「プレイステーション5(仮)はハードコアゲーマー向けニッチ製品」ソニーCEO語る(WSJ報道)
ソニーが今年5月の経営方針説明会にて公式に言及した、次世代ゲームコンソールことPS5(仮称)。同社の吉田憲一郎CEOおよび関係者が、より詳細な内容を語ったことが報じられています。Wall Street Journalによると、吉田氏は最近の会社戦略ブリーフィングで「プレイステーション(PS5)が本格的ゲーマーを対象としたニッチ製品」と呼んでいたとのこと。キャラクターの顔に複雑な光学効果を使用する「レイトレーシング」など、次世代機の細かな表現力スペックを話したと伝えられています。

とはいえ、この言葉は額面通りの「狭い市場で満足する」というふうには受け取れません。

2人目のソニー関係者の談話によると、同社は人々がグラフィックを多用したゲームを遊ぶためにビデオゲーム機を買うと信じているとのこと。WSJはこの戦略を「スパイダーマン」のような一握りの超大作で無料エンターテイメント動画の洪水を打ち消そうとしたソニーピクチャーズのそれに部分的に似ているとコメント。つまり「リッチな映像を見るために映画館に行くように、ゲーム専用ハードをわざわざ買うユーザーはリッチな表現力を求める」といったところでしょう。

さらに会社関係者は「ソニーはマイクロソフトが次世代の主要な競合相手であり、インターネット技術が進歩するにつれてGoogleが中長期的に潜在的な脅威になる。任天堂は主要なライバルとして認識されていない」と述べているとのこと。任天堂ハードが低く見られているからではなく、主要ユーザーが自社のコアユーザーよりも年齢が若い傾向があり、市場が競合しないと見なされているようです。

ソニーの幹部やソフトウェアメーカー各社の話では、PS5に向けて大手パブリッシャーに注力しているとのこと。同社としては複数のゲーム機で並行してソフトを販売するマルチプラットフォームではなく、独占コンテンツないし初期に独占販売期間を設けることを望んでいると示唆されています。

その一方でインディーゲームも歓迎はしているものの、やはりリソースが限られているため大手パブリッシャーとの関係強化に重点が置かれるとのこと。ここでも人々はそのゲーム機でのみ遊べる高品質のゲームのためにハードを購入するのであり、スマートフォンでも遊べる小さなゲームは動機とならないと述べられています。

こうした高品質のグラフィックかつ処理速度を重視する方向は、やはり「中長期的に潜在的な脅威」とされたGoogleのゲームストリーミングサービスStadia対策と思われます。ソニーは5月の経営方針説明会でも、クラウドサービスはときおり不安定になるインターネット接続に依存しているため、最新のグラフィックを安定して表示するには家庭用の高性能マシンが必要だと強調して、暗にStadiaをけん制していました。

WSJによると、ソニー吉田CEOはPS5につき「グラフィックレンダリング速度を劇的に向上させる」と説明し、その(PS4からの)変更は「次世代ゲーム機を採用するのが合理的な理由を明確に示している」と述べていたとのことです。

発売直後の専用ゲームが乏しい最新ゲームハードを買い支え、それほど熱心でもないユーザーに普及させるきっかけの「アーリーアダプター」となるのは、常に最先端のゲームを求めるハードコアなゲーマーです。WSJはソニーが自社のソフトウェアスタジオでより大きな予算のゲーム開発を目指しているとも伝えていますが、PS5のスペックを最大限に引き出した超大作を楽しみに待ちたいところです。