西武・秋山翔吾【写真:編集部】

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ホークス上林はリーグ最多の10捕殺、ベストRF値をマークするのは…

 ペナントレースとともに、タイトル争いも終盤を迎えている。今季の打撃タイトル争いには、多くの外野手が名を連ねている。捕手や内野手に比べて守備の負担が小さいとされる外野手は「打ってなんぼ」の印象がある。しかし、守備成績を見れば、外野手の見方は大きく変わるはずだ。

 規定試合数以上で外野守備に就いている選手の守備データを見ていこう。野手の守備範囲の広さを示す値にRF(Range Factor)がある。守備機会を試合数で割った単純な数字だが、特に外野手の場合、重要な数値だ。さらに、肩の強さを端的に表す補殺数(外野手の場合、送球で走者を刺した数)も重要だ。外野は左翼、中堅、右翼で、守備機会が大きく違う。一般的には中堅が最も守備機会が多く、右翼、左翼の順とされる。外野手が、主にどの位置を守ったかも示した。

○パ・リーグ(RF上位順、率=守備率、捕=捕殺数)

秋山翔吾(西)2.04(121試合、率.988、補5)中
島内宏明(楽)1.97(113試合、率1.000、補4)中
西川遥輝(日)1.95(117試合、率.996、補1)中
松本剛(日)1.87(79試合、率1.000、補5)右
柳田悠岐(ソ)1.86(119試合、率.995、補6)中
角中勝也(ロ)1.81(81試合、率.987、補5)左
岡島豪郎(楽)1.74(81試合、率1.000、補3)左
中村晃(ソ)1.73(116試合、率.995、補6)左
駿太(オ)1.56(97試合、率1.000、補1)中右
外崎修汰(西)1.51(99試合、率.987、補4)左
T-岡田(オ)1.51(99試合、率.980、補2)左
上林誠知(ソ)1.40(110試合、率1.000、補10)右
武田健吾(オ)1.38(84試合、率.991、補1)左中右
聖澤諒(楽)1.14(79試合、率.989、補2)左
木村文紀(西)1.12(90試合、率.981、補1)右

 RF値は中堅手が上位に並ぶが、その中でも西武の秋山がずば抜けている。今は安打製造機として知られるリーグ首位打者の秋山は、屈指の守備範囲を誇るセンターでもある。

 今季打撃で進化を見せた楽天の島内は、RF値で2位につけるなど守備でも成長の跡が伺える。日本ハムの西川も、俊足を生かした広い守備範囲を誇る。

 ソフトバンクの上林は補殺数がリーグ最多の10。これまでを見ても、補殺は右翼手が多い傾向にある。

 ロッテには、抜群の守備範囲を誇る岡田幸文という中堅手がいるが、今季は33打数0安打という極度の打撃不振のため出場機会が減っている。

セ・リーグはDeNA桑原がトップ、広島の鈴木は「エリア51」を作るも負傷離脱

○セ・リーグ(RF上位順、率=守備率、捕=捕殺数)

桑原将志(De)2.08(121試合、率.988、補4)中
坂口智隆(ヤ)2.00(116試合、率.996、補4)中
丸佳浩(広)1.95(125試合、率.992、補1)中
鈴木誠也(広)1.90(115試合、率.973、補10)右
藤井淳志(中)1.85(87試合、率.988、補1)右左
大島洋平(中)1.68(119試合、率.990、補2)中
梶谷隆幸(De)1.66(115試合、率.995、補4)右
バレンティン(ヤ)1.59(104試合、率.959、補6)左
福留孝介(神)1.53(99試合、率.981、補1)右
中谷将大(神)1.49(89試合、率1.000、補4)左中右
筒香嘉智(De)1.46(114試合、率.994、補6)左
長野久義(巨)1.40(107試合、率.987、補1)右
糸井嘉男(神)1.31(83試合、率.991、補1)中右
郄山俊(神)1.10(84試合、率.979、補3)左中

 セも中堅手が上位にいるが、DeNAの桑原がRFは1位。ヤクルトのベテラン坂口も2.00を超えている。

 広島の鈴木は右翼手ながら中堅手並みの1.90という高い守備範囲で、補殺もリーグ最多の10。背番号「51」ということもあり、マツダスタジアムの右翼はイチローばりに飛球が次々とアウトになる「エリア51」だったのだ。骨折は痛恨だが、復帰を待ちたいところだ。

 パ・リーグ時代は広い守備範囲を誇った糸井嘉男は、今季は故障離脱もあって、数字は下落している。

 守備成績を見ると、外野手が秘めるポテンシャルの違いが見え、チーム状態の差もはっきりと出てくる。勝ち星が上がらないチームは、外野手も固定できないことが多い。逆説ではないが、優れた外野手を揃えているチームは強いと言えそうだ。(広尾晃 / Koh Hiroo)