ただただ、いや〜な感じ「とと姉ちゃん」75話

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連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第13週「常子、防空演習にいそしむ」第75話 6月29日(水)放送より。 
脚本:西田征史 演出:岡田健


「僕らのような年寄り」・・・って五反田(及川光博)は何歳なんだ? モデル視されている田所太郎は1911年生まれなので、30代半ばといったところか。
中年だけど召集されてしまった五反田、すでに召集されてしまっている谷編集長(山口智充)、ふたりは、常子のことを思い、彼女に社判を預け、貸本屋にすると良いと編集部も託す。ついでに、胸まで貸そうとしてやんわり逃げられる五反田がかわいい。甲東出版の人たちはほんとうにいいキャラ。早くカムバック、五反田&谷!
そして、昭和20年(どんどん時間が進む)、貸本屋をきりもりしながら生活をしている常子だったが、食べ物はさつまいもばかり、毎晩のように空襲警報に怯える日々。

それでも常子は笑いを忘れない。久々に出た、妖怪おはじきばばあ(7回で初出)。これ、彼女のネタにずっとなっていたのか・・・。
どんなに荒んだ状況でも笑いや美しいものを忘れず、心を豊かに保とうと心がける小橋家。
「ささやかな心がけが小さな幸せを生む」と東堂先生(片桐はいり)の言葉を思い出す常子。
いや、それより「なにげない暮らしのなかの一瞬一瞬を大事にしてた人(ととのこと)だったから。ととになるってそういうことなんじゃない」という6回の君子(木村多江)の言葉を反芻したほうが・・・と余計なことは考えずにおこう。
常子たちのすてきな心がけすらままならなくなっていき、残された女ばかりで防空演習(訓練でも本水を使うんだ・・・もったいなくないのかな)をしていたところ、常子は組長・三宅光政(有薗芳記)とトラブってしまう。
横暴なえらい人にへつらう弱者。この展開、ただただ、いや〜な感じ。

よかれと思って意見する常子によって状況が余計にいや〜な感じになってしまうことに対して、鞠子は「いつも真っすぐすぎる」「やり過ごすことでまるく収まるならそのほうがいいときだってあるわ」と意見する。
そんな中、近所の人が気をつかって卵をもってきてくれるが、家で花を飾っていることを組長に誰かが告げ口している疑惑が浮かび上がり、誰も信用できない気分に。これはちょうど昨日のレビューで取り上げた「カーネーション」68回で、糸子が闇にかかわっているからと配給をもらえなくなった時、周囲が信用できなく感じる状況と近い。当時は皆、こんなふうに周囲を信じられなくなりながら生活していたのだろうか。いやですねー。
「蛇のような目」と美子(杉咲花)に言われた組長を演じている有薗芳記は、朝ドラ「あまちゃん」16週で、純喫茶アイドルのマスター(松尾スズキ)と鈴鹿ひろ美を応援している常連客を演じていた。
(木俣冬)