22日に開かれた、"闇営業問題"に関する吉本興業の岡本昭彦社長らの記者会見。発端は反社会的集団との関わりの問題だったが、今やメディアの関心はテレビ番組を巻き込みながら吉本の内部事情に変質していっている。
 

■「会見前に気合を入れていたわりには…」

 現地で取材に当たったAbemaNewsの辻歩キャスターは「異様な雰囲気だった。印象的だったのは、司会の方が"これから会見を始めます"と宣言し、会場がしんとなった瞬間、バックヤードから"いくぞ!オウ!"という声が聴こえてきたこと。そして拍手で送り出すような雰囲気があった。前の方に座っていた記者たちには聴こえていたと思う。そして神妙な顔つきで岡本社長たちが出てきた。ただ、気合を入れていたわりには、岡本社長が何を聞いても同じようなことしか返さないし、疲労感があった」と振り返る。

 危機管理広報コンサルタントの山口明雄氏も「海外では社長がメディアを通して自分の気持ちなりを伝えられるかどうかによって、会社だけでなく業界も影響を受けるということをよくご存じだ。だから年に二度 、三度と、危機に対応する"メディアトレーニング"という訓練を行っているし、"自分が1年の間に割ける時間の内の何%をPRに、さらにその内の何%を危機の対応のための訓練を行う"という具合に、メディア対応は自分の仕事の一部だという認識も持っている」と話す。

 「今回の会見を見ると、そうした認識が欠如しているように感じたし、"日本を代表するエンタメ企業のトップがこうなのか"、と、エンタメ界そのものにも影響を与えてしまったという意味では0点、もっと言えばマイナス点だ。本来、謝罪会見は一度で済ませるのが鉄則だ。一度であれば、人の記憶もある程度のところまでしか残らないからだ。しかし、そこに嘘があったり、説明ができなかったりすると、もう一回、もう一回となり、悪い印象が残り続けてしまうことになる。結局、なんのための記者会見だったのか。もっと言うと、誰かお手伝いをしたのだろうか」。
 

■「テレビ局なども含めた株主の責任が問われることになる」

 元講談社で、「スローニュース」代表を務める瀬尾傑氏は「会見で見えてきたのは、大崎会長を守りたいという吉本側の意図だ。実は一連の報道後、大崎さんは記者会見こそしなかったが、新聞社やネットメディアの中から自分で選んだ媒体のインタビューには答えていて、そこでは自らに責任があるということを認めた上で、コンプライアンスにも言及していた。にもかかわらず、今回は岡本社長に全てを押し付けたような格好になっている。これは明らかにおかしい」と指摘する。

 「この状況で自浄能力が働くかといえば、それは無理だと思う。加藤浩次さんも今の経営陣では変わらないと考えているからこそ、"取締役を変えてくれないと僕は辞めると"言って、大崎会長に直談判しに行ったのだと思う。ただ、所属芸人や従業員だけにそうした責任を押し付けるのはかわいそうだし、これを非公開企業の"お家騒動"として放っておいていいとも思えない。なぜなら吉本興業は政府や地方自治体と組み、仕事を請け負っているし、教育事業にも進出するなど、すごくパブリックなこともやっている。そうであれば、透明性のある経営がなされなければならない。現体制が続くにせよ、新体制ができるにせよ、それを認めるのかどうかも、テレビ局なども含めた株主の責任が問われることになるし、社外取締役もきちんと意見を言って、ガバナンスを立て直すべきだと思う」。
 

■ケンコバ「ほとんどの芸人がお笑いを忘れてしまっているような、変な感覚」

 吉本興業の子会社・Showtitleに所属している山田菜々は「私は契約書があります。お給料についてもちゃんと話し合いをしました」と説明。また、吉本所属のお笑い芸人・ケンドーコバヤシは、後輩に当る山田を気遣いながらも、神妙な面持ちで話し始めては岡本社長の発言をネタにして何度も笑いを誘っていたが、「メディアの中枢を担おうとする会社が、これではいけないということですよね。ただ、今SNSなどで発信しているやつらも、直接言いに行けよと思う。僕も気にくわないことがあると会社に言いに行くタイプで、その度に強烈なパワーボムを食らって帰って来るんですが…(笑)。宮迫さんと亮さんについては性格も知っているし、本当に事故的なものだったはずだと今も思っています。ただ結果として、被害者もおられる反社会勢力に関わってしまったことだけは、いつまでも頭を下げ続けないといけないと思う」ともコメント。

 「実は宮迫さんと亮さんの会見の前日がAVメーカー3、4社の新作発売日で。買いに行こうとして社員に止められました。"今はAmazonという手もありますから"と(笑)」と再び得意の下ネタで笑わせた上で、「お家騒動を見せるって恥ずかしいこと。ほとんどの芸人がお笑いを忘れてしまっているような、変な感覚があるんですよね。個人的には、他の芸人は笑かせよう、と思ってしまうんですよね。結果的に芸人界では孤立してしまってるんですが…」と複雑な表情を浮かべていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)
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