「おもてなし」「ホスピタリティ」「お客様第一」を掲げる金融機関は決して少なくありませんが、実際に窓口で実感できる機会は皆無といって過言でないでしょう。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、東京・巣鴨にある「地域密着のサービスを実践し、多くの人から慕われている信用金庫」を紹介しています。

地域とともに生きる! それが商売人の使命

おばあちゃんの原宿「巣鴨」。ご存知のように、高齢者と言っては失礼なくらいに元気なおばあちゃん・おじいちゃんがたくさん集まってくる場所です。その一角に、“地域の人びととともに生きる”「巣鴨信用金庫」はあります。古くさいキャッチフレーズを紹介しているのではありません。本当に地域に貢献しているのです。

とげぬき地蔵尊の縁日にあたる「4」のつく日の営業日には、金庫利用者ではない一般の人にも、店内を解放しています。地蔵尊界隈にはトイレが少ないためです。さらに、誰もが気軽に休憩できるように、建物3階を「おもてなし処」とし、お茶やお菓子を振る舞っています。また、日常的なサービスとしては、マスクや咳をしている人には、キャンディを渡す心配りまで。月に1回は、「お楽しみ演芸会」も開催しています。

巣鴨という場所柄もありますが、気軽に入ることができ、自分を大切にしてくれるので、店内はいつもお年寄りばかり。お年寄りに愛される金融機関なのです。口座を開設している年金受給者にはプレゼントを渡したり、年金の無料宅配サービスまで行っています。年1回の誕生日プレゼントは、お年寄りも楽しみにしています。ここまで至れり尽くせりの金融機関は他にありません。

大口の預金者でもなければ、金融機関が“おもてなし”をすることなど、あり得ません。それを「巣鴨信用金庫」は、ごく普通のこととして、日常的にやっているのです。利用者としては、もてなされて気分を害することなどなく、多少なりとも「預金してあげたい」という気持ちになります。

ここは、高齢者の多い地域ならではのサービスを実践し、人びとに愛されているのです。大手の金融機関にはマネのできない、きめ細かな心配りです。いや、できるのにやらないと言った方が正しいかも。

「巣鴨信用金庫」は、高齢者だけではなく、地元の中小企業にも優しいのです。中小企業の技術・商品をPRする場を提供しています。「ビジネスフェア」と題し、中小企業と他の取引先とのマッチングを図っています。言わば、商談会のようなもの。地元の企業を支援することで、いずれは自身の利益となるのです。そのことを知っているから、企業が苦しい時にこそ手を差し伸べ、ともに成長することを姿勢としているのです。

調子の良い時だけ笑顔で出迎え、悪くなると、貸し渋り・貸し剥がしをする大手とは違います。金も力もある大手が何もせず、小さな存在である信用金庫が、地域の人びとのために一所懸命に汗を流しているのです。

どちらが企業として価値があるのでしょうか。

image by: MAHATHIR MOHD YASIN / Shutterstock.com

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