BuzzFeedやハフィントンポスト(Huffington Post)をはじめとする大半のアメリカのパブリッシャーが最近、国際的に事業を縮小せざるを得ないなかで、デジタルメディアパブリッシャーのポップシュガー(PopSugar)は、イギリスでの成長を加速させている。

この女性向けライフスタイルパブリッシャーは、初のイギリスのコンテンツディレクター、ソフィア・パニッチ氏を雇ったばかりだ。彼女は、イギリスで毎日執筆される約200件の記事管理の補助を行う編集スタッフを数人雇う予定だ。記事には、現地のオリジナルコンテンツとアメリカ人チームが執筆した国際的な訴求力のあるストーリーなどがある。現在、ロンドンを拠点とするこのパブリッシャーには、編集スタッフとコマーシャルスタッフあわせて10人が在籍し、数週間以内にスタッフを2人増員予定だ。一方で、アメリカには、イギリスのチームと緊密に連携する職務を担うスタッフが存在する。

ポップシュガーは、イギリスでの存在感を高めるうえで、アメリカのほかのパブリッシャーよりも慎重な姿勢を取った。イギリスのオーディエンスをマネタイズする試みをすぐに行うのではなく、2012年にロンドンで最小限の編集スタッフを雇った。このチームは、4年間、現地の市場ではどのようなコンテンツが受けるか、オーディエンスはどのような人かを理解する仕事を続けた。ポップシュガーの主任収益管理担当者であるジェフ・シラー氏によると、それらの洞察は、編集案を差別化し、2016年からコマーシャルチームに広告主への売り込みを開始させるうえで役立つ基礎となり、その価値が証明されたということだ。イギリスのオーディエンスをマネタイズしなかったが、実のある4年間となった。「空を飛びながら飛行機を作りたいとは思わなかった。それは、無計画になりうる」と、彼は言った。

海外事業のマネタイズ方法



必要最低限の人員からなるチームでパブリッシャーが海外事業をマネタイズする確実な方法としては、アメリカのオフィスから管理できるプログラマティック広告を設定することが、しばしば行われる。しかし、ポップシュガーにとって、それは選択肢ではなかった。ポップシュガーのイギリスにおけるビジネスモデルは、ダイレクトなネイティブ広告取引、そして、エージェンシーと、スキンケアブランドであるアビーノ(Aveeno)のようなダイレクトな広告主の両者、およびブランドコンテンツで提携することを中心にしていた。一方で、アメリカのチームは根気強く待ち続けた。

今年の前半期の広告収益は、昨年と比較して、2桁のパーセンテージで順調に増加しているとシラー氏は言うが、具体的な数字は明かさなかった。ポップシュガーは、2019年には収益は43%増加すると予測しており、そうなった場合、今年には順調にいけば利益が出ることになる。同社は動画を制作しているが、もっとも収益を上げているのは、依然としてテキストベースのブランドコンテンツ記事であり、これが収益を増加させている大きな原動力となっていると、シラー氏は付け加えた。

シラー氏によると、ポップシュガーは育児やライフスタイル、美容、ファッションコンテンツまで扱い、ロンドン市民だけでなく同国の女性全体にも訴求するように、イギリスにおける編集方針を広げたという。「世紀のロマンスを持っているこの猫たちは、互いに向き合って生きている、私の心はそれを受け入れることができない(These Cats Who Live Across From Each Other Have the Romance of the Century, and My Heart Can’t Take It)」や「このママは、息子の特別なニーズをサポートするために 「急降下」 した客室乗務員に感謝している(This Mum Is Thanking a Flight Attendant Who ‘Swooped’ In to Help Her Son With Special Needs)」などの長い見出しのニュース記事が、次々にWebサイトに公開されるのが通例だ。

競合他社に対する優位性



コムスコア(Comscore)によると、イギリスでは、同サイトには300万人のユニークユーザーがいるという。同パブリッシャーは、ミレニアル世代の女性の4人に1人にリーチしているという。それでも、競争は依然として激しく、バッスル(Bustle)やリファイナリー29(Refinery29)、コスモ(Cosmo)ら、いずれの企業も類似のオーディエンスをターゲットにしている。メディアアナリストによると、イギリスにおけるブランド認識においては、ポップシュガーは成長の余地があるということだ。

「メディア企業数社が18歳から40歳の女性にリーチできる『他社にはない独自の』能力があると公言しているが、現実には、多くの企業がオンライン上で非常に似通ったことをしようと試みている」と、エンダーズ・アナリシス(Enders Analysis)でアナリストを務めるアリス・ピクタール氏は言う。アメリカにおける長年の事業のなかで、これらの企業はタブーラ(Taboola)によって利用可能なネイティブ広告以外でもマネタイゼーションを生み出せる専門知識を有しており、ブランデッドコンテンツも持っているため、ブランドライセンシングやライブイベント、さらにはショップスタイル(ShopStyle)のマネタイゼーションに進む可能性を秘めている。

アメリカでは、ポップシュガーはブランドの代わりに独自の技術を開発しており、イギリスのコマーシャルチームはイギリスの市場でもっとも人気が出ると思われるものを選び出すことで収益を上げられる。たとえば、イギリスでは、トレンドランク(TrendRank)がしばしば利用される。これは、どのような話がソーシャルメディアプラットフォーム上で人気を博すかを予想する著作権付きのトレンド予測ツールだ。同パブリッシャーによると、このツールはイギリスではブランドクライアントに人気があるという。

「イギリスのクライアントは、私たちが持っているデータすべてや理解していることを最大限に活用し、オーディエンスと大きな規模で結びつきを持つ方法について規範的でありたいと考えている」と、ポップシュガーでイギリスのコマーシャルディレクターを務めるヘイリー・シャープ氏は言う。「イギリスのクライアントは、アメリカ人のようにホワイトレーベルを制作するのではなく、私たちの確かな実績を活用したいと考えているのだ」。

Jessica Davies (原文 / 訳:Conyac)