ウォルマート(Walmart)のeコマース事業は、2桁成長率が続いている。

小売大手のウォルマートは米国時間5月16日、第1四半期の業績発表のなかで、米国のeコマース売上高が前年比で37%増加したことを明らかにした。CFOのブレット・ビッグズ氏は用意した発言のなかで、ファッションやホームと並んで「オンラインの食料雑貨が引き続きeコマースの成長に大きく寄与している」と述べた。収益は1%増の1239億ドル(約13兆円)だった。

ウォルマートのeコマース戦略にはいくつかの柱がある。第1に店舗を訪れる顧客にウェブサイトにも来てもらうため、食料雑貨のピックアップや、店舗の「アソシエイト(従業員)」と一緒にオンライン注文ができるなど、さまざまなオムニチャネルサービスの構築を進めてきた。第2にeコマースで高額な商品がもっと買われるように、子供向けアパレルのベッチー・ジョンソン(Betsey Johnson)やリーバイス(Levi's)、ベビーカテゴリーのスマートホーム製品などのように、プレミアムブランドの品ぞろえを拡充してきた。最後に、迅速な配送オプションを展開する設備を整えるため、強固な物流ネットワークの構築を進めてきた。2017年には、食料雑貨配送のオプションのために、即日のラストマイル配送を専門とする物流スタートアップのパーセル(Parcel)を買収。また2016年には、eコマースのマーケットプレイスであるジェット・ドット・コム(Jet.com)を買収し、米国のeコマース業務の統括に同社創業者のマーク・ロア氏を起用した。

食料雑貨



ウォルマートは食料雑貨をeコマース戦略の土台にしており、この年末までに3100店舗で食料雑貨のピックアップを、また1600店舗で食料雑貨の配達を実現する方向で進めている。食料雑貨は、ウォルマートの幅広い店舗のネットワークを活かすのに役立つし、毎週のように買い物が必要な商品でもある。コーウェン・アンド・カンパニー(Cowen and Company)による4月の分析によると、現在、ウォルマートの買い物客のだいたい11〜13%が食料雑貨のピックアップサービスを使っている。

「デジタルの食料雑貨の分野は、買い物客からするといまだに混乱する――Amazon自体が、消費者向けパッケージ商品の入手方法を顧客に4通り提供している」と語るのは、ガートナーL2(Gartner L2)のリサーチディレクターのビル・ダフィー氏だ。「特にウェブサイトでは、食料雑貨のピックアップが無料で利用できることを明確に示して、フルフィルメントのオプションと受け取り方に関する啓発を進めている」。

ホームと家具



ウォルマートはまた、ホーム、ベビー、ファッション、ペットといったカテゴリーのオンラインの品ぞろえ強化に特に積極的に取り組んできた。2018年には、ウェブサイトのホームセクションと家具セクションのデザインを一新。製品カテゴリーのほかにスタイルからも買い物ができるようにしたり、より「心に訴える」画像を取り込んだり、社内スタッフが書いたデザイン書体を持ち込んだりした。それから1年が経ち、ウェブサイトのホームカテゴリーへの訪問は35%増加したと、ウォルマートは発表している。

ウォルマートはこうしたカテゴリーで、プレミアムブランド、プライベートラベル、セレブとコラボレーションした限定ブランドなどを増やしている。ウォルマートによると、ペットカテゴリーと子供ファッションカテゴリーは、この1年でどちらも100を超える新ブランドが加わった。ベビーカテゴリーでは、新商品を大量に追加したほか、再設計したレジストリ(ほしい物リスト)を2019年のはじめにリリース。レジストリの事前入力を手伝うチャットボットを採用し、親になる人たちが育児のために必要になるというテーマに基づいた贈答品が提案されるようにした。また2018年には、ロード&テイラー(Lord & Taylor)との提携を発表し、ウォルマートのウェブサイトで同ブランド品の取り扱いをはじめた。 

オムニチャネルは高コスト



eコマースは相変わらずコストがかかる。CEOのダグ・マクミロン氏は1月の業績発表で、同社は「収益性の向上をもっと進める」必要があるとしたうえで、ウォルマートはリピーターを増やせているので、そうなるはずだと述べた。

そして、この四半期、ウォルマートによると、より良好な品ぞろえを構築することでeコマースのマージンを向上させることもできたという(具体的な数字は明らかにしなかった)。

ウォルマートが翌日配送を展開する理由のひとつは、配送費の削減になるからだ。翌日配送の対象になる商品は、ウォルマートが複数の箱をより長期で配送するのではなく、最寄りのフルフィルメントセンターからひとつの箱で発送できるものということになる。

また、フォレスター(Forrester)の小売アナリストであるスチャリタ・コダリ氏は、ウォルマートのオムニチャネルのサービスはまだ、配送の一貫性に問題を抱えていると語る。オンラインの注文品をピップアップできる店舗内のタワーのなかには、24時間年中無休ではないものがあるし、オンライン商品の入手状況が不正確なことが時折あるという。

「(オンラインの注文品を店舗で)顧客が簡単にピックアップできるようにしたことで、Amazonの代わりになり得るものにはなったが、道程はまだ長い」と、コダリ氏は語った。

一方のAmazonは、品ぞろえと投資の意欲で上回っていることもあり、引き続きウォルマートをリードすることになると主張している(Amazonは直近の業績発表で全商品の即日配送の実現に8億ドル(約875億円)を投じることを明らかにしている)。ウォルマートが翌日配送を展開すると発表した際、Amazonは、「迅速な配送の競争を掲げるところが出てきているが」、Amazonはすでにたくさんの商品の即日配送を提供しているというツイートをした。

Anna Hensel (原文 / 訳:ガリレオ)