「「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」はシリーズ最高傑作だ:ゲームレヴュー」の写真・リンク付きの記事はこちら

「大乱闘スマッシュブラザーズ」(スマブラ)が帰ってきた。これからしばらくは、その人気が続くだろう。最新作の「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」(スマブラSP)は、任天堂の対戦アクションゲームのなかでも、最も壮大かつスピーディーな作品に仕上がっており、技術的にも目を見張るものがある。まさに、ヴィデオゲームの文化をリードしてきたその歴史を祝うのにふさわしいゲームだ。

何より、わたしたちがゲームをする理由を、いま一度思い起こさせてくれる。つまり、友達や家族で集まってスマブラを起動し、みんなにプリンを選ばせ、モンスターボールとゴールデンハンマー以外のアイテムはすべてオフにし、かわいらしいプリンで倒すか倒されるかの修羅場を楽しむのだ。かわいいプリンは、おちおち眠れないだろう。

スマブラのファンは、このゲームには2つの楽しみ方があることを知っている。これはきわめて本格的な格闘ゲームで、ソニックでパックマンの顔面にパンチを繰り出すことができる(逆に、ロボットに連打されて失神することもあるのだが)。

その一方で、このゲームではたくさんのジョークが楽しめる。ガノンドロフが、ソーセージを切り刻んでいるMr.ゲーム&ウォッチに倒されるシーンなどが見られるのだ。しかも、純粋なゲーマーやゲームイヴェントに出るような人のために、過去のスマッシュブラザーズに登場したことのあるキャラクターがすべて登場。スマブラSPから追加された新しいキャラクターも含め、すべてのキャラクターがこの壮大なゲームに集結した。

そのスケールは、ファイターの数が74種類(そのうち11種類はスマブラ初参戦)で、ステージが103種類という大規模なものだ。さらに、ファイター以外のキャラクター、それにアイテムやスピリッツが数え切れないほど用意されている。

シンプルであるという美点

しかし、スマブラSPが実によくできている点は、その規模を考えれば、きわめてシンプルなゲームになっていることだ。プレイヤーは、自分の好きなキャラクター、ステージ、そしてルールを選ぶことができる。これが、20年近くにわたってプレイされ続けてきた秘訣だろう。このゲームは、ヴィデオゲームの歴史に対する賛辞なのだ。しかも、とてつもなく楽しい。

スマブラSPには、「灯火の星」という1人用のアドヴェンチャーモードが用意されている。このモードは、カービィ以外のすべてのキャラクターが消滅した世界が舞台だ。プレイヤーは、ゲームの歴史が詰まったこの広大な世界を冒険しなければならない。これは、格闘ゲームとパズルゲーム、それにゲームの歴史を知るミュージアムの要素を兼ね備えたモードだ。

プレイヤーの使命は、さまざまなテーマが設定されたバトルを戦いながら、ファイターやその他のキャラクターを解放することにある。ステージによっては、床に電撃が流されていたり、敵がメタル&ジャイアント化していたりする。

バトルの難易度は、解放できない背景キャラクターや、プレイヤーが収集するスピリッツによって変わる。また、「大乱闘スマッシュブラザーズX」のフィギュアと同じように、スピリッツをファイターにセットすることで、能力を強化したり新しい能力を追加したりできる。

例えば、電撃床を無効化するスピリッツをセットすれば、電撃床があっても、難なく通り抜けられる。ルカリオがファイターなら、一部の攻撃のパワーを強化できるスピリッツをセットすればいい。マルスやリンクがファイターの場合は、剣の殺傷能力を高めるスピリッツを使おう。

© 2018 Nintendo、Original Game: © Nintendo/HAL Laboratory, Inc.
、Characters: © Nintendo/HAL Laboratory, Inc./Pokémon./Creatures Inc./GAME FREAK inc./SHIGESATO ITOI/APE inc./INTELLIGENT SYSTEMS/Konami Digital Entertainment/SEGA/CAPCOM CO., LTD./BANDAI NAMCO Entertainment Inc./MONOLITHSOFT/CAPCOM U.S.A., INC./ SQUARE ENIX CO.,LTD.

結果として、灯火の星は、驚くほど複雑で戦略性の高いゲームモードとなっている。スピリッツは、さまざまに組み合わせたりレヴェルを上げたりすることが可能だが、レア度の高いスピリッツほど、ファイティングリストのなかでより多くのスペースを食う。だから、追加のパワーをたくさん組み合わせればいいというわけではない。

要するにプレイヤーは、ディスプレイ上のゲーミング・ヒストリーを大事にしながら、組み合わせをあれこれ調整するのに時間をかけることになるだろう。

楽しいノスタルジアの世界

灯火の星の世界は広大だ。たとえ20時間かけてプレイに没頭しても、探索すべき場所がまだまだ残っているだろう。さらに、「スピリッツボード」という別のモードがある。ここで特殊なバトルに勝てば、まだ解放されていないスピリッツをさらに獲得できる。だが、このゲームはあまりに内容が多過ぎると思う人もいるだろう。オプションや設定など、ありとあらゆる要素がたくさんあり過ぎるのだ。

その一方で、任天堂のゲームの歴史が詰め込まれたこの巨大なミュージアムで、ノスタルジアにどっぷりと浸れる人もいるはずだ。また、新しいスピリッツはキャンディのように簡単に利用できるが、新しいファイターは扱いが難しい。それでも、膨大な数のスピリッツが、新しいファイターに力を与えてくれる。どのモードでプレイしていてもだ。

© 2018 Nintendo、Original Game: © Nintendo/HAL Laboratory, Inc.
、Characters: © Nintendo/HAL Laboratory, Inc./Pokémon./Creatures Inc./GAME FREAK inc./SHIGESATO ITOI/APE inc./INTELLIGENT SYSTEMS/Konami Digital Entertainment/SEGA/CAPCOM CO., LTD./BANDAI NAMCO Entertainment Inc./MONOLITHSOFT/CAPCOM U.S.A., INC./ SQUARE ENIX CO.,LTD.

