小林陵侑【写真:Getty Images】

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圧勝でW杯12勝目、本場から称賛相次ぐ「センセーショナル・コバヤシ」

 ノルディックスキーのワールドカップ(W杯)ジャンプ男子個人第25戦(ノルウェー・トロンヘイム)は14日、個人総合優勝を決めている小林陵侑(土屋ホーム)が合計298.4点で今季、通算ともに12勝目を挙げた。2本目には最長不倒となる141.5メートルの大ジャンプを飛んだ場面を国際スキー連盟(FIS)が動画付きで紹介し、本場の欧州メディアは「まだしてもコバヤシは無敵」「とにかく彼は規格外だ!」と絶賛の嵐。ファンからは「FISは彼が人間なのかサイボーグなのか調べるべき」と慄いている。

 この男の強さは、もはや“日常”になりつつある。小林陵は1回目に141メートルで首位に立つと、2回目に最長不倒の141.5メートルをマークして圧勝。すでに日本男子初のW杯個人総合優勝を決めていたが、ノルウェー版ジャンプ週間の「Raw Air Tournament」でさらに勝ち星を伸ばし、歴代3位のシーズン12勝目を挙げた。

 FIS公式ツイッターは「優勝:木曜日に行われたトロンヘイム大会のリョウユウ・コバヤシ2回目のジャンプ!」とつづり、優勝を決めた大ジャンプを動画付きで公開。美しい飛形からガッツポーズを炸裂させ、海外ファンから「FISはリョウユウ・コバヤシが人間なのかサイボーグなのか調べるべきだと思う」とのコメントがついた。

 また、FIS公式サイトでは「リョウユウ・コバヤシ、アンドレアス・スティエルネンのおとぎ話のような現役ラストを阻む」と見出しを打って試合をレポート。この試合で引退が決まっていた地元ノルウェーの英雄スティエルネン(2位)の有終の美を期待したファンの希望を打ち砕いて圧勝したことを伝えている。

過酷レースで強さ発揮「またコバヤシは無敵」「とにかく彼は規格外!」

 また、本場の欧州メディアも続々と特集している。ドイツのスポーツ総合サイト「sport.de」は「センセーショナル・コバヤシ――ドイツは3選手がトップ10」と特集し、写真に「またしてもコバヤシは無敵だった」とキャプションをつけて紹介。本文でも「コバヤシは無敵」と重ねて伝えている。

 衛星放送「ユーロスポーツ」は「とにかく彼は規格外!」と伝えた上で「Raw Air Tournamentの最初の2戦は平凡な成績に終わったが、トロンヘイム大会ではファンタスティックなジャンプ2本を決めて反撃に出た」とレポート。1戦目オスロは5位、2戦目リレハンメルは3位と上位に食い込んでいるが、それを小林陵にとっては「平凡」と表現したくなるほど、強さを買っているようだ。

 ポーランド公共放送「TVP」は「Raw Air:コバヤシが圧勝! ポーランド最高位はジラ」と伝え、大会を紹介した動画でも「見事なジャンプでコバヤシが優勝」と伝えている。オーストリア大衆紙「Kronen Zeitung」は「コバヤシがまたしても特級(のジャンプ)。W杯総合王者は2位のスティエルネンに10.4点差をつけて勝利した」とレポートした。

「Raw Air Tournament」は過酷なサバイバルレース。男子は10日間で4会場を転戦しながら、個人戦予選(4)、個人(4)、団体(2)をノンストップでやるハードな日程だ。3大会11回のジャンプを終えて、小林陵は総合2位の1346.9点。トップのシュテファン・クラフト(オーストリア)と9.5点差で、こちらも逆転Vの可能性もある。シーズン終盤まで、見逃せない戦いが続く。(THE ANSWER編集部)