■なぜ渡部建は佐々木希と結婚したか

6月11日発売の『週刊文春』で、複数の女性との不倫行為が報じられ、芸能活動を自粛しているお笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建さん。今もなお、彼の不貞行為にかんするニュースが絶えないのは、今回の彼の不倫騒動がそれまでの彼のイメージを覆すものであったからというのは想像に難くないだろう。

写真=時事通信フォト
「2014年度ジョージア魂賞」の表彰式で司会をするタレントの渡部建さん(東京都港区のグランドプリンスホテル高輪=2014年11月27日) - 写真=時事通信フォト

47歳という年齢には見えない容姿とスタイル、そして芸人にとどまらず、全国の有名飲食店を食べ歩くグルメの顔を持つほか、高校野球好きとして知られ、さまざまな資格を保有するマルチなタレントとして活躍していた渡部さんを特に有名にしたのはなんといっても“グルメ王”としての顔だ。

彼のブログや書籍を読むと明らかだが、その多くは簡単に入れない予約困難店ばかりだった。

現在、不倫騒動に関連した彼にかんするニュースを読むと、彼が実際に足を運んでいた飲食店についてまで言及しているメディアは少ないが、その詳細を調べてみると、彼が今回の不倫に至った理由、そして妻として佐々木希さんを選んだ必然的理由が浮かび上がってくる。

それは、一口で言えば、彼の徹底的な「ブランド志向」だ。一体、どういうことか。

過去のインスタグラムやブログ、出演した一部のテレビ番組での振る舞いでその“証拠”を示すことができる。

■なぜ「予約困難店」を好むのか。渡部の真意

365日食べ歩きをしていると公言している渡部さんは、過去に出演したあるテレビ番組で、過去訪れた飲食店の中でも、特に気に入っているお店を挙げている。

その一つが、彼が定期的に予約を入れていると公言していた、福岡県小倉にある「天寿し」。ここは日本一予約がとれないことで有名な寿司屋だ。

アルコールは一切出さず、握りのみを出すことで知られ、特に名物の赤烏賊に雲丹と飛子をのせた握りは、「天寿し」とインスタグラムで検索すると、ほとんどの人がその握りをアップしているほどのお店の看板メニューだ。

しかも、天寿しの赤烏賊は、そのビジュアルからひと目で「天寿しの握り」であることがわかる。つまり、凡百の白いのっぺりとした烏賊の握りとは違い、写真を見ればそれが「天寿し」であると一発で視認できるのだ。

さらに、彼の好む店は距離的にアクセシビリティが困難の店を選ぶ傾向が強い。

彼が好む店として、岐阜にあるジビエ料理の名店「柳家」がある。

■気軽に電話一本ですぐに席を取れるような店ではない

ここは、名古屋駅から中央本線で一時間ほどかかる瑞浪駅から、さらにバスに乗って20分ほどでようやく到着する“伝説の場所”。プロの猟師が仕留めてきたイノシシや鹿肉の炭火焼きが味わえるが、東京からのアクセスの悪さに加え、予約の取りにくさで、グルメたちの間では「行ったらうらやましがられる店」の一つだ。

ほかにも、渡部さんが好む店の一つとして、木村拓哉さん主演のドラマ「グランメゾン東京」(TBS系)のモチーフになったことでも知られる、新進気鋭の岸田シェフが手掛ける御殿山の「カンテサンス」がある。

こちらも、2名席の予約は超困難で、4名以上のテーブル席でも、基本的にグルメ仲間からの紹介がなければ実質的に足を運べないお店だ。さらに品川駅から徒歩10分以上かかるため、タクシー移動が前提、いわゆる富裕層が足を運ぶ店だ。

そして上述した店舗は、そのどれもが食べログの点数が4点台で、客単価が2万〜3万円ほどかかる。

気軽に電話一本ですぐに席を取れるようなお店ではないのだ。

■どれもこれもステータス性を示せる店ばかり

では、これが意味するものは一体なにか。

上述した店は、どれも味が絶品なのは言うまでもない。だが、渡部さんに限って言えば、彼は単に「味だけ」で足を運んでいるようには到底思えないのだ。端的に言えば、彼が好きなレストランは、どれもステータス性を示せる店ばかりなのだ。

具体的には、予約の困難さや、アクセスの悪さ、完全紹介制であったり、住所が非公開であったり、一般人が足を運べないほどの“選ばれしもの”だけが足を運ぶお店だ。当然、これらの特徴を備えている店は、そこに足を運んだだけで高いステータス性を示すことができる。

さらに、彼が尋常ではないほどステータスにこだわる証拠がある。

それが渡部さんのインスタグラムだ。

今や、お笑い芸人の多くがツイッターやインスタグラムなどのSNSアカウントを持ち、テレビ以外でも多くのコンテンツを発信している。

■大物とのツーショットばかりを並べる自己顕示欲の高さ

その多くは、出演番組の告知のほか、日常のちょっとした「笑えるネタ」だ。若手芸人となると、土佐兄弟のインスタグラム「学校あるある」のように、ネタを披露する場所として使っている。

