昨年のスマホ市場は特別なデバイスが牽引、2018年は普及の年に期待

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今年も、既に大手通信事業者を中心に学生をターゲットとした「学割」や新生活にあわせた春商戦が始まっており、そして春夏モデルの発表で盛り上がりを見せる時期である。




昨年は、春夏モデルとしてサムスン電子ジャパンの「Galaxy S8」および「Galaxy S8+」が話題となった。そして秋には日本では3年ぶりとなる「Galaxy Note8」が発売。この2モデルは、ハイエンドモデルらしい作りの良さと、エッジスクリーンによる狭額縁デザインが特徴である。

手にフィットする持ちやすさと、アスペクト比18.5:9のディスプレイはスマートフォンとの相性が良い。筆圧を検知するSペンによるアナログ的な書き味を実現したGalaxy Note8は、ハイエンドスマートフォンのトレンドともなったデュアルカメラを搭載しスペック的に隙がない完成度を実現している。

しかしながら、この2モデル共通で使い勝手の悪さを感じるのは、エッジスクリーンと指紋センサーの位置だ。エッジスクリーンは見た目の良さはあるものの、画面端からのスワイプ操作によるメニューの出し入れや画面を切り替えが、フラットなスクリーンのモデルより使い辛い。

背面の指紋センサーの位置は、中央からズレた位置にあるため癖が強い。顔認証や虹彩認証も明るさによって認証精度が変わるため使い辛い。これだけの多機能であるにもかかわらずパスコードやパターンが一番使いやすいというのも本末転倒だ。




夏にはシャープが大手通信事業者ごとに異なる仕様・ペットネームで発売していたフラグシップモデルのブランドを「AQUOS R」に統一することを発表した。これによって、端末の仕様が分かりやすくなり、共通した筐体を使用することによるコスト削減とアクセサリーメーカーの参入もしやすくなった。




シャープと言えば、ディスプレイの書き換えの必要がないときは書き換えを行わないアイドリングストップを可能とした低消費電力の「IGZO」液晶が強みだ。120Hzによる倍速表示などスマートフォンの使い勝手・レスポンスに起因する部分を改善し続けている。




12月にはフリーフォームディスプレイを搭載した約4.9インチモデル「AQUOS R Compact」を発売。




液晶の内側にインカメラを搭載し、さらに角を丸くしたコンパクトさを追求したモデルだ。画面表示エリアを縦に伸ばしたFHD+(1080×2032ドット)ディスプレイにしたことで、画面内にめり込んだインカメラが表示を邪魔することなくまとめている。




サムスンやシャープのほかに、ディスプレイデバイスを自社開発するLGエレクトロニクスもアスペクト比18:9のディスプレイとデュアルカメラを搭載した「V30+」をauとNTTドコモが取り扱う。



また、グループ企業でチップセットを開発するHUAWEIは、AI演算のためのNPU(Neural network Processing Unit)を搭載した「Kirin 970」を最新のスマートフォン「HUAWEI Mate 10 Pro」に搭載し、機械学習によるレスポンスの向上や被写体認識を可能としたカメラなどに役立てている。

スマートフォンの進化は停滞感がありそのなかでなんとかコンテンツやソフトウェアで個性を付けることが多くなってきた。そんな中でも自社開発のデバイスに強みをもつメーカーは独自の味付けをすることで存在感を高めている。




一方でイメージセンサーや独自のディスプレイ向けのLED技術をもつソニーは、個性を出せずにいるように思う。他にはないイメージセンサーとソフトウェアがさらに進化したソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia XZ1」だが、歴代モデルから変化が乏しい本体デザインから、これらのデバイスの魅力を訴求する前に飽きられている感も否めない。今年はデザインとデバイスが融合した新しいXperiaの登場に期待したい。

2018年もデバイスに強みを持つメーカーの活躍に期待したいところだが、こうした特別なデバイスが汎用的なデバイスとなったときに、SIMフリースマートフォン市場をさらに熱くすることになるだろう。


執筆  mi2_303