つんくを救った愛娘の言葉「パパが歌えないなら私が歌う」
「声を出せないだけで、それ以外は問題なく元気にやっています。今は生活の拠点にしたハワイと、日本を往復する日々です。それぞれ、半々くらいの割合かな。9歳の双子と、6歳の子どもには、母国語はおざなりにしてほしくはないけど、英語もしっかり学んで欲しい。ボク自身、英語にコンプレックス持っているのは事実なんで」
そう笑みを浮かべるのは、シャ乱Qのメンバーで、総合エンターテインメントプロデューサーのつんく(48)だ。喉頭がんにより声帯を全摘出してから3年。パソコン画面を通しての“筆談”で、近況を教えてくれた。
「先日(9月24日)は、子どもたちがさまざまな職業体験できるキッザニア東京で『つんくプロデュース It's a Kids Dance World!』を開催しました。元々キッザニアは大好きで、家族を連れて何度も行っているんですよ」
イベントのテーマは、親子で楽しむセレブリティ感満載のダンスパーティ。日本を代表するDJ・高木完(55)やMC WISE(38)が音楽を担当し、最新のJ-POPやアニメソングや、有名な洋楽のダンスミュージックなどが流された。音楽に乗って、目いっぱいオシャレをした親子が思い思いにダンスフロアを舞い踊る。『LOVEマシーン』や『ズルい女』が流れると、ひときわ大きい歓声がフロアに響き渡った。
14年10月、つんくは喉頭がんのために声を失った。
「健康であることにこしたことはないでしょう。でも、がんを受け入れて生きることで、学んだこともありました」
真っ先に思い浮かぶのは、家族の顔だ。
「ちょっとした一言に救われました。声帯摘出後に、思うように妻に気持ちを伝えられなくて、イラっとすることもありました。でも、そんなときに子どもが『パパがやりたいこと、今、わかるよー』って“通訳”してくれるんです。娘が『パパが歌えないなら、私が代わりに歌えばいいでしょ』って言ってくれたときも、うれしかったなあ」
昨年から、つんくと家族はハワイに生活の拠点を移した。ハワイでの生活で、音楽に対する考え方も変わったという。
「子どもの誕生会なんでしょうか。休日のビーチなんかでは子どもたちとその両親やなんかが集まって、BBQを楽しみながら結構な音量で音楽やダンスを楽しんでいるのをよくみかけます。実際、僕らも何家族か集まるとき、同じように楽しむようになりました。大人と子どもが楽しいことを共有するということが、自然におこなわれているように思います」
その楽しさを多くの大人や子どもたちに知ってほしい。その願いが、『It‘s a Kids Dance World!』につながった。
「今回のキッザニアのイベントを1回限りのもので終わらせたくありません。新たなスタートだと思っています。音楽やダンスは人種も言語も越えて世界の人とつながることができます。幼い頃から本物に触れさせることが真のグローバル教育につながるはずですから」
きらびやかな衣装でダンスフロアに舞う親子の姿を温かく見守ていたつんく♂。その視線の先には、新たな夢を見出していたーー。