任天堂はスマブラSPの狙いについて、スペシャルの名にふさわしく、これまでのシリーズで登場したファイター全員を参戦させることだったと説明している。リンクが3人いるうえ、ウルフがカムバックし、スネークやピチューも戻ってきた。また、リドリーがついに登場したのに加えて、インクリング、クロム、デイジー、キングクルール、ケンといった「ストリートファイター」シリーズのファイターも参戦した。それ以外にも、たくさんのキャラクターがいる。その数はとてつもなく多い。

実にスケールの大きなゲームなので、任天堂が別の新しいゲームをつくるとは考えにくい。任天堂が、勝利の方程式として存在してきたものを完全に再発見しようと思わない限り、ということだが。

素晴らしきスピード

スマブラXがゲーム自体にさまざまな問題を抱えてしまったのに対し、スマブラSPは、「ニンテンドーゲームキューブ」向けの「大乱闘スマッシュブラザーズDX」で消えてしまったものをうまく復活させている。ファイターとその動作はバランスが取れており、ファイターはまるでダンスを踊っているかのように画面上をスムーズに動く。

たしかに、ファイターのなかには、リドリーとベヨネッタのように、あまりにもパワーが強いものもある。だが、前よりすばやく動くようになったピカチュウの操作をマスターすれば、やはり勝てるようになるはずだ。

スマブラSPで何よりも素晴らしい点は、そのスピードだ。実に快適にプレイできる。任天堂がゲームキューブのコントローラーを再びサポートした理由もここにある。カービィの操作方法を体で覚えれば、ほかのどんなコントローラーよりもすばやく操作できるようになるだろう。

その速度は、スマブラの上級ユーザーや、ゲームイヴェントに出るユーザーにうってつけである。彼らはいまでも、17年前にリリースされたスマブラDXを使っているのだ。

スピードの速さをなにより実感できるのが、マルチプレイのときだ。スマブラSPは8人が同時にプレイできるため、みんなで大画面TVを囲みながら三日三晩過ごしてしまうことになりかねない。

シリーズで最もマルチプレイ向きに

これまでと同じく、スマブラの遊び方は、たくさんのオプションをどのようにカスタマイズするかで決まってくる。設定によって、カオスがさらに引き起こされたり、少なくなったりするのだ。

1分ごとにステージを変化させることもできる。ホームランバットやうさぎ頭巾を最大限に活用してもいい。アシストフィギュアしか使わないようにすることも、もちろん可能だ。あるいは、すべてのオプションをオフにして、フォックスに思いのままにキックさせることもできる。

© 2018 Nintendo、Original Game: © Nintendo/HAL Laboratory, Inc.
、Characters: © Nintendo/HAL Laboratory, Inc./Pokémon./Creatures Inc./GAME FREAK inc./SHIGESATO ITOI/APE inc./INTELLIGENT SYSTEMS/Konami Digital Entertainment/SEGA/CAPCOM CO., LTD./BANDAI NAMCO Entertainment Inc./MONOLITHSOFT/CAPCOM U.S.A., INC./ SQUARE ENIX CO.,LTD.

最大8人での同時プレイが可能になうえ、ヴィジュアルとコントロールの両方がスムーズになったことで、スマブラSPは、スマブラのなかで最もマルチプレイに適したゲームとなった。最初は、画面上で起こるさまざまな出来事を把握するのも難しいだろう。8人のプレイヤーがひしめき合った画面では、たくさんあるアイテムを理解したり、攻撃を繰り出したり、敵の攻撃をかわしたりするだけで精一杯になるはずだ。

あなたはゲームプレイ中に何度も、「自分はいまどこにいるんだろう?」と思うことだろう。だが、次第に脳と指が慣れてくる。かつて体で覚えていた動作を突然思い出し、まるでバレリーナのように、あちこちのステージを駆け巡ったり、縦横無尽にパンチを繰り出したりできるようになるのだ。

しかし、またしても自分の姿が突然見えなくなり、「あれ、自分はどこにいったんだ?」と息を呑むことになる。隣でボタンを激しく叩く音が聞こえるなか、あなたは自分がステージの端に力なく立っていることに気づく。すぐ近くで、とんがり帽子をかぶったピカチュウが待ち伏せをしている。そして、あなたは動こうとする間もなく、強烈な閃光とともにステージから吹き飛ばされてしまうのだ。

この時点で、すでに何時間も過ぎており、あなたの手は痛くなっている。だが、指にできるタコは名誉の印だ。それに、もう1回プレイをして何が悪いというのだろうか。