窮地からのカムバック 渋野日向子が首位で最終日へ!(撮影:村上航)

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<全英AIG女子オープン 3日目◇3日◇ウォーバーンGC(イングランド)◇6585ヤード・パー72>
「緊張はなかった」。3日目を終えて単独首位に立った渋野日向子は、前半で苦戦するも後半に大爆発。6バーディを奪い、初日と同じく「30」の快進撃を見せ、リーダーボードのトップに躍り出た。
現地で撮影!これが世界に通用する渋野日向子のドライバースイング【動画】
前半は苦しい展開が続いた。2番のパー5では3打目を1メートルに寄せてバーディとしたが、その後はカップに嫌われた。5番パー4でセカンドをミスしボギー。9番では3パット。笑顔がトレードマークの渋野の表情が曇った。
すべてがはじめての経験。海外メジャーどころか海外ツアー初参戦で3日間60台を並べ、トータル14アンダー。2位に2打差をつける快進撃は、どのように生まれたのか。すべてはこの9番と10番のあいだから始まった。
3パットボギーの直後。10番ティ横の茶店トイレに駆け込んだ。「あそこで発散しました」と、数分後に出てきたが、その時点では怒りを消化しきれていなかった。ミスショットになってもおかしくないまま放ったティショットは、フィニッシュを崩しながらもフェアウェイど真ん中をヒット。セカンド地点に向かった。
そこまでは、キャディを務める青木翔コーチと並んで歩いてきたが、ここでコーチが渋野から離れる。「あそこは1人で考えてほしかった。意図的に先に行きました」(青木コーチ)。1人でセカンド地点に到達した渋野。怒りは消えていなかったが、そこから度胸満点のゴルフが戻った。「まだ怒っていましたけど(笑)、ヤケクソに打ったらピンに(向かって)いったので、『あ、大丈夫』かなと」(渋野)。ピン右3メートルにつけ、これを沈めて反撃を開始した。
続く11番パー5はティショットを大きく左に曲げた。「めっちゃ振ったらどチーピン(笑)」。幸いにも前に打てる状況で、この時点で怒りは収まった。ところがここで約2メートルを決めきれずにパー。それでも続く12番では1.5メートルにつけバーディ。「あそこで入ったのでそこで流れが変わった」と曇りが一転、晴れマークに変わり、その後の猛ラッシュにつなげた。
笑顔多きラウンドが注目されている渋野だが、怒りや悔しさが襲うことだってラウンド中に1度や2度ではない。ましてや海外メジャーともなれば、曇りは幾度となく訪れる。それを自らの感情コントロールで笑顔を取り戻し、同組で首位を走るアシュレー・ブハイ(南アフリカ)にプレッシャーをかけ続けた。
13番はピンをかすめるショットで惜しくもパー。14番ではピンを果敢に攻めて下りの難しいパットを沈めてバーディ。15番パー5ではセカンドを花道まで運ぶとそこから寄せてバーディ。笑顔を取り戻した渋野に追いつく者は、もはやいなかった。そして16番でついに首位に並んだ。「攻めないと勝てない、逃げてボギーはいやだから」。17番もバーディで単独首位、そして18番もバーディで突き放し、圧倒的な強さを見せつける形で、圧巻のバックナインが幕を閉じた。
「きょうが日曜であれと思っていたんですけど、日曜日じゃなかった(笑)。あしたも絶対緊張すると思うけど、最後まで攻めて、頑張れば優勝できるかもしれない。この位置なら優勝を狙わないわけにはいかないので…」
渋野らしい言葉で1日をまとめ、あすへの抱負を語った。現地でも渋野のスマイルはもはや誰もが知るところ。『笑う門には福来たる』。樋口久子が「全米女子プロ」を制したのが1977年。42年ぶりの海外女子メジャー制覇に向けて、日本のスマイルシンデレラが、最後まで笑顔で走り抜く。(文・高桑均)
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