業界首位のセブン-イレブン(左)と、追うファミリーマート(右)

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コンビニ大手の業績は軒並み好調も…

 「小売業界の勝ち組」とも称されるコンビニ業界。日本フランチャイズチェーン協会によれば、2018年の年間売上高(全店ベース)は約11兆円。利用客は年間約157億人、店舗数は5.5万店にも上る。近年は宅配便などの物流拠点や、銀行ATMなどの金融拠点、災害発生時の物資拠点としての役割を担うようになり、私たちの生活に無くてはならない社会インフラとしての機能を有するようになった。

 そのコンビニ各社で、近年業績に変化が生じている。セブン&アイHD、ユニー・ファミリーマートHD、ローソン傘下のコンビニ大手3社では、店舗数や規模の拡大を背景に売上高は増加傾向だが、その伸び率は前年に比較して鈍化するなど、コンビニ各社の業績拡大ペースには頭打ち感も出てきた。

セブン-イレブンにおける収益力の源泉、ファミリーマートとの差は「揚げ鶏」1個分?

 コンビニ大手3社の業績を見ると、依然としてセブン-イレブンが売上高、営業利益率ともにトップで、2位以下を大きく引き離している。

 業績をもう少し詳しく見てみよう。チェーン店を含めた大手3社のコンビニ事業における直近3年間(2015〜17年度、各2月期)の売上高を、決算期末時点の店舗数と年間日数で除し、1店舗当たりの平均日販金額を算出。また、コンビニエンスストアFC統計(日本フランチャイズチェーン協会)から、全国のコンビニ1店舗当たりの1日平均来客数を算出し、1店舗当たりの平均日販金額から一人当たり平均購買単価を推計して割り出した。

 その結果、コンビニ大手3社のうちセブン-イレブンは735円、ファミリーマートは558円、ローソンは480円となり、セブン-イレブンの平均購買単価が突出した。2位のファミマと比較すると、その差は177円。2016年度(209円差)に比べ、17年度は凡そ「揚げ鶏」1個分相当の差に縮まったものの、なおセブン-イレブンの平均購買単価が高水準で推移している。

 セブン-イレブンでは、早くからPB(プライベートブランド)商品に着目。価格帯はやや高めながら高品質を謳った「セブンプレミアム」の展開や、中食市場への参入などを果たし、顧客に支持されてきた。その結果、惣菜や飲食品など日用品に「付加価値」の創出が可能となり、顧客単価は増加傾向で推移している。また、冷凍食品や総菜などレジ横商品の強化、新しい店舗レイアウトの導入も、「ついで買い」需要の喚起に一役買っており、収益力の源泉となっているようだ。

 2016年にサークル・K・サンクスと統合した新生「ファミリーマート」も、統合前と比較して大幅に平均購買単価が向上した。両社の看板商品である「ファミチキ」や「濃厚焼きチーズタルト」などが一手で販売可能となるなど、統合によるシナジー効果を発揮。また、「炭火焼きとり」や「中華まん」を大幅にリニューアルすることで集客にもつなげている。業界首位のセブン-イレブンを追う同社にとって、中食やテイクアウト商材の強化は集客力と顧客単価向上の要となっている。

ローソンは顧客囲い込みに期待がかかる

 他方、やや苦戦気味なのはローソンだ。近年は同社の店舗当たり平均日販も減少傾向にあり、首位のセブン-イレブンとは200円以上離れている。ローソンは「まちCafe」など商品ラインナップや、夕夜間の営業強化などで差別化を図る。また、同社は2018年に「ローソン銀行」を開業し、顧客囲い込みの強化を目指すなど今後の巻き返しに期待がかかり、同社の動向に目が離せない。