大勢のファンと接する機会のある、AKB48の握手会イベント

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 全都道府県への緊急事態宣言により、国民の自粛活動はいっそう徹底が進んでいる。

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 芸能界やテレビ業界でも、少し前までは行われていた無観客でのライブ配信や、番組収録にも大きな影響が出るようになってきた。

 4月13日に放送された『月曜から夜ふかしスペシャル』(日本テレビ系)では、無観客収録からさらに一歩進み、MCの村上信五とマツコデラックスが「音声出演」し、ロケVTRに音声のみでコメントするというスタイルでの放送を実施した。

出演者が多すぎたことに気づいた

「それでも面白い番組になってしまったというところに、コロナ収束後にテレビ番組作りが、大きく変化するかもと感じました」

 と、あるテレビ関係者は言う。

「これまで、にぎやかな画面や場の雰囲気を盛り上げるために出演していた“ひな壇タレント”や、ワイドショーなどで専門外のことにもコメントするような出演者が、実は、いなくても大丈夫なのではと、お茶の間でも感じはじめたのではないでしょうか」

 生放送のワイドショーや情報番組でも、「リモート出演」として、出演者の自宅や局内の別室、楽屋などからモニター越しの出演で対応している番組が、現時点で多数存在する。となりに誰かがいるわけではないため、出演者同士の掛け合いやテンポが、どうしてもなくなる、もしくはズレる現象が起きている。

「このスタイルでは、場の空気で笑いにつながるといった効果が得られなくなってしまうので、タレントの場合その人の持っている実力がそのまま反映される気がします。

 お互いのコメントを聞かないといけないので、会話にも少しのタイムラグが生じてしまうことからも、微妙な空気が流れることもある。『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)などは交代制にしていますが、無理にレギュラー出演者全員をモニターでつなぐことはないですね。極論を言うなら、出演者が多すぎた番組がいくつもあることに気づいてしまったのです」(前出・テレビ関係者)

 現時点ではコロナ収束については全く先の見えない状況が続くが、この先、収束となったとき、テレビ番組の作り方に大きな変化が現れる可能性は高い。

「しばらくの間は何を見ても、“3密”を意識する人がたくさんいると思います。現在放送中の番組にも、『○月○日に収録したものです』とテロップを出している番組がありますが、仮に早期に収束できたとしても、ひな壇にぎっしりタレントが座っているだけで気になってしまう視聴者は、きっと出現するでしょう」(同前)

 番組の出演者が減ることにより、お笑い芸人やバラドルなどの活躍する場が激減する可能性も高いということになる。好感度の高さやリアクションがうまい人以外は、一気に苦しくなるかもしれない。

アイドル業界も大打撃

「テレビ業界も大変ですが、実はアイドル業界にも大きな影響が出そうなんです」

 というのは、アイドル専門のライター。続けて、

「AKB48などの大規模な握手会イベントは、当面、再開できないのではないでしょうか。開催時期を延期するなどしていますが、この先、コロナ収束にともないイベントが再開しても、大人数が集中することと、接触が必須のイベントということで、しばらくは周囲からの批判を受けるかもしれません。これらのイベント系は今後、続けていくことは難しいかもしれません」

 さらに“地下アイドル”に関しては、主な活動の場はライブハウスであることが多い。ライブハウスでクラスターが発生したこともあり、現在は運営も難しい状況で、ほかの業種より長引く可能性が高い。

「地下アイドルはCDなどの売り上げよりも、ライブやイベントで撮影できるチェキ代や物販が命綱になっています。チェキやグッズ、音源を受注販売したり、テレビ電話などの通話サービスで対応するグループも出てきていますが、それもずっと続くと厳しいでしょう」(同前)

 アイドル界の今後のスタイルに、光明を見出すことはできるだろうか。

「AKBや坂道、これらのグループの今後の活動について、秋元康さんがどんなアイデアを出すかに注目したいですね。おそらくさまざまな案を練っていることと思いますので、そこに地下アイドルたちもヒントを得ていくのではないでしょうか」(同前)

 いまは厳しさと直面している、ひな壇芸人とアイドル。ソーシャルディスタンスをうまく取り入れながら、新たな道が生み出されるかもしれない。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