世界ランキング9位の錦織圭【写真:Getty Images】

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「グランドスラムは3セット制採用すべき?」、米専門サイトがファン投票実施

 35歳のレジェンド、ロジャー・フェデラー(スイス)、世界ランキング1位、アンディ・マレー(英国)、日本のエース、錦織圭(日清食品)ら、世界のトップ選手がしのぎを削っている男子テニス界。28日に開幕する全仏オープンをはじめ、現在、グランドスラムは5セット制で行われているが、勝利に3セットが必要な形式は選手の消耗も大きく、試合時間の延長につながるなど、懸念材料がある。米「テニス・マガジン」電子版では3セット制導入の是非を問う特集を組み、エディター陣は賛否が真っ二つに分かれ、インターネット上でファンにアンケートを実施している。

「男子はグランドスラム大会で3セット制を採用すべきか?」と題した特集では、デビスカップとともに5セット制で行われている4大大会についてファンに対し、質問を投げかけた。

 記事では第一に、通常の大会で採用されている3セット制とグランドスラムで採用されている5セット制の利点を挙げている。

【3セット制】
・第1球から、全てのポイントが重要になってくる
・短い試合時間は選手の消耗を避け、故障も少なくなるかもしれない
・女子と同じ試合形式にすることで、男女間の賞金額の違いに関しての論争の機会を削減できるかもしれない

【5セット制】
・5セット制はこれまでも歴史に残る偉大な一戦を演出してきた
・より長い試合時間は、テニスファンへの訴求となるだろう
・伝統であるから

 このように前提を述べた上で「テニス・マガジン」のエディター陣による見解も紹介されているが、真っ二つに考えが分かれた。

「3セット制は選手のキャリア伸ばす」…意見真っ二つ、それぞれの理由は?

ブラッド・カレット【YES】
「これはテニス界の未来だ。ファンが注意を払わなければいけない時間帯が減り、4時間半などという長丁場の間、耐えなければいけないこともなくなる。この競技は試合時間を短くしなければならない」

エド・マクグローガン【NO】
「マイアミでのフェデラーとキリオスの一戦のように、とてもドラマチックな展開を演出する。しかし、グランドスラムを3セット制に変えてしまうのは、この競技において取り返しのつかない変更となり、グランドスラムと他のトーナメントが同じものとなってしまう」

ニーナ・パンティッチ【YES】
「私は3セット制の信者だが、5セット制からの変更はテニスの質を向上させるだけでなく、選手のキャリアをより伸ばすことにもつながるかもしれない」

スティーブ・フリンク【NO】
「5セット制は力強く、健康である選手が有利となる。デビスカップと4大大会のみで5セット制が採用されており、トップ選手たちは体力面と精神面の両方が求められるそういった環境で競い合ってきた」

 同サイトにおいては、試合の長さによるファンの観戦の集中度、プレーの質、選手への肉体的負担などを理由に2人が3セット制に賛成。逆に、5セット制だから劇的な試合が生まれること、ほかの大会と差別化することなどを挙げ、2人が3セット制に反対している。

3セットか5セットか―ファンアンケートを実施、結果は圧倒的な大差に…

 それぞれの立場の意見を紹介した上で、記事ではファンへのアンケートを実施。3セットか5セットか――。意見を問うと、投票開始直後には大きな差が生まれていた。

○3セット 17%(394票)
○5セット 83%(1918票)

 5セット派が66ポイント差をつけて圧倒。現行制度を支持しており、記事に対し、5セット継続を求める意見も投稿されていた。

「他のスポーツと較べて、5セット制は決して長過ぎるということはない。5セットに問題はない」

「試合時間を短くすることが、ファンを増やすことに繋がることはないだろう」

「これは男の戦いだ。そして、肉体面でも精神面でも最も高いレベルで5セットを競い合うべきだ」

「5セット制は4大大会しか行われない。だからこそ、グランドスラムにおけるマジックが起こり得るし、特別な意味がある」

 他競技との比較、ファンの増加、試合の面白みなど、さまざまな観点から考えが述べられていた。

 ファンの支持は5セット制に集まったが、3セット、5セット、それぞれの良さがあるのも事実。28日開幕の全仏オープンは5セット制で行われる。3セット先取の試合だからこそ繰り広げられる熱戦とドラマに期待したい。