提供:週刊実話

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 安倍晋三首相の「総裁3選」で内閣改造したばかりの永田町で、早くも「ポスト安倍に向け、水面下で菅義偉官房長官の動きが急ピッチだ」と囁かれ始めた。しかも、こんな意味深長な尾ヒレがつく。
「公明党、創価学会の一部幹部と組み、菅政権誕生時のシミュレーションをしているような本気モード」

 その真相を追う――。まず、菅政権誕生時の「シミュレーション」とは一体何を指すのか。
「今年は、安倍政権の命運を左右する重要選挙で菅氏が必ず表に出てきた。いずれも、まるで自分が政権の主のような動きです。ポスト安倍への“練習”のようだ」(自民党幹部)

 つまり、もし菅政権ならどう戦うか――そういう行動に見えたというのだ。
 重要選挙とは、
(1)米軍普天間基地移転先の辺野古を抱える2月の沖縄・名護市長選。稲嶺進氏が移転阻止で3期目を目指した。ここを自民寄りの市長が奪還。
(2)6月の新潟県知事選。現職知事の女性スキャンダル辞任で急きょ出直し選挙となった。柏崎刈羽原子力発電所の再稼働問題が焦点の一つだった同県知事選では、与党支持候補が僅差で当選した。
(3)9月30日投開票の沖縄県知事選挙。米軍普天間基地移転の県内移設反対を貫いた翁長雄志氏の急逝に伴う知事選で、野党が支援した“翁長後継者”の玉城デニー氏に敗れた。
 結果は2勝1敗。政権運営するうえでの影響はかろうじて死守した。自民党関係者が振り返る。
「3選挙の陣頭指揮は菅官房長官が執った。名護市へは何度も現地入りし、道路建設や環境整備費バラマキ策を大宣伝。さらに、120億円で子供の給食費、保育費を無料にすると与党候補に訴えさせた。沖縄県知事選では、知事権限とは無関係の“与党候補支援なら携帯代金4割安を実現する”と街頭でアピールした。名護市同様、子供の保育料、給食費、医療費の無償化も訴えた。政策一つ一つが菅政権の政策のようでビックリしたのを覚えている」

 そして、この「菅政権」を全面バックアップするのが創価学会だ。
「菅官房長官と佐藤浩創価学会副会長が一心同体で、選挙を裏で仕切った」(学会事情通)
 2人の関係を深くしたのは、2014年11月に遡る。当時、橋下徹大阪市長が二重行政排除の「大阪都構想」を進めていたが、当初、協力的だった公明党が手のひらを返し、反対に回った。橋下氏は烈火のごとく激怒。同年暮れの総選挙で公明党候補が出馬する大阪3区等に、刺客として橋下氏らが立候補するという喧嘩を仕掛けたのだ。
「これには公明党、創価学会が真っ青になりました。大阪は池田大作名誉会長時代から学会、公明党の金城湯池で常勝関西の最重要拠点。飛ぶ鳥を落とす勢いだった橋下氏らが出馬したら、公明党候補は落選する。佐藤副会長が橋下氏とパイプの太い菅官房長官に泣きついたのです」(同)

 菅官房長官は、橋下氏らの出馬を取りやめることに成功。以来、菅―佐藤ラインは強固なものになった。
 前述の名護市長選では、創価学会の原田稔会長も全面支援。事前の世論調査で稲嶺氏がダブルスコアで優勢だったのを、大逆転勝利へと導いた。

 新潟県知事選では、菅官房長官が地元自民党幹部と学会の選挙方針トラブルを調整して勝利。同選挙で小泉純一郎元首相らが野党候補寄りに動いたものの、菅―佐藤ラインが一蹴、その強さを見せつけた。

 そして、沖縄県知事選だ。原田創価学会会長らが再度フル稼働。5000人規模の学会員らも沖縄入りし、フレンド票の掘り起こしに動いた。

「辺野古への移設に地元公明党は反対の立場です。それでも、自民とタッグを組むのは来年の参院選を睨んでいるから。公明党は選挙区7人、比例6人の全員当選を目指すが、それには自民の協力が必要不可欠」(選挙アナリスト)