また、きのこは水洗いすると旨みや風味が逃げてしまうものがある。スーパーなどに出回っているきのこは、清潔な環境で栽培されているので基本的には問題ないが、気になる場合は、湿らせたキッチンペーパーなどで軽く拭きとるといいだろう。

★酢きのこで効果アップ

 きのこは、様々な角度から体に働きかけてくれるが、お酢を加えることで、さらに強力な健康メニューとなる。お酢の研究も行い、「お酢博士」としてテレビや雑誌、ラジオなどに登場する小泉先生は、きのこを酢漬けした「酢きのこ」をお勧めしている。

「お酢には疲労回復や食欲増進、高血圧の改善、中性脂肪を減らす、糖尿病の予防・改善など、多くの健康効果があります。最近は、お酢と野菜類を組み合わせた『健康酢』が人気ですが、酢きのこにすることで、本来の味をしっかり残したまま、お酢ときのこの健康効果をまとめて摂ることができます」(小泉先生)

 酢きのこの容器は、できるだけ多めの容量のものを選ぶと出し入れしやすくて便利だ。保存容器は密閉できるもので、ふたに金属を使っていないガラス製やホウロウの容器がお勧め。お酢には殺菌作用があるので、容器や消毒にこだわる必要はないが、水気がない清潔なものを使おう。また、酢きのこを食べたあとの残ったお酢の中に新たなきのこを入れると味が損なわれ、さらに衛生的にもよくないので再利用はNGだ。

 酢きのこは簡単に作れ、一度作れば冷蔵庫で約1週間キープできる。料理をしない方、酸っぱいのが苦手な方も、ぜひチャレンジを。

◎きのこの有効成分
*βグルカン
食物繊維の1つで、免疫機能を高めてがんを予防する効果がある。抗悪性腫瘍薬としても用いられている。

*ビタミンB群
糖質の代謝に働きかけるビタミンB₁やB₂、筋肉作りや肌・粘膜の健康維持に役立つビタミンB₆が豊富。

*ビタミンD
カルシウムの吸収を助け、丈夫な骨を作るのを手助けする。特に、きくらげに多く含まれている。

*Dフラクション・Xフラクション
“まいたけ特有”の成分。免疫力を強くし、がん治療への応用も。

*レンチナン
“しいたけ特有”の成分。アトピー性皮膚炎の症状を改善する働きも確認されている。

◎きのこの働き
糖質・脂質の代謝を促進
コレステロール値の改善
動脈硬化の予防
免疫機能の活性化
便秘の解消
ダイエット効果

◎酢きのこ(約500ml分)
材料
・しめじ:1パック(約100g) ・しいたけ:6枚 ・エリンギ:2本
・酢(お好みのもの):カップ2分の1(100ml)
・砂糖(またははちみつ):大さじ1(15g)
・塩:小さじ2分の1(2.5g)
・水:カップ2分の1(100ml)

作り方
(1)しめじは石づきを落としてほぐし、しいたけは石づきを落として1㎝幅に切り、エリンギは縦半分にして薄切りにする。すべてのきのこを耐熱容器に入れ、ラップをかけてレンジに3分かけて水気を切る。

(2)酢、砂糖、塩、水を鍋に入れて沸騰直前まで温める。

(3)保存容器に(1)を入れ、(2)を注いで粗熱がとれたら冷蔵庫で保存。ひと晩おいたらでき上がり。冷蔵庫での保存目安は約1週間。

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監修/小泉幸道先生
東京農業大学名誉教授。専門は発酵食品学。発酵食品の科学的な成分変化と機能性に関する研究を行ってきた。監修書に『やせる・若返る・病気が消える! お酢レシピ 完全版』(笠倉出版社)などがあり、「お酢博士」としてテレビ等で活躍中。