りがタイヘン…

 買ってきた冷凍チャーハンは、セブイレブン、ローソン、ファミリーマート、ミニストップの4社それぞれのオリジナル商品。なんと10種類もありました。チャーハンってやっぱりめちゃくちゃ人気なんだな、というのがわかると思います。

 量は1袋300g入りが多く、お値段は300円前後。ちなみに170gの半チャーハンタイプもあります。気になるのはカロリー。油やラードで炒めているからか、どれもびっくりするほどお高め…。でも美味しければいいんです。

 というわけで、さっそく食べ比べスタートです。

10種類のチャーハンを食べ比べてみた!

コンビニ各社の冷凍チャーハンをお皿に出すとこんな感じ。色味もテクスチャーもかなり違います

 さて、今回は数が多いので、食いしん坊の助っ人3人を召喚。「臨時チャーハン審査員会」を結成して食べ比べを行います。ちなみに審査員は飲食店経営のAさん、町中華好きのBさん、編集者のCさん、筆者の4人です。

 審査方法は、商品名を隠して1~10の番号を振るブラインド方式。つまり、どこのコンビニのチャーハンを食べているかわからない状態で番号順に食べていきます。各自5点満点で評価し、4人の得点を合計して上位3品を決定。その3つを再度食べ比べて最終ジャッジ。「最強のコンビニ冷凍チャーハン」を決めるという寸法です。

審査員に加わらない編集者がすべての冷凍チャーハンの名称を付箋に書き、皿の裏に貼りました。4人の審査員は商品名を知らないまま試食がスタート

 加熱前から色やご飯の粒感、具材などに違いがあるのが一目瞭然ですが、加熱後も色の濃淡、ごはん粒立ち感(パラパラ感やかたまり感)、チャーシューや卵、ネギ、グリンピースの存在がくっきりしました。そして加熱後に最もハッキリわかるのが香りです。にんにくや醤油の香りをはじめ、ネギ、チャーシューの香ばしい香りなどなど。

 そんなこんなで、「ピラフのようにあっさりしている」、「おこわみたいにご飯がベトッとしている」とか、「チャーシューの味が独特だね」、「ネギの香りが青臭くてイイ」、「にんにくのパンチ力がすごい」、「卵がフワフワしている」など、それぞれ感想を言い合いながら点数をつけていきました。

商品名は伏せた状態で、番号を振って食べながら採点

 10種類を食べ終わり、4人の合計点を集計すると、得点の高い3品がくっきりと浮かび上がりました。1位は「9番」のチャーハンで、全員が5点満点をつけて合計20点、2位は「6番」で合計15点、3位は「4番」で合計13点。

 つまり、満場一致で1位が決定してしまったわけです。事前予想では、各人の好みによって票が割れてグダグダになる可能性も十分にあったのですが、まさかこんなにキレイに決まるとは…。

 というわけで、商品名の発表です!

1位・20点 セブンイレブン「直火炒め極上チャーハン」 (321円)
2位・15点 セブンイレブン「札幌すみれ炒飯」 (300円)
3位・13点 ファミリーマート「極旨チャーシュー炒飯」 (300円)

1.ローソン「大盛りチャーハン」、2.セブン「炒め油香るチャーハン」、3.ミニストップ「大阪王将 にんにく香る炒飯」、4.ファミマ「極うまチャーシュー炒飯」、5.ミニストップ「大阪王将 直火で炒めた炒飯」、6.セブン「札幌すみれチャーハン」、7.ファミマ「XO醤香る五目炒飯」、8.ファミマ「さっぽろ純連監修チャーハン」、9.セブン「直火炒め極上炒飯」、10.ローソン「半チャーハン」

 全員が満点を出したのがセブンイレブンの「直火炒め極上炒飯」。これを食べたときのほとんどの人が「うわっ、コレに決まりだわ」とか「ダントツでこれが旨い」とか「店のより旨くない?」などという感嘆の声を挙げました。2位と3位は、もう一度食べ比べて、微妙な点差。それにしても、セブンイレブンの商品が2つも入るとは…さすがです。

上位3つのチャーハンは何がスゴかったのか?

中央がセブン「直火炒め極上チャーハン」、左がセブン「札幌すみれ炒飯」、右がファミマ「極旨チャーシュー炒飯」

 さてこの3つが上位に挙がった最大の理由に2つの共通点があります。1つは「家では絶対出せない町中華のチャーハン感」、2つ目は「味・香り・食感も全体的なバランスのよさ」。とはいえ、それぞれの味わいは微妙に違います。1つずつ紹介していきたいと思います。

第3位のファミリーマート「極旨チャーシュー炒飯」

ファミマのお母さん食堂シリーズ「極うまチャーシュー炒飯」

 まずはファミリーマートのお母さん食堂シリーズ「極うまチャーシュー炒飯」です。

・「ひと口めから醤油の香ばしさがふわっと広がり、卵とお米のバランスが良い」(Aさん)
・「しっとりしていて食べやすく、具材もゴロゴロしていて手作り感があった」(Bさん)
・「チャーシュー炒飯という名前の割にチャーシューがそんなに目立たないのが惜しいが、肉の旨みがお米にちゃんと染みていてよかった」(Cさん)

2位のセブンイレブン「札幌すみれ炒飯」

セブンイレブン「札幌すみれチャーハン」

 続いてセブンイレブンの「札幌すみれチャーハン」。『札幌すみれ』といえば札幌ラーメンの名店。その名の通り、ラーメン屋のチャーハンというイメージです。

・「濃いめの味だけど、ダシのような旨みと滋味深い味わい」(Aさん)
・「チャーシューは小さいけど美味。パラパラ系ではないけど、ややしっとり感も良かった」(Bさん)
・「正統派のチャーハンって感じがした。グリンピースもいい」(Cさん)と言った意見も。

1位のセブンイレブン「直火炒め極上チャーハン」

セブンイレブンの「直火炒め極上チャーハン」

 そして全員が満点を付けたセブンイレブンの「直火炒め極上チャーハン」です。

・「そのへんのヘタな町中華のチャーハンより旨い。味のバランスも最高。またネギ油の香りがいかにも“旨いチャーハン”という感じ。お米もパラパラで、ちょっとクセになりそうな味」(Aさん)
・「卵が中華鍋で焼かれた感じが伝わってくる。ご飯は粒感をしっかり残しつつパラッパラ。厨房でプロ炒めたできたてチャーハンを食べているくらい美味しい」(Bさん)
・「冷凍食品とは思えないほど香りがよくてびっくりした。食べてみると、ご飯の食感といいチャーシューの味といい、炒めて味の旨みが全体に行き渡った感じがして、パーフェクト」(Cさん)

3つを比較すると、セブンイレブンの「直火炒め極上チャーハン」は一番色が濃く、卵ふっくら、ご飯がパラパラしているのがわかります

 というわけで、「最強のコンビニ冷凍チャーハン」はセブンイレブンの「直火炒め極上チャーハン」の圧勝でした。審査員が全員「ちょっとこれは別格」と唸るほど美味しいです。もちろん、ほかのチャーハンたちもそれぞれ個性があって美味しいです。食べ比べてみると面白いと思いますよ。

(撮影・文◎土原亜子)