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By Cyron

感動的な経験が記憶の形成に影響することは知られていますが、新しく、感動により「感動的な刺激を受けた後」に経験する出来事に関する記憶の形成が強化されていることが明らかになりました。

Emotions drive stronger memories of later, unemotional events | Ars Technica

http://arstechnica.com/science/2017/01/emotional-experiences-improve-memory-of-later-unrelated-events/

ある研究者グループが、fMRIを用いて「感動的な経験が記憶の形成にどのように影響するか?」を調べました。



新しい発見を見つけ出すため、研究者たちはfMRIを用いた調査を行いました。被験者を3つのグループに分け、ひとつのグループには23分間の「感動的な刺激」を与え、9分間の休憩を挟んだのち、「感動的な中性刺激」を23分間与えたそうです。2つ目のグループではひとつ目のグループとは「感動的な刺激」と「感動的な中性刺激」を与える順番を逆に、3つ目のグループでは間の休憩時間を9分から23分に伸ばしました。

実験ではfMRIとは別に、被験者が感情的に覚醒状態にあるかを調べるために皮膚コンダクタンスレベルを測定しました。研究者たちは感動による影響が休憩時間にも影響すると仮定したので、皮膚コンダクタンスレベルは休憩時間もその直前の感動的な刺激を受けていた際と同様の高い数値になると推測。そして実際に数値を調べて見たところ、推測が正しいことが実証されました。つまり、感動的な出来事を経験した場合、その影響は感動後にも引きずられることが明らかになったわけです。

さらに、感動が記憶に影響を及ぼすのはどのくらいの時間なのかについては、「感動的な中性刺激」が関係するであろうことも明らかになっています。「感動が記憶に影響を及ぼすのはどのくらいの時間なのか」は、実験から6時間が経過した時点で休憩時間に起きた出来事をクイズ形式で問いかけることで判断したそうです。そして、このクイズの結果は、大抵の場合、皮膚コンダクタンスレベルと正解率が合致したそうです。つまり、感動により「感動的な刺激を受けた後」に経験する出来事に関する記憶の形成が強化されていることがテストの結果から明らかになったわけです。



By c.paras

さらに、fMRIの結果から、感情的な刺激を受けている最中の脳の一部領域と休憩時間に大きなつながりがあることも明らかになっています。

研究者は今回と同じ結果を出すには実験のどの要素が必要なのかはまだ明らかになっていない、としています。例えば、休憩時間を9分から23分に伸ばしたのは完全に独断によるところだそうです。他にも、被験者が意識的に出来事を思い出そうとしたかなども不明であり、それらが結果にどのような影響を及ぼしたのかは不明だそうです。