2016夏のコンビニ激辛フード決定戦、この夏いちばん辛かった味は

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夏は「激辛」の季節だ。

コンビニの棚に並んだ激辛フードの数々で、今夏を振り返ってみたい。

なお、これまでの「激辛フード・レビュー in コンビニ」はこちら。

2015夏のコンビニ激辛フード決定戦、この夏いちばん辛かった味は
冬のコンビニ激辛勝負。この冬いちばん辛かった味は?
激辛カップ麺リリースが止まらない
いつもと同様だが、以下がだいたいのルールである。

「ピリ辛」などの辛みをアクセント的に利用している商品や、激辛レトルトカレー「LEE」(グリコ)のような定番は除いている。

辛さレベルは、★…1点、☆…0.5点で、5点満点とした。点数をつけている私の激辛センサーは、練馬の「麺処 井の庄」の激辛ラーメンをカップ化した「麺処井の庄監修 辛辛魚らーめん」(寿がきや)を★5、もっともノーマルなカラムーチョ「スティックカラムーチョ ホットチリ味」(コイケヤ)を★1と感じるレベルである。なお、これはコンビニ商品限定の基準であり、店舗で提供される激辛料理はこの限りではない。

カップ麺/カップスープ部門


「なごやめし夏限定!台湾ラーメン」(寿がきや)


名古屋名物「台湾ラーメン」がカップ麺に。

コロコロとしたひき肉と、ニラの味が主張する甘辛系で美味しい。スープは真っ赤だが、辛さはまあまあといったところ。これより辛さ抑えめのレギュラー商品「カップ台湾ラーメン」も、肉ミンチを増量してリニューアルされたらしい(Webサイトより)。

余談だが、台湾ラーメンの元祖として知られる「味仙」が、この夏、東京(神田)に初進出して話題になった。

辛さ★★

「辛王 炎の海鮮チゲ」(ポッカサッポロ)


「辛王」は、今年(2016年)誕生した“辛いおいしさ”を追求する新スープブランドとのこと。現在のところ4種類発売されているが、本商品はもっとも激辛である「辛さレベル7」を謳っている。

エビ味の、弾力のある揚げ玉のような「海老ボール」のムニムニ食感が特徴的。ワカメがけっこうたっぷり入っているため、味わいは、ワカメスープの海鮮チゲ風味といったところか。ちょい甘みあり。

辛さマックスというだけあって、しっかり辛い……けれども、あくまで旨辛な範疇。個人的にはもう一声、刺激が欲しい。もっとも、ランチのお供などとして食べられるであろうことを考えれば、充分な辛さなのだが。

辛さ★★★

「カラシビまぜそば 鬼金棒」(ヤマダイ)


「鬼金棒」は、唐辛子の辛さ&花椒の痺れ、通称「カラシビ」を売りにするラーメン店だ(東京は神田と池袋に店を構える)。本商品は、同店の店主・三浦正和氏が監修するファミリーマート限定商品とのこと。
ここでは、基本的に「激辛」というワードを用いるなど、過剰に辛さを売りにする商品しか扱わない。そのルールからいけば、パッケージにそうした惹句のない「カラシビまぜそば 鬼金棒」は、本来対象外となるところ。

しかし、注文の際に辛さとシビレ増しができて、客の多くが“激辛”を求めて来店するであろう同店の名を冠したカップ麺である。激辛者であれば、「もしや激辛なのでは?」と期待せずにいられようか? じっさいのところ、筆者もそれを期待して購入した口である。

最後にかけるふりかけがポイントで、これが花椒のパンチのある痺れをもたらす。なお、パクチーの主張もけっこう強い(ただ乾燥なので、食感は微妙)。

痺れはけっこう強いが、辛さはそれほどでもない。「激辛」とはどこにも書いていないので、まあ妥当なラインか。でもこれ、せっかく「鬼金棒」の店主監修なのだから、もうちょっとカラシビを押し出してもよかったのでは……と、どうしても思ってしまう。

辛さ★★☆(☆は痺れのぶん)

「日清のとんがらし麺ビッグ 激辛アラビアータ味」(日清)


すっかりお馴染みとなった唐辛子練り込み麺シリーズの新作。別添の「超絶激辛オイル」で辛さをアップさせる。

スープは、アラビアータなので当然トマトベース。小さくカットされたトマトと、輪切りの唐辛子がアクセントになっている。味の方向性は、(もうちょっとしっかり味だが)ざっくりと「カップヌードル チリトマトヌードル」系と言っていいだろう。チキンラーメンに歯ごたえをプラスしたような麺の食感もいい。

本シリーズの特徴は、パッケージに唐辛子の辛さを量る単位である「スコビル値」を明記していること。今回の激辛アラビアータ味は、712スコビル。しっかりと辛いが、同シリーズの過去商品がもっと辛かったことを考えると、かなり抑えめである。

参考までに挙げると、昨年出た「日清のとんがらし麺ビッグ 激辛ジャークチキン味」は886スコビル、「日清のとんがらし麺ビッグ 激辛麻婆豆腐味」は821スコビルだった。

