コネクテッドTVプラットフォームのロク(Roku)はオリジナル番組の制作を検討している。広告収入ベースの同社のサービスにおいて、Amazonなどのライバルが独自の番組をますます増やしているのに対抗する形だ。同社はメディアおよびエンターテインメント企業に接触し、そこでオリジナル番組の制作を話題にしたと、関係者は語る。

会話はまだ感触を確かめる段階だったようだ。ロクとオリジナル番組制作について議論したプロデューサーのなかには、同社の計画の全容をはっきりつかめないまま会議室を出たという人もいる。ロクはメディアおよびエンターテインメント企業との打ち合わせのなかで、同社が関心をもつ番組のタイプや、番組に投じる意思がある費用といった詳細を明らかにしなかったという。

「我々は現在オリジナル番組の制作を一切していないし、今後そうする計画もない」と、ロクの広報担当者はeメールで述べた。ただし打ち合わせについては否定しなかった。

巨額の投資をしても保証はない

ロクはプロデューサーとの対話を、オリジナル番組に資金を拠出するかどうかの判断材料とするつもりなのかもしれない。オリジナル番組の制作には巨額の投資が必要になる可能性があり、見返りは保証されていない。

「オリジナルに10億ドル(約1090億円)をつぎこめないなら、本格参入とはいえない」と、ロクとの打ち合わせに出席していない、あるエンターテインメント企業幹部はいう。

今後数カ月だけを見ても、ワーナーメディア(WarnerMedia)のHBO Max、NBCユニバーサル(NBCUniversal)のピーコック(Peacock)、クイビ(Quibi)といった新サービスの提供開始が予定されており、サブスクリプション型または広告収入型のストリーミングサービスで配信される番組は増加の一途をたどっている。必然的に番組がヒットする確率は低くなり、結果としてFacebookやYouTubeは、広告収入ベースのオリジナル番組制作への投資を縮小する判断を下した。

オリジナル番組制作の可能性

ロクの社員が秘密裏に同社のオリジナル番組制作への関心を示したのは、今回のプロデューサーとの対話がはじめてではない。以前米DIGIDAYが報じたところによると、これまでにもロクの社員がアドバイヤーに対し、オリジナル番組への出資を検討していると言及したことがあった。あるエンターテインメント企業幹部は、1年以上前にロクのコンテンツ獲得チームの幹部社員と話したとき、オリジナル番組制作が話題に出たが、その後は音沙汰なしだと述べた。

ロクがもしオリジナル番組制作に乗り出すなら、広告収入型ストリーミングサービスでオリジナル番組を配信し、オーディエンス獲得をめざす、数々の企業への仲間入りとなる。ウォルマート(Walmart)傘下の(ただし報道によればNBCユニバーサルによる買収交渉が進んでいる)ブードゥー(Vudu)は、2019年に初のオリジナル番組をリリースし、2020年には12のオリジナル番組の配信を予定している。またAmazonのIMDb TVは、ドラマやリアリティ番組の制作に、1エピソードにつき数十万ドル(数千万円)の予算をつぎ込んでいる。

「どのプラットフォームも、視聴者を集めるためにはオリジナルを配信しなくてはならない。ロクは(ブードゥーやIMDb TVと比べて)初期段階にある」と、ロクのオリジナル番組構想に詳しいある人物はいう。

コンテンツが成長の重要要素

ロクが自社の広告収入型「ロクチャンネル」でオリジナル番組を配信するとしたら、広告主に自身を売り込む材料になりそうだ。同チャンネルは24時間放送で、現段階では他社からライセンスされた旧作映画やテレビ番組を放送している。「コンテンツがなければ、大きな投資を呼び込むのは難しい。いまの彼らは独自コンテンツのないプレイヤーのひとつにすぎない」と、ロクを担当するアドエージェンシーの幹部は語った。

Tim Peterson(原文 / 訳:ガリレオ)