オールブラックス恒例の「ハカ」を取り囲むイングランドの「V字」陣形【写真:Getty Images】

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V字の陣形がセンターラインを越えたことが問題に、英紙が報道

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は準決勝でイングランドがニュージーランドを下し、決勝進出を決めた。この一戦で話題を呼んだのは試合前にオールブラックス伝統の「ハカ」にイングランド選手たちが応酬。V字隊列で取り囲むシーンは今大会屈指の名場面となったが、主催者の国際統括団体ワールドラグビーはこの行動でイングランドに罰金処分を科したことが明らかになった。

「イングランドがニュージーランドのハカにV字フォーメーションで対峙して罰金処分」と報じたのは、英地元紙「ガーディアン」だった。

 その奇襲は世界中を驚かせた。オールブラックスが「ハカ」の隊列を組み、リード役が掛け声を上げ始めると、イングランドも動いた。敵陣にゆっくり歩き出すと、センターサークル付近でV字の陣形を形成。中央のオーウェン・ファレル主将は笑みを浮かべるなど、不敵な態度を崩さず。精神的な優位性を示し、開始96秒のノーホイッスルトライにつなげて見せた。

罰金額は約35万円以下と見られ、ペナルティとしては軽微?

 ファレルは「我々はただ立ち尽くしたり、受け身になることはしたくなかった」と試合後に語っていたが、奇襲の代償がやってきたという。記事によると、イングランドはワールドラグビーから「罰金処分」を受けたと報じられている。

 大会規約では対戦チームはキックオフ前に敵陣に入ることは許されておらず、ハカの際に、イングランドのV字隊列の両端の6選手がV字編隊で敵陣に侵入。これが規約違反の対象となったと報じられている。ワールドラグビー側も29日に「(V字の件は)すでに処分済み」と発表したという。

 罰金額については「(英ポンドで)4桁の額」と見られる一方、同様の事件で2011年大会決勝でフランス代表のほぼ全員が試合前に敵陣に侵入したペナルティで支払った2500ポンド(35万円)を下回る模様と記事では分析している。奇襲成功の代償は罰金35万円以下と見られ、名将エディ・ジョーンズ監督は軽微なペナルティで最大の効果をもたらしたと言えるかもしれない。(THE ANSWER編集部)