NECのPC戦略から迷いが消えた? ユーザーニーズを見切った新製品は成功するのか

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●大量のラインナップで強気に「攻める」NEC
NECパーソナルコンピュータ(NEC)は1月21日、都内にて「2020年春 新製品発表会」を開催し、同社の個人向けパソコン(PC)シリーズ「LAVIE」の新規9タイプ、全53モデルを発表しました。

Windows 7の延長サポートが2020年1月14日で終了しましたが、これに関連して2019年はPCの買い替え需要が増え、NECも売上を大きく伸ばしました。
今年はその反動期となるため売上の下落も懸念されている中、NECは「どんどん攻める」強気の戦略を打ち出しています。

その「攻める」戦略の背景には何があるのでしょうか。


強気の大量ラインナップの勝算はどこにあるのか


●勝機と商機は「商品ニーズの明確化」にある
NECはPCラインナップを4つのセグメントに分けています。

・Pro:ビジネスマン向け(法人向けとは別)
・Hone:一般家庭向け
・Education:学生・教育機関向け
・Game:ゲーミングユース向け
このように製品をターゲット別に特化させることで、購入者に「どんなPCが自分に合っているのか」を分かりやすく示す戦略を採用しています。

例えばProカテゴリーでは、
従来からモバイル用途で人気を博している「LAVIE Pro Mobile」に加え、今回フォトグラファー向けに特化した「LAVIE VEGA」を発表しました。


「フォトグラファー向け」というニッチなターゲット層に向けた「LAVIE VEGA」

LAVIE VEGAは、主に写真編集に特化した性能を打ち出したノートPCです。
一般的なモバイルノートPCの写真編集の作業では、
・画面が小さい
・ディスプレイの表示品質が低い(解像度や色域が狭い)
・処理性能が低い
こういった弱点があります。

また動画編集も可能な外部GPUを搭載したノートPCとなると
・持ち歩きに適さない重さ
・バッテリー持続時間が短い
・ディスプレイ品質まで求めると非常に高価格
こういったデメリットもあります。
つまりフォトグラファー向けのPCとしてはオススメしづらいポイントがいくつもあります。

そこでNECでは、
・4K対応・広視野角有機ELディスプレイ(15.6型ワイド)
・第9世代Core-i7 9750H(2.60GHz/最大4.50GHz)
・SSD+インテル Optaneメモリー
・10時間以上のバッテリー駆動時間
このような、写真や動画編集に必要とされる
「高画質・高性能・高速」の3要点を重視した仕様のPCを製品化しました。
※AMD Ryzen 7 3750H(2.30GHz/最大4.00GHz)と15.6型ワイド・スーパーシャインビューLED IPS液晶(フルHD)を組み合わせた廉価モデルもラインナップしている。


圧倒的な表示品質を持つ4K有機ELディスプレイとそれを活かせる高速性能を搭載

こういった「商品コンセプトやニーズの明確化」は、LAVIE VEGAだけではありません。
学生向けとしてラインナップされた「LAVIE Note Mobile」では、
・コンパクトさ
・軽さ
・高速起動
・長時間駆動
・デザイン
・価格
こういった、高校生〜大学生が重視するポイントに絞った設計になっています。

またさらに年齢の低い、教育分野で「K12」と呼ばれる小学生〜中学生向けの「LAVIE First Mobile」では、
・PCの使い方やアプリを楽しく使える
・軽くて持ち運びやすい
・長時間駆動
・勉強だけではなく動画視聴にも利用しやすい
・Windows標準のペアレンタルコントロール機能を使いやすく
こういった、初めてPCに触れる子どもたちにも安心安全な機能と性能を追求しています。


LAVIE First Mobileは、タブレット部(本体)のみなら653gと非常に軽く、子どもでも持ちやすい


●NECは、PCの「売り方」に迷う時期を抜け出した?
現在は、スマートフォンの普及によって「PCはもう不要」といった声も聞かれるようになっていますが、大学生や新社会人のPCスキルの低下が社会的な課題になりつつあります。

これまでもNECは、
ビジネスパーソン向けから新小学生向けまで幅広くニーズをカバーする多機種のラインナップ戦略を展開してきました。
しかしニーズやターゲットを絞りきれないままに機種数のみ増やしたことが、業績の低迷も生みました。

そこで、使う人のニーズをより深く研究し、そのニーズに合わせた仕様のPCをピンポイントに用意する戦略へ転換したのです。

NECパーソナルコンピュータ 執行役員の河島良輔氏は、ビジネスパーソン向けの「LAVIE Pro Mobile」の2019年モデルについて、

河島亮輔氏
「世界最軽量などにこだわらず、お客様のニーズと徹底的に向き合った結果、前世代(LAVIE Hybrid ZERO)に対し1.4倍の売れ行きとなった」

このように語り、技術や先進性のアピールではなく、より顧客ニーズに寄り添った商品戦略が成功のカギとなったことを強調しています。


徹底的な市場調査とユーザーニーズの把握が成功につながった

PC業界全体でも「絶好調」と語る河島氏の語気は強く、壇上でも何度となく「どんどん攻める」と自信を見せていました。
その強気の姿勢と自信に溢れたプレゼンの様子は、数年前のNECには見られなかった姿でもあります。
NECが、
「どうすればPCが売れるのだろうか」
そう頭を抱えていた時代はすでに過去のものになりつつあります。

Windows 7のサポート終了後となる2020年、
NECのニーズの明確化によるセグメント戦略は、成功するのか?
その結果が非常に楽しみな1年となりそうです。
執筆 秋吉 健