たとえば、有吉弘行さんのインスタグラムならば、仲のよい芸人をアップし、毎回ボケた一言を添えている。5月16日の投稿では、眼鏡をかけスーツ姿のダチョウ倶楽部の上島竜兵さんをアップ。その写真とともに「理系男子」と一言添えている。

麒麟の川島さんは、タレントの顔を撮影し、毎回そのタレントの見た目からどんな人物や職業か、“仮想”で、ハッシュタグで記した投稿が人気を集めている。たとえば、相席スタートの山崎ケイさんをアップしたときには、「#古文の顧問」「#スピリチュアルの話になると急に敬語で喋り出す女性」といったようにハッシュタグで大喜利を披露している。

だが、渡部さんのインスタグラムはまったく違う様相を呈している。

彼のインスタグラムを見て真っ先に気づくのが、やたらとツーショットが多いことだ。そのツーショット相手は、妻の佐々木希さんでもなく、芸人仲間でもない。

その内容は、サッカー元スペイン代表のイニエスタ、中田英寿さんと三浦知良さんと並んだスリーショット、世界的富豪として知られる格闘家メイウェザーなど、一口で言えば、大物と写った写真が9割以上を占めているのだ。言い換えれば、芸人らしく笑える投稿は、ほぼゼロだ。

■ここまでブランドにこだわる痛々しさと港区女子との共通点

この事実が示すものは一つだ。

彼は、とにかく“ブランド”が好きで、自身にとってステータス性の高いものをインスタグラムに投稿するネタとして意識的に選んでいるのだ。その言葉通り、彼の「ブランド好き」を端的に示す投稿もある。

それはいまから8年前。

彼は、インスタグラムで10万円以上するクリスチャン・ルブタンやジミー・チュウなどの高級ブランドの靴を次々投稿している。

これらのブランドが意味するものがわからない人のために補足説明すると、渡部さんがアップしたアイテムのブランドは、どれもキャバクラ嬢や若手経営者など、派手な生活を好む人が身に着けがちなものだ。

端的に言えば、“港区女子”が好むブランドなのだ。

港区女子と言えば、高級ブランドのバッグや靴を好み、高級店の寿司やフレンチをSNSにアップするのが特徴だ。結局、ブランドまみれの渡部さんのインスラグラムを振り返ると、個々の飲食店の味が好きというよりも、ブランドバッグを身に着けるように個々の飲食店を好んでいた可能性が高いと言わざるを得ないのだ。

■「トロフィーワイフとしての佐々木希」という悲劇

こうなると、2017年に結婚した妻・佐々木希さんの存在について言及せざるを得ないだろう。

彼が好むレストランや、インスタグラムにアップする写真は、そのほとんどが誰もがうらやましがり、かつ自身のステータス性を顕示できるようなものばかりだ。「世界で最も美しい顔100人」にも選ばれた女優でモデルの佐々木希さんを彼が伴侶に選んだ理由についても、自然と納得がいく。

彼は、高級アクセサリーを身に付けるように、予約困難な寿司屋の握りを食べるように、「世界で最も美しい顔」の美女を“トロフィーワイフ”的に選んだ可能性が否定できないのだ。

最後に、過去に彼が出演したテレビ番組でのこんなエピソードを紹介しよう。

2017年5月4日に放送された「アメトーーク!」(テレビ朝日系列)の「アンジャッシュ大好き芸人」。この日登場した芸人は、土田晃之、有吉弘行、バカリズム、山崎弘也、いけだてつや(人力舎のアンジャッシュの後輩芸人)の5人。

番組内で、「渡部のココが好き」というコーナーがあった。

ここで土田さんは、渡部さんの「女を抱きまくってきた」と暴露する。さらに、有吉さんからは「メシと女、止めろって言われたら?」と究極の選択を迫る。

■渡部の裏の顔を知る人たちは驚かない

当時、番組内ではこのシーンは爆笑に包まれていたが、複数人の女性との不倫が発覚したいま、まったく笑えないシーンになってしまったことは言うまでもないだろう。

問題はここからだ。

こうした“イジり”を渡部さんはどう捉えていたか。

彼のインスタグラムを見てみると、目の上のたんこぶのように煩わしく感じていた可能性がかなり高いのだ。

彼と同じ人力舎所属のおぎやはぎなど、彼の“裏の顔”を知る芸人は佐々木希さんとの結婚式には呼ばなかったということはあまりにも有名だ。このように、彼の過去の履歴書を見れば、今回の不倫騒動はさして驚くべきものではなかったと結論づけることができるのではないだろうか。

(ライター 柚木 ヒトシ)