国技館ちゃんこ復活に「大相撲の気が緩んできたか?」と不安説飛び交うものの、ちゃんこ会食開催は土俵際で踏みとどまっていた件。
大相撲の気が少し緩み始めているのではないか説!
行ってまいりました、大相撲三月場所観戦へ。初場所は千秋楽の観戦に繰り出し、大栄翔の初優勝を見守ったわけですが、その際は休場関取が19名もいるという戦後最大のお休み場所でした。人数が欠けていたらつまらないというわけではないですが、いるはずの人がいないというのはやはり寂しいもの。今回はひととおりの顔ぶれを見たい。場所の最後のほうだと怪我等で休みが増えるということを勘案しつつ、プロ野球の開幕との兼ね合いも考慮して、今場所は中日8日目の観戦とした次第です。
「ま、中日でも遅かったが」
「白鵬もすぐに休んでしまったし」
「白鵬休むの早かったな…」
「次は初日にしておくのがよさそう」
「ていうか来場所は鶴竜が出るなら」
「初日しかチャンスないかも」
「初日に見ておいたほうが確実」
「鶴竜とも長い付き合いだし」
「憎からず思っているし」
「しっかりと目に焼き付けて」
「感謝の念を送りたい」
「とりあえず来場所は初日で決まり」
「初日ならいくらなんでもさすがに」
「出るつもりのヤツは全員おるやろ…」
中日ということで優勝争いなどはまだこれからというところ。折からの雨で足元も悪く、お客の出足も若干鈍かったかもしれません。開場時刻に国技館に向かっても、人垣はほんのわずかです。というか、ゴチャッと固まって若干名が待っています。「あれ?」と思います。この一年、「ゴチャッと固まっている」機会などなかったはずの入場口でお客がゴチャっと固まっているとは、これいかに。
確か先場所までは待機列を作らされて、テントで作った細い通路をくぐり、手指消毒をしてから館内に入っていたはず。まぁ、雨だけでなく風も非常に強かったのでテントは撤去したのかもしれませんが、それなら敷地周辺に立てている「のぼり」も一緒に撤去すべきでしょう。係員が「本日は強風でのぼりが折れる可能性があります!のぼりから離れて歩いてください!」とアナウンスしていましたが、強風で折れる可能性を考慮するならそっちこそ撤去ではないかと思ったりします。
↓これが折れて倒れる事態を想定したとき、むしろ根本に近いほうが助かる気がするが…?
テントの有無はさておき、雨だろうが風だろうが待機列はきっちり作って、間隔をあけて入場するという仕組みは維持するものかとばかり思っていたのでちょっと拍子抜けです。雨なので一刻も早く館内に入れてあげたい親切心と見るべきかどうか。一旦判断は保留したまま入場します。
消毒・検温を行なって館内に入ると、そこにまた若干の変化が。先場所は「チケットの半券に名前を記入せよ」とか「テイクアウトライフなるアプリを登録せよ」など、万一に備えてクラスター情報伝達の手段を確保するよう努めていたものですが、今場所はその辺の話がすっかりなくなりました。「ココアに登録してください。半券捨てないでください。以上」で呼び掛けは終わり。まぁ、どこもそうですし「テイクアウトライフ」とかいうアプリはそれ以前もその後もほかで聞いたことのない仕組みでしたから、「ココア登録、半券保管」という標準対応に戻ったという意味では何も悪いことはないのですが、急激な方針転換に違和感はどんどん高まっていきます。
そして、とある掲示を見て僕の違和感は確信へと変わっていきます。
↓今場所より国技館名物ちゃんこ復活のお知らせ…!だと…!
ちゃんこをおかずにカレーを食べよと…!?
何と、これまで頑なに提供を拒んできた国技館ちゃんこを、国技館館内1階に設けられた飲食スペースで提供するというのです。もちろん飲食スペース以外で食べることはできませんが、確実に大相撲のなかで何かが変わっている気配がします。そうです、大相撲の根源的な欲求である「食べたい、食べさせたい」がついに首をもたげてきたのです。
コロナ禍について真摯に学び、部屋単位のクラスターなども発生させながら「やっぱり会食はアカンのぉ」ということで、断腸の思いで「ちゃんこは…ふるまわない…!」と決断したはずの大相撲。しかし、緊急事態宣言も解かれるという感染拡大ペース鈍化を受けて、「やっぱり…ちゃんこを…ふるまいたい…!ついでにカレーも…!」と欲望が膨らんできてしまったようです。クスリを何度もやっちゃう人みたいなガマンの効かなさ、何たることでしょう。
僕はそのゆゆしき事態を直視すべく、観戦はさて置いて真っ先にちゃんこ待機列に並びます。飲食スペースは距離を取りながら密を避けての運営のため、列は一向に進みません。しかし、ちゃんこ直視のためには待つのみです。しばしの待機後、僕はレジで待ち受ける国技館サービスの人に言ってやりました。「ちゃ、ちゃんこがあるんですか!」と。その声音には少しの憤りあるいは空腹による苛立ちがこもっていたかもしれません。
しかし、対応したレジの人は何ら悪びれる様子はありません。本当にちゃんこを出す気なのか。僕は確認の意味で「ちゃんこひとつ」と注文をしてみます。500円(※何か急に値上げされてた)を払うと、よもやよもや「かつての日常」と同じちゃんこが出てきました。かー、けしからん。せっかく我慢して運営してきていたのに。ちゃんこがシレッと復活しているではないですか!
↓かー、塩味がきいて鶏肉がふわふわだー!
こんなもん食べたら、一席空けていたとしても「美味い!」って言ってしまうでしょうが!