いまだ出ていない900スコビル台の商品を楽しみに待っています。

辛さ★★★

スナック菓子部門


「スティックカラムーチョ 激辛ホットチリ味」(コイケヤ)


「カラムーチョ」といえば、激辛スナック菓子のパイオニアであり、その味にファンも多い。しかし、こと「辛さ」に関しては、後続の激辛商品に引導を渡してしまった感も否めない。現に、毎年夏に出される「辛さ●倍」などと謳った限定商品も、「美味しいけれど、別に辛くはないよね」という感想を抱くばかりで、個人的には、辛さを求める対象ではなくなってしまって久しい。

そんなわけで、辛さの程度を示す5段階のメーターで「激辛」を強調したり、「辛さ8倍」としきりに煽るパッケージを見ても、正直期待が膨らむことはなかった。
しかし、今回はちゃんと辛い!

一口目はそうでもない。「ああ、カラムーチョだ」というだけである。しかし、3口目あたりから「あれ?」となり、6口目あたりから「今回は様子が違うぞ」となる。

この蓄積系の辛さは、ある程度食べたところで「あいててて……」と痛みとして認識され、そうなった時には時すでに遅し。辛さが引くまで、しばらく時間を要す。そして好事家は、この痛みをキープすべく延々と菓子を口に運ぶ「やめられない、とまらない」モードに突入するのだ。

期待していなかったせいもあるのか、かなり辛く感じた。このくらいの辛さのバージョンをレギュラー化して欲しいものである。これを食べてしまったらもう、普通のカラムーチョに戻れないではないか。

辛さ★★★☆

「暴君ハバネロ ハバネ・ロー」(トーハト)


激辛スナックの新定番として確固たる地位を築いた「暴君ハバネロ」がアニメ「ONE PIECE」とコラボ。セブンイレブン限定商品。

特徴は、別添の「シャカシャカシャンブルズパウダー」なる粉末が付いていること。これを袋のなかにあけ、フルポテよろしくシャカシャカ混ぜると、約10倍の辛さになるそうな。

既視感があったので調べたら、やはり2014年に辛さ10倍パウダーを付けた「暴君ハバネロ・ハバ盛り」という類似商品が出ていた。

さっそくシャカシャカして食べてみる。辛い。けれども、「10倍」という数字から想像されるほどの辛さはない。

ちなみに、食べきってから袋のなかを見ると、付着しきれなかったパウダーがけっこう残っていた。いっそのこと、かつて出した「超暴君ハバネロ」のように、スナックの輪っかを太くすれば、1個あたりの激辛パウダーの量も増え、辛さも増したのではないか。でも、当然その程度のことは検討されただろうから、それはそれでスナックの内側にきちんとパウダーが付着しない等、いろいろ問題があったのかもしれないが。

辛さ★★★

「チートスエクストラ 激辛マニア味」(フリトレー)


待ってました!

店頭で見かけた瞬間、思わず心のなかで叫んでしまった。

「激辛マニア」といえば、個人的には、激辛スナック菓子の金字塔であり、もっとも再発売が待たれる一品である。一口目からシャープかつ鮮烈な辛さが舌を襲い、かつ余韻も長い。つまり、最初から最後まで激しく辛い……と、そんな風にその味わいを記憶しているが、最後に発売されてからだいぶ経つ。「期待しすぎないように」と自分に言い聞かすも、やはり期待に胸が膨らんでしまう。

一言で言えば、「激辛マニア」のパウダーをまとった「チートス」である。そのまんまではあるが、まず、ちゃんと“あの味”であったことに一安心。

問題は辛さだが、唐辛子そのものを舌に当てた時に感じる、あのヒヤリとした鋭角的な辛さは健在。だが、元が「チートス」ということもあって、やはり受ける印象はややマイルドだ。

美味しい。確かに美味しいのだけど……普通に「激辛マニア」の再発売じゃダメだったのか? そんな素朴な疑問が浮かんでくる。でも、現状これ以上のものはないから、また買ってしまうのだろうけど。

辛さ★★★★

2016夏総評


以上が、筆者が生活圏および出先のコンビニで発見した、今夏の激辛商品である。

なんのかんの書いたが、やはり「激辛マニア」が(「味」ではあるが)再びラインナップされたのは嬉しいニュースだった。

あと、元祖激辛スナック「カラムーチョ」が久々に本気で辛い商品を作ってくれたことは、手放しで賞賛したい。

また、スナック菓子系の奮闘に対して、即席スープ/ラーメン系が若干弱かったかもしれない。あと、おつまみ系も今夏はこれというものがなくて残念。

余談だが、最近はフジヤが「LOOKハバネロチョコ」「ホームパイminiハバネロ」など、「甘+辛」な方向を打ち出しているのがちょっと気になっている(もっとも高級チョコレート界では、唐辛子やブラックペッパーなどの香辛料を用いるのは珍しくないが)。こうした珍(?)商品が、新たな激辛ブームへの起爆剤になるかもしれないので、一応注目。

そんなわけで、この「激辛フードin コンビニ」の定点観測は、今後も折をみてやっていきたいので、またお付き合いいただけたら幸いである。
(辻本力)