テレビの作り手が、本当に面白いと思っている芸人は、誰なのか。かつて『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』『浅草橋ヤング洋品店』などを手がけた鬼才・テリー伊藤(67)が挙げたのは、大ブレイク中のあの2人組の名前だった。

カズレーザーみたいな芸人は、いままで見たことがない。お笑いの人間は、笑いをとるためには命も惜しまない生き物だけど、カズレーザーは力ずくで人を笑わせようなんてさらさら思ってないでしょ。

 ひな壇のフリートーク全盛のこの時代、みんな必死に空気を読んで間合いをはかってチャンスを狙っている中で、カズレーザーだけはリラックスして自由気ままにそこにいて楽しんでる。

『俺はここにしがみつこうなんて思ってないよ』という余裕があるんだよね。『こういう俺でいいならここにいてもいいけど『コイツ、つまんない』と思われるんならべつにここにいなくていいし」と思ってる。

 だから『笑わせなきゃ』という強迫観念もなくて気楽。それが見ているほうにとっても楽で面白い。コンビ芸のときは、安藤なつが風貌とは違ってバランスがよくて『ふつうの感覚』を備えているから、カズレーザーは、ますます自由なんだよね。

 しかもカズレーザーの武器は無数にある。本物のインテリで、バイセクシャルで、マニア向けの笑いもできるし『笑点』のお客さんに受けるような笑いもできる。

 今後、ニュース番組のMCもできるだろうし、俳優をやらせれば、きっと名探偵も殺人鬼もできちゃう。末恐ろしい男だよね」

(週刊FLASH 2017年6月13日号)