成功率は東京の方が高いけれど…。「ウミーベ」が福岡で起業したワケ/LEADERS online
音大出身でなぜ起業?
本名は渡部一紀。
元々は、バンド活動をしていて、そのころに「カズワタベ」と名乗っていたことの名残もあり、現在もこの名前を名乗っている。
大学は洗足学園音楽大学でジャズの専攻。パートはギターだった。昔から、自分で事業をしたいという願望はあったというカズワタベさんにタケが食いつく。
タケ:
なぜ音大に進んだのですか?
カズ:
自分が好きな経営者はクリエイター系の人たちが多く、彼らは経済学部、経営学部卒ではなかったのです。
その後、2010年くらいに在学中にやっていたバンドが解散することになる。その時、デザインやインターネットが好きだったため、以前からやりたいと思っていたウェブサービスを作る事業をやってみようと思い、Twitterで知り合った人たちと起業。
「Grow」というサービスでFacebookの「いいね!」ボタンのように、「Grow」というボタンがサイトに埋め込まれていて、そのボタンをクリックするとクリエイターにチップが送れるというもの(※現在はサービス閉鎖)。
その後、フリーランスを経てできたのが「ウミーベ」という会社である。
ウミーベの立ち上げと福岡への移住
カズワタベさんは、フリーランスになった時点で福岡に移住。なぜ、福岡を選んだのか?
カズ:
福岡はバランスが良い街で、家賃は安い、空港に近い、食べ物が美味しい、街がコンパクトなので自然も近いんです。中心街から車で20〜30分行けば、綺麗な海もあります。
将来は漁師を志すタケも「福岡は、釣り人には最高の環境ですからね」と前のめりに答える。さらにタケが畳みかける。
タケ:
ウミーベは福岡だから生まれたということですか?
カズ:
自分の興味関心と場所が上手いことマッチしたんです。元々は色々な事業のアイデアがあり、どれも東京でやった方が成功率は高いと思ったのですが、釣りに関しては東京よりも西日本の方が盛んで(総務省発表のデータより)、『これなら福岡でやる意味がある』と思って立ち上げました。
創業した時点で構想していたのは、釣り人の交流サイトの「ツリバカメラ」。
これを開発している最中に「ツリホウ」という釣りの情報サイトを先に立ち上げた。
特に「ツリホウ」は、初心者に向けた釣り情報サイトで、カズワタベさんもその時、まだ釣り歴1年半。
道具、釣り場、糸の結び方など、分からないことがたくさんあったが、これがヒントになり「同じように困っている人がいるのでは?」と思ってサービスを立ち上げた。
立ち上げた後は1年後に月間30万PVあればいいと思っていたが、半年で月間100万PVを超え、ピーク時は200万PVあった。
釣りは、アウトドアレジャーでは随一の人口であり、雑誌などはあったものの、会社が運営しているウェブサイトは少なく、それが見事にヒットした。
新しいサービスや商品はどこから?
ウミーベではWebサイトやアプリを開発・運営しているだけでなく、釣りをしたときに手についた魚の「臭い」や「ぬめり」を消すハンドソープ「フィッシュソープ」を販売している。
去年の9月に発売し、現在では釣具屋店を中心に300店舗くらいで取り扱っている。
タケ:
これ一見、誰にでも思いつきそうだけど...。
カズ:
意外となかったんですよね。
これまでは台所用洗剤の原液やあら塩など、色々な方法が試されていたが、どれも手がゴワゴワになるものが多かった。
コアな釣り人は気にならなくなっているが、周りの人はひとたまりもない。
ウミーベは「釣りをやさしく」をコーポレートビジョンに掲げているが、「釣りをした後に手が臭い」ことは圧倒的に優しくない。
初心者にとっては、釣りの後に手が臭いことは高い壁となっていた。
実際釣りをやっていない人、一回やったきりの人に話を聞いたら、継続してやらない理由に「手が臭い」が真っ先に出てくる。
カズ:
そこを改善しないことには、インターネット上の情報をどんなに整備しようと、実体験の方にネガティブなポイントがあると意味がない。ハンドソープであれば、単価も安いしとれる範囲のリスクだと思い立ち上げました。
元々、ユーザーとしてインターネットが好きなので、他のジャンルでの同じようなサービスを色々見ているカズワタベさん。
「それを釣りに活かすにはどうすればいいだろう?」と考えているという。
それが形になるのは、会話の中だったり、風呂に入ってたりしてるときだそうだ。
特に、福岡に住んでいると、九州の温泉へのアクセスも良い。普段は目先、短期的なことに頭を使いがちだが、風呂に浸かりリセットしたタイミングで長期的なプランが思いつくことが多いのだ。
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【転載元】
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