不妊治療の金銭の壁。お金の不安から少しでも開放されるには?
昨今、不妊治療をする夫婦が増えており、金銭の壁に立ちはだかっていると言います。
いったいいくらかかってしまうのか…お金の面に関する不安とどう向き合うべきか、ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに教えてもらいました。
不妊治療は高額になってしまうことも…(写真はイメージです。以下同)
不妊治療をしている人の割合は年々増加していると言われています。現在治療中の人、過去に治療してきた人を入れるとかなりの人が経験者にあたるのではないでしょうか? 人によってはかなり高額になる不妊治療ですが、お金との兼ね合いを考えると不安になる人も多いはず。そこで、ファイナンシャルプランナーの立場から、治療費との向き合い方についてお話をしていきたいと思います。
2022年4月から不妊治療への公的医療保障の適用が決まり、これからより具体的な範囲などが決まっていく予定です。
不妊治療にかかる出費は体外受精など、ステップアップするほど高額になり、助成金などを利用しても、家計にかかる負担は重くのしかかっています。しかも、治療をすれば必ずしも成功するという確証はなく、ある経験者の女性によると、授かるまでに総額で高級車が買えるほどにかかってしまったそうです。
金銭的な一つの目安としては、助成金が終わるまでとも考えることができますが、心情的には納得いくまでと考えることもでき、それぞれです。今後、不妊治療が健康保険の適用になったとしても、金銭や年齢などの範囲も無制限にとはいかないでしょう。
ほとんどの夫婦にとっては治療費は生活費のなかで大きくかかってしまうものだと思います。どう捻出してやりくりをしていくかは夫婦によってさまざまです。もちろん、金銭面だけではな時間的なストレスもたくさんあるはずです。
高度不妊治療にかかる費用はクリニックなどによっても異なりますが、体外受精では1回あたり20〜70万円と高額です。助成制度を使うことで、金銭的な負担をある程度減らすことはできますが、長引けば長引くほど終わりが見えなくなり、その後のライフプランにも影響がでてきます。
「治療経験者の友人から総額300万円かかると言われてその覚悟で治療を頑張ってきましたが、まだ授かりません。2年で400万円を超えてしまったとき、これ以上続けることに怖さを感じてしまいました。子どもができたら考えようと思っていたマイホームすら夢になりそうですから」(不妊治療中のAさん・35歳)
このように先々の生活を考えると、金銭的な部分はある程度割りきることも大切です。つまり、ライフプランやライフイベントを考えてお金の優先順位をつけることです。例えば、○歳までの○年間は不妊治療に専念し、治療費はどこから捻出するのかなどの計画を立てます。治療費の上限を決めておくことも目安の一つと言えるでしょう。
費用の捻出方法はそれぞれですが、独身時代の貯蓄や夫婦の共通口座、ボーナス、毎月の収入、親族からの援助などが考えられます。治療は夫婦で取り組むものですから、夫婦でしっかりと話し合って決めるようにしましょう。特に女性の場合は、会社を休んだり通院、麻酔を伴う治療、場合によっては自己注射など、肉体的、精神的に負担がかかるものです。そのこともしっかりと話し合って、家事や金銭的な負担を軽減してもらえるようにするといいですね。
治療中は何かとストレスが溜まりやすく、ストレスを溜めないためにも趣味や、旅行、食事など、楽しむためにお金を使ってしまいがちです。しかし、ストレス発散のためにお金を使いすぎてしまうと、治療費の捻出が難しくなりそれもまたストレスの一因になりかねません。ウォーキングや森林浴、音楽を聴く、映画を観る、読書をする、YouTubeなどでは気軽にできるストレッチ動画もたくさんあります。お金をかけなくてもできるストレス発散法を夫婦で探して、その分貯蓄に回しましょう。年に1回は旅行へ行く、記念日を家族で祝う。などのメリハリのあるお金の使い方を意識するといいでしょう。
また、出産後は子ども1人あたり約3000万円かかるともいわれる養育・教育費や、住宅購入、自分たちの老後の資金など、お金はいくらあっても困りません。
いきなり家計を引き締めるのは大変ですが、今できることは何かを考えて、現在の家賃は手取り月収の3割以内に収まっているか、通信費は格安スマホに変えて、二人で5000円にする。月会費がかかる習い事を見直す。そしてまた、生活費の中でも膨らみがちな食費や外食費はできるだけ自炊をして、交際費、趣味費なども最低限にするなど、無理なくできることはいろいろあります。
大きな出費になる治療費以外の項目をもう一度見直して家計のスリム化を図り、治療に専念できる家計づくりと、同時にそれ以外の出費にも対応できるように、先取り貯蓄や投資運用にも目を向けて、貯まる仕組みをつくっていくことで、それが強い味方になってくれるはずです。
●教えてくれた人
節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。著書に『50代から知っておきたい! 年金生活の不安、解消します
』(共著、幻冬舎刊)などがある。新しい家計簿『節約家計ノート2022
』(東京新聞刊)は9月発売予定。オンラインコミュニティサロン「女性のための夢を叶える! お金の教室
」もスタート
いったいいくらかかってしまうのか…お金の面に関する不安とどう向き合うべきか、ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんに教えてもらいました。
不妊治療は高額になってしまうことも…(写真はイメージです。以下同)
高額な不妊治療のお金、金銭的な壁を乗り越えるには…?