け、け、けしからん!
ふぅー、美味かった。調査完了。僕は「美味しくてけしからんぞ」という気持ちをこめたお辞儀をして飲食スペースをあとにします。その後は館内散策に繰り出しますが、やはり全体的に気の緩みは否めません。先場所は大量の未使用鉛筆を用意してグッズの注文などを受け付けていたものがひとりに一本ずつ渡されるだけになりましたし、売店のディスタンス待機列作りなども足元にテープが張ってあるだけで通常の列作りに戻りました。もぎりの緊張感とか、消毒しない輩への突き刺さる視線とか、全体的にそういうのが薄れている感じがします。
さらに2階には驚愕の光景が広がっていました。「徹底的に換気をしよう」という精神で、開けられる窓という窓をすべて開け放ち、11月だろうが1月だろうが外気を全開で取り入れていたはずの大相撲が、ついに、けしからんことに、窓を閉め始めたのです。うっかり開け忘れなんてレベルではありません。しっかり閉めたうえに、こんな掲示までしている徹底ぶりで、完全に閉めにきやがりやがっているのです!
↓「記者クラブの方は、ドアを開けっ放しにしないようお願いいたします」だと…!?
開けておくな閉めろ、のお願い!
あー、オワタ。何たることでしょう。どのスポーツよりも徹底的な取り組みで「コロナを押し出そう」と奮闘努力していた大相撲は一体どこへ行ってしまったのでしょうか。たくさん感染者が出たことで、逆にたかをくくってしまったのでしょうか。「大相撲がちゃんこを我慢しているなんてエライぞ」「真冬でも窓を開けててエライぞ」「テイクアウトライフとかいう知らないアプリを見つけてきてエライぞ」と思っていたあの冬は何だったのか。
これは完全に舐めてきておりますよ。今までが過剰対応だったぶん標準に戻ってきただけではありますが、「このぐらいでええやろ」感が出てきたという意味では、この先はあっという間です。地下大広間でのちゃんこふるまいの復活も目前でしょう。「飲食スペースで食べていい」ことにしたのなら「大広間でも換気しながら距離を取って食べればいいんじゃない?」「よしんば地下はダメでも飲食スペース広げればいいんじゃない?」「ちゃんこふるまっていいんじゃない?」までは早晩思い至ることでしょう。そしたら出ますわな、ちゃんこが。オープンエアーでテーブル並べて小粋なちゃんこランチが始まりますわな。
いいですか、飲食スペースだけ対策を上手くやっても不十分なのです。昼に美味しいちゃんこを食べたらどうなるかわかりますか。「夜も食べたくなる」んですよ。さっきのドンブリだと、もうちょっと食べたいくらいの量なんですよ。で、ちゃんこを食べるとき、ひとりで鍋はキツイですよね。量的に。そうしたら連れ合いの人と2名くらいで連れ立っていきますよね。ちゃんこ美味いですよね。盛り上がりますよね。ちょっとお酒なんて飲んじゃったりしますよね。ハイ「鍋会食」という考え得るなかで一番可能性高そうなヤツが始まってしまうじゃないですか。「キスしたら歯止めがきかない」くらいの確実さで「昼ちゃんこは夜ちゃんこ」なんですよ!
これはもう理事長直談判しかない!
ストップちゃんこを訴えるしかない!
理事長室がどこにあるのかはよくわかりませんでしたが、とりあえず誰でもいいから抗議をしようと「ちゃんこ美味くて盛り上がっちゃうからけしからんぞ!」と売店で売り子をしている親方を捕まえた僕。しかし、振り上げた僕の拳に、親方はそっと大相撲の良心を差し出してきたのです。「ご安心ください、お客様」「昼ちゃんこは夜ちゃんこ、よーくわかります」「ちゃんこ会食を避けるための秘策を用意しておきました」とばかりに渡されたそれは、確かに鍋会食を回避することができる完璧な秘策でした。その手があったかと唸らされるその秘策とは…!
↓おおっ、持ち帰り用のちゃんこ…!
これならそれぞれ家でちゃんこすればいいという寸法!
鍋にしなくてもいいひとり用の食べきりサイズ3食入り!
鍋にしなくてもいいひとり用の食べきりサイズ3食入り!
よかった。安堵した。大相撲は厳戒態勢は解きつつあるものの、「ちゃんこの時間だー!」と割り箸を持って突撃しているわけではありませんでした。ちゃんとお客様の安心安全を考えたうえで、できる範囲でちゃんこの提供をしてくれていたのです。しかも「どうせ夜もちゃんこしちゃうんでしょ?会食はダメです個食でどうぞ」というところまで先回りして。
これならば感想戦は鍋以外を黙食ののちに行ない、ちゃんこは各自自宅で楽しむことができそうですよね。持ち帰りちゃんこ買ったら早速食べてみたいですが、。昼ちゃんこ夜ちゃんこ翌日ちゃんこはちゃんこ過多ですからね。先にテイクアウトのちゃんこを握らせてしまえば、自然と当日夜のメニューはちゃんこ以外を選択することになるでしょう。ふー、まさに土俵際で踏みとどまったなというところでした!
↓その後は安心して大相撲観戦を楽しむことができました!
優勝争いへの布石となる注目の一番、照ノ富士と高安の取組では、高安の意地が上回った!
これはよもやよもやの今頃になっての初優勝、あるかもしれませんね!
↓引き続き感染拡大防止に努めながら、大相撲を開催していきましょう!
なお、持ち帰りちゃんこは手軽で美味しい逸品でした!お土産にもよさそうです!
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