東京随一の観光名所、浅草寺(東京都台東区)の雷門に異変が起きている。


以下、Jタウンネット編集部撮影

ん?


あれれ?


「忍法・隠れ身の術」

......とでも言わんばかりに、シートで覆われているではないか! 雷門の絵柄が、その前面に描かれている。

雷門に一体、何が起きているのか。Jタウンネット編集部は2017年6月28日、雨の降りしきる中、現地へ行ってみた。

実物大の写真がプリントされている



どこを見回しても、人、人、人......。雷門前は、観光客でごった返していた。片方の手に傘、もう片方にはスマホ。雷門の写真撮影に皆、余念がないが、その全体像はしばらく拝めそうにない。門の一部が改修工事で、シートに覆われているのだ。



工事を担当する大成建設に聞いてみると、雷門の瓦約9500枚を交換し屋根を補修する、と話した。工期は、2017年6月1日〜10月末(予定)。工事中に参拝客をがっかりさせないよう、着工前に撮影しておいた雷門の写真を原寸大に引き延ばし、あのシートを製作したという。雷門の象徴ともいえる大提灯の下を通行する分には、これまで通り問題ない。

それでもツイッターには、驚きの声が上がっている。

ツイートでは、屋根が覆われた状態の写真が公開されている。ただ、雷門の絵柄はシートに描かれておらず、シートの高さも低いように見えた。一体、どういうことなのか。

大成建設によると、

「2017年6月22日夜から23日の未明にかけて原寸大の屋根をプリントしたシートを外部足場に設置しました。それまではグレーのシートを設置していましたが、足場が最上段の高さになった時点で原寸大の屋根をプリントしたシートに張り替えました。」

6月23日以降のツイートに

といった声がみられるのは、そのためだった。

ちなみに、明治神宮(東京都渋谷区)の本殿でも2016年、修復工事による「カモフラージュ」が行われていた。(→明治神宮に「異変」!? 普段とどこが違うか、わかりますか?



瓦の修復は、1960年の再建以来「おそらく初めて」

雷門は942年の建立以来、焼失と再建を幾度も繰り返してきた。だが、幕末期の1865年に焼失してから、1960年まで再建されず。松下電器産業(現パナソニック)創業者・松下幸之助氏の寄進により、大成建設の施工で再建された。

浅草寺の担当者に話を聞いてみると、雷門の瓦がこうして修復されるのは、1960年の再建以来「おそらく初めて」だという。

「該当する工事が見当たらないので、そう考えられます」

ほおずき市(Wry2010さん撮影、Flickrから)

雷門は見られないが、浅草寺では7月9、10日に夏の風物詩「ほおずき市」が開催される。参拝すると、100日、1000日分などの功徳が得られる日――。寺社ごとに設けられた縁日「功徳日」は、室町時代末期からそう言い伝えられ、浅草寺では月に1度、年12度の功徳日を設けている。7月10日はその中でも最大の4万6000日の功徳があるとされ、「四万六千日」と呼ばれる日だ。

「ほおずき市」が行われるようになったのは、1764〜72年頃。

「ほおずきの実を水で鵜呑み(丸飲み)すれば、大人は癪(なかなか治らない持病)を切り、子供は虫気(腹の中にいると考えられた虫による腹痛など)を去る」

という民間信仰がきっかけだった。