「HUNTER×HUNTER」8巻。ゴルゴ13より割高な殺し屋一族・ゾルティック家

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冨樫義博が『HUNTER×HUNTER』を休載してから8週間が経った。復活を祈願して今回は単行本第8巻を振り返る。発売されたのは2000年の4月上旬。フジテレビ系のアニメでは、ゴンがヒソカのプレートをかすめ取った回が放送されていた時期。
8巻自体はヨークシンシティで行われるオークションの話が中心であり、金の絡む話が多い。


ゾルティック家とゴルゴ13


殺し屋一族のゾルティック家の次男・ミルキは19歳にして身長182cm、141kgの巨漢。
オークションで58億ジェニー(1ジェニー=0.9円/8巻p102参照)の値段を掛けられている幻のゲーム『グリードアイランド』を手に入れるため、9年ぶりに家を出る。

親父 取引だ
15人殺るから150億ほど貸してくれ

10歳……位だったかな
最後に外出したのって

ミルキの預金額は127億。確実に競り落とすためには倍の資金は用意しておきたい。一人10億ジェニー(9億円)で父親の仕事の手伝いをすることにした。殺し屋の相場的に、この値段が高いのか安いのか、ゴルゴ13を基準に考えてみる。
ゴルゴ13の主人公はデューク東郷。世界一腕の立つ殺し屋と呼ばれている男。依頼人が死んでも、気が変わってキャンセルを申し出ても、一度受けた仕事を完遂させる(一部例外あり)。
そんなゴルゴに支払われる報酬は数万ドルから数十万ドルが相場。円換算すると数百万〜数千万。それに対して、ゾルティック家の単価は9億円以上。ゴルゴがリーズナブルなのか、ゾルティック家が割高なのか。ここで少し殺し屋家業から離れた観点で考えてみたい。

HUNTER×HUNTERの世界の物価


まずは缶ジュースの値段。HUNTER×HUNTERの世界では缶ジュース一本分の値段が152ジェニー。円換算でだいたい137円。当時(2000年)の日本では缶ジュース一本120円。割高である。2014年以降の自販機で売られる缶ジュース一本分の値段は130円が一般的だが、それと比べてもやっぱり高い。
8巻時点で最新型だと言われた携帯電話・ビートル07型はレオリオが8万29ジェニーで購入。日本円にして7万2千円の価格。8巻刊行の一年前に、世界ではじめて発売されたカメラ付きPHSは実売価格4万円台。ビートル07型の方が高い。
しかし、現在普及しているスマートフォンと比べるといい勝負。全世界屋外での圏外なし、200種類の民族言語通訳機能付き、テレビが見られるし録画もできる、という機能をどう解釈するかによって、高いか安いかの評価が分かれる。

10代でもビッグマネーを動かせるHUNTER×HUNTERの世界


全体的に物価が高く、金持ちがたくさん登場するHUNTER×HUNTER。人間の命を値段に換算するのは罰当たりな話かもしれないが、ゴルゴの世界よりも圧倒的にターゲットの値段が高い。9巻でも旅団一人捕まえるごとに20億ジェニー支払うという案件があった。
しかし、イルミがあっという間に十老党(マフィアの幹部10人)を始末してしまったり、中学生になるかならないかくらいの子どもが天空闘技場でファイトマネーを稼いだり、登場人物たちはスイスイと何千、何億ジェニーを稼いでいく。『HUNTER×HUNTER』はビッグマネーが右に左に動く漫画である。
(山川悠)

参考→「HUNTER×HUNTER」8巻。マゾヒストの喜んだヴェーゼのSMシーン