不妊治療をしている人の割合は年々増加していると言われています。現在治療中の人、過去に治療してきた人を入れるとかなりの人が経験者にあたるのではないでしょうか? 人によってはかなり高額になる不妊治療ですが、お金との兼ね合いを考えると不安になる人も多いはず。そこで、ファイナンシャルプランナーの立場から、治療費との向き合い方についてお話をしていきたいと思います。
●最終的にいくらかかるのか見えにくい不妊治療のお金
2022年4月から不妊治療への公的医療保障の適用が決まり、これからより具体的な範囲などが決まっていく予定です。
不妊治療にかかる出費は体外受精など、ステップアップするほど高額になり、助成金などを利用しても、家計にかかる負担は重くのしかかっています。しかも、治療をすれば必ずしも成功するという確証はなく、ある経験者の女性によると、授かるまでに総額で高級車が買えるほどにかかってしまったそうです。
金銭的な一つの目安としては、助成金が終わるまでとも考えることができますが、心情的には納得いくまでと考えることもでき、それぞれです。今後、不妊治療が健康保険の適用になったとしても、金銭や年齢などの範囲も無制限にとはいかないでしょう。
ほとんどの夫婦にとっては治療費は生活費のなかで大きくかかってしまうものだと思います。どう捻出してやりくりをしていくかは夫婦によってさまざまです。もちろん、金銭面だけではな時間的なストレスもたくさんあるはずです。
●先々のライフプランを見据えて、お金と向き合うのも大切
高度不妊治療にかかる費用はクリニックなどによっても異なりますが、体外受精では1回あたり20〜70万円と高額です。助成制度を使うことで、金銭的な負担をある程度減らすことはできますが、長引けば長引くほど終わりが見えなくなり、その後のライフプランにも影響がでてきます。
「治療経験者の友人から総額300万円かかると言われてその覚悟で治療を頑張ってきましたが、まだ授かりません。2年で400万円を超えてしまったとき、これ以上続けることに怖さを感じてしまいました。子どもができたら考えようと思っていたマイホームすら夢になりそうですから」(不妊治療中のAさん・35歳)
このように先々の生活を考えると、金銭的な部分はある程度割りきることも大切です。つまり、ライフプランやライフイベントを考えてお金の優先順位をつけることです。例えば、○歳までの○年間は不妊治療に専念し、治療費はどこから捻出するのかなどの計画を立てます。治療費の上限を決めておくことも目安の一つと言えるでしょう。
●お金だけではない負担も。夫婦でしっかり話し合うこと
費用の捻出方法はそれぞれですが、独身時代の貯蓄や夫婦の共通口座、ボーナス、毎月の収入、親族からの援助などが考えられます。治療は夫婦で取り組むものですから、夫婦でしっかりと話し合って決めるようにしましょう。特に女性の場合は、会社を休んだり通院、麻酔を伴う治療、場合によっては自己注射など、肉体的、精神的に負担がかかるものです。そのこともしっかりと話し合って、家事や金銭的な負担を軽減してもらえるようにするといいですね。
治療中は何かとストレスが溜まりやすく、ストレスを溜めないためにも趣味や、旅行、食事など、楽しむためにお金を使ってしまいがちです。しかし、ストレス発散のためにお金を使いすぎてしまうと、治療費の捻出が難しくなりそれもまたストレスの一因になりかねません。ウォーキングや森林浴、音楽を聴く、映画を観る、読書をする、YouTubeなどでは気軽にできるストレッチ動画もたくさんあります。お金をかけなくてもできるストレス発散法を夫婦で探して、その分貯蓄に回しましょう。年に1回は旅行へ行く、記念日を家族で祝う。などのメリハリのあるお金の使い方を意識するといいでしょう。
●大きな出費があるときこそ家計づくりが味方になる
また、出産後は子ども1人あたり約3000万円かかるともいわれる養育・教育費や、住宅購入、自分たちの老後の資金など、お金はいくらあっても困りません。
いきなり家計を引き締めるのは大変ですが、今できることは何かを考えて、現在の家賃は手取り月収の3割以内に収まっているか、通信費は格安スマホに変えて、二人で5000円にする。月会費がかかる習い事を見直す。そしてまた、生活費の中でも膨らみがちな食費や外食費はできるだけ自炊をして、交際費、趣味費なども最低限にするなど、無理なくできることはいろいろあります。
大きな出費になる治療費以外の項目をもう一度見直して家計のスリム化を図り、治療に専念できる家計づくりと、同時にそれ以外の出費にも対応できるように、先取り貯蓄や投資運用にも目を向けて、貯まる仕組みをつくっていくことで、それが強い味方になってくれるはずです。
●教えてくれた人
【丸山晴美さん】
節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。著書に『50代から知っておきたい! 年金生活の不安、解消します
』(共著、幻冬舎刊)などがある。新しい家計簿『節約家計ノート2022
』(東京新聞刊)は9月発売予定。オンラインコミュニティサロン「女性のための夢を叶える! お金の教室
」もスタート