コンデナスト・エンターテインメント(Cond Nast Entertainment:以下、CNE)は、プロジェクトをストリーミングサービスやテレビネットワーク、映画配給会社に売り込むため、制作アプローチの再編を行っている。

その方法は、5つの傘下メディアに独自のスタジオを与えるというものだ。コンデナストのエンターテインメント部門であるCNEは、プロジェクトの視野を広げ、記事をテレビ番組や映画に翻案するだけでなく、プロジェクトのフランチャイズ化を目論んでいるのだ。

CNEは、傘下のメディアの一部(GQ、ニューヨーカー[The New Yorker]、バニティフェア[Vanity Fair]、ヴォーグ[Vogue]、ワイアード[Wired])にそれぞれの専用スタジオを開設し、これらのメディアの記事にすぐにアクセスできるようにするとともに、CNEが記事をベースにプロジェクトを立ち上げる機会を増やす予定だと、CNEのプレジデントを務めるオレン・カゼフ氏は語る。

「これまでは(プロジェクトのベースになる記事に)ファネルのずっと下層になってから、ようやくアクセスできるのが常態だった」と、カゼフ氏はいう。記事が紙媒体やオンラインで公開されてから、CNEが外部企業とともにパッケージ化して、プロジェクトとして売り込むというのが、CNEがプロデュースする作品の典型的な流れだった。2017年の映画『オンリー・ザ・ブレイブ(Only the Brave)』はこのパターンだ。

編集チームを緊密に連携

CNEは今後、5つのスタジオの責任者を指名し、彼らの下で働くチームを招集する。スタジオの責任者はカゼフ氏の直属となるが、同氏によれば、責任者たちはプロジェクト候補作を検討するため、各媒体の編集チームとも「非公式に連携」をとる。CNEは、スタジオ責任者と各媒体がどのような協働体制をとるか(たとえば、どんなミーティングで同席するか)に関して、まだ細部を詰めている段階だが、各媒体と「緊密につながった」形になるだろうと、カゼフ氏は述べた。

スタジオ責任者とメディアの編集チームを緊密に連携させることで、記事の公開前に「フランチャイズの機会を熟考する余裕が生まれる」と、カゼフ氏はいう。たとえば、CNEが記事と並行してポッドキャストシリーズを制作し、これを記事に基づく番組を補完するものと位置付けつつ、記事と同時公開することで、メディアミックスコンテンツ全体により関心を集めることができるだろう。

番組や映画をバイヤーに売り込む前に、こうした包括的パッケージを制作することで、CNEが契約を獲得できる見込みは高くなるだろう。ワーナーメディア(WarnerMedia)のHBO MaxやNBCユニバーサル(NBCUniversal)のピーコック(Peacock)など、業界大手が続々とストリーミングサービスへの参入を宣言し、作品の過剰供給で市場が飽和しつつあるなか、配信企業はほかと一線を画す映画や番組を生み出せる制作会社を求めている。これにより、ボックス・メディア(Vox Media)、ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)、アクシオス(AXIOS)などのパブリッシャーは、メディア企業と協力して、Netflix、FXネットワーク(FX Network)、HBOなどと契約を結び、番組の価値を高めた。また、バニムマレー・プロダクションズ(Bunim-Murray Productions)などの昔ながらの制作会社は、シェアビリティ(Shareability)などのマーケティング会社への投資を活発化させている。

媒体のブランド力を有効活用

加えて、傘下の有力メディアが利用するスタジオを設立することで、CNEは媒体のブランド力をより効果的に活用し、テレビネットワークやストリーミングサービスにプロジェクトを売り込むことが可能になる。「現段階では、我々はたいていコンデナスト・エンターテインメントとして(コンテンツを売り込む)市場に乗り込んでいる」と、カゼフ氏はいう。

「彼らにとって、ブランド中心の方法にフォーカスするのは理にかなっている。それぞれのスタジオに明確なコンセプトを授けることができるからだ。ブランドにはそれぞれ個性があるので、個々のスタジオに別の責任者がいた方が、個性をよりよく理解できる」と、メディアコンサルティング企業クリエイティブメディア(Creatv Media)の創業者ピーター・チャティー氏は話す。

各媒体専用のスタジオは、CNE内部で単体として制作にあたるわけではなく、社内のさまざまなチームと協働する予定だ。スタジオと手を結ぶのは、ロサンゼルスにあるCNE本社の外で業務にあたる映画・TV関係の幹部社員や、18の動画メディアで配信するデジタル動画を担当する開発、プログラミング、制作チーム、そして新設が予定されているポッドキャストチームなどになるだろう。なお、コンデナストの広報担当者は、CNEのフルタイム社員の数について回答を避けた。

Tim Peterson(原文 / 訳:ガリレオ)