ピーナッツもやしの生産を手掛けていた出萌(いずも)、事業を停止し自己破産申請へ

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 出萌(株)(TDB企業コード:800706354、資本金9800万円、登記面=福岡県糸島市二丈深江字宮小路973、代表岩橋孝行氏、従業員30名)は、12月4日に事業を停止し、事後処理を吉成外史弁護士(東京都港区赤坂3-2-12、あかつき総合法律事務所、電話03-5574-7791)ほか1名に一任、自己破産申請の準備に入った。

 当社は2004年(平成16年)4月にピーナッツスプラウト(ピーナッツもやし)の生産・販売を目的に福岡市南区で設立。2006年に佐賀工場(佐賀県みやき町)を設置して生産・販売を本格化させて以降は、酢漬けやキムチ漬けなどの加工品製造にも乗り出し、食品商社などを通じて首都圏や近畿圏などに向けた業務用・一般家庭向け製品を出荷していた。高価ながら栄養価が高いピーナッツスプラウトは健康ブームにも乗って需要が拡大し、2008年11月に福岡市のインキュベート施設(福岡県福岡市東区)に入居するほか、2009年9月には福岡工場(福岡県糸島市)を開設し、年売上高は2012年3月期に10億円を突破した。

 さらに、同年には佐賀工場を増設(第二工場)し、ピーナッツスプラウト生産を集約。地元産のタマネギ、キャベツ、トマトなどの卸販売を開始するほか、福岡工場では、グループ会社を通じて総菜や野菜チップスなどの加工品製造にも乗り出した。その間、ベンチャーキャピタルからの出資を得るなどで増資を重ね、2014年に関東工場(千葉県成田市)、2015年にはシイタケを栽培する和歌山工場(和歌山県有田町)を開設し、2016年3月に現本店へ新築移転。2017年9月にはカフェレストランなども備えた産直店舗「いずもマルシェ酒々井」(千葉県酒々井町)をオープンするなどで、2018年3月期は年売上高約32億1600万円を計上した。

 しかし、設備投資に見合う収益が得られず、急速に増大した借入金の返済が重荷になり資金繰りが悪化していたなか、不正会計が発覚。一部の金融機関との協議・調整を重ねる一方、佐賀第二工場を売却するなどで立て直しを模索したものの、金融機関からの支援継続が見込めないと判断、今回の事態となった。

 負債は2018年3月期末時点(当社公表値)で約25億5500万円だが、変動する可能性がある。