阪神の本拠地・甲子園球場

写真拡大

阪神は2019年6月9日、甲子園で日ハムと対戦し、4−3でサヨナラ勝ちした。同点の9回、2死2、3塁の場面で代打・原口文仁捕手(27)がセンター前にサヨナラタイムリー。大腸がんから復帰した原口の一打による劇的なサヨナラゲームでチームは3タテを阻止し、交流戦3勝3敗とした。11日からは敵地・ヤフオクドームに乗り込み、パ・リーグ首位のソフトバンクとの3連戦に挑む。

序盤に先制を許しても中盤、終盤で試合をひっくり返す。昨シーズンはあまり見られなかった逆転劇が、今シーズンの阪神好調の一要因となっている。9日の試合でも同点の6回に大田泰示外野手(29)の2ランで突き放されるも、7回に同点に追いつき9回のサヨナラをお膳立てした。矢野燿大監督(50)が「みんなよくやってくれた」と涙ながらに話すように、投打がかみあっての勝利だった。

サヨナラを呼び込んだベテラン藤川の好投

9回の一打逆転のしびれる場面で原口が虎党の期待に見事に応えた。大腸がんからの復帰は、虎党のみならずプロ野球ファンを感動の渦に巻き込んだ。阪神OBで野球解説者の野口寿浩氏(47)は、9日の試合において重要なポイントとなったのは、藤川球児投手(38)の回をまたいでの好投だったと指摘する。

「藤川投手が8回、9回の2イニングをしっかりと抑え、試合の流れを引き寄せました。スピードガン表示を見て物足りないと思うファンの方もいるかもしれませんが、体感スピードはかなりのものがあります。コントロールも以前より良くなっていますし、変化球にもキレがあります。延長戦が考えられるあの場面で、藤川投手が2イニングを抑えきれたのは、チームにとっては大きかったと思います」

交流戦2カードを終え3勝3敗と、勝率5割をキープしている。矢野監督のもと、チームがまとまり、勢いを増しているが、不安材料となるのが失策の多さだろう。ここまで61試合を消化して、失策の数は12球団ワーストの「54」。この数字は、セ・リーグ最少の中日の「20」の倍以上となる。ここ数試合においても失策が絡んでの失点シーンが見られ、敗因のひとつとなっている。

「選手は矢野監督の言動から何かを感じているはず」

「野球にエラーはつきものです。バッテリーをはじめ、ミスをどれだけカバーできるかが大事です。11日からはソフトバンクとの3連戦となりますが、相手にチャンスとなるようなミスをしないこと。スキを見せてはいけません。かといって硬くなる必要はないと思います。普段通りの自分たちの野球をしてソフトバンク戦に臨んでほしいです(野口氏)

また、かねてから矢野監督の「パフォーマンス」を称賛する野口氏は、9日の試合後に見せた指揮官の涙について言及した。

「選手のために泣いてくれる監督はそうそういません。選手が活躍すれば手放しで喜ぶ。負けた試合は全て自分の責任。選手は矢野監督の言動から何かを感じているはずです。ベンチの雰囲気はかなりいいと思います。その中で原口選手の一打でサヨナラ勝ちですから、非常にいいチーム状態で福岡に乗り込めるのではと思います」