愛するレスターを支えたカサビアン、本拠地で初ライブ決定…チケットは即完

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 クラブ史上初のプレミアリーグ制覇を果たしたレスターの本拠地、キングパワー・スタジアムで流れるテーマ・チューンといえば、レスターの街が生んだ世界的ロックバンド、カサビアンの『FIRE』である。

 彼らにとって3枚目のアルバム『West Ryder Pauper Lunatic Asylum』に収録されているこのナンバーは、2010−11シーズンから3年ほどプレミアリーグの公式ソングでもあった。日本でもテレビ中継のオープニング曲として流れていたから、耳なじみのあるサッカーファンも多いのではないだろうか。

 そんなカサビアンが、5月28日にキングパワー・スタジアムで初めてライブを行うことが発表され、現地で大きな話題を呼んでいる。4月28日の公式リリースから2日後の30日にチケット販売が始まると、なんと3万枚がわずか6分間でソールドアウト。これを受けて即座に翌5月29日の追加公演も決まったが、それでもクラブの今シーズンホーム最終戦であるエヴァートン戦に負けず劣らずのプラチナチケットになることは必至である。

 少年時代からレスターの熱狂的サポーターであるギターの“サージ”ことセルジオ・ピッツォーノと、ヴォーカルのトム・ミーガンは、今もホームゲームの常連客だ。ツアー期間中なども世界各国のホテルで映像観戦を欠かさない彼らだが、ちょうどレコーディング期間だった今シーズンは大半の試合を現地観戦しているという。

 特にファッションにも精通するサージは、「いつかレスターのユニフォームをデザインするのが夢」と公言するほど筋金入り。そもそも「レスターのセンターフォワードになる」という夢を果たせず音楽の道に進んだ過去があり、2012年にはオールド・トラッフォードでのチャリティーマッチで、元イングランド代表GKデイヴィッド・シーマンを破る見事なループシュートを決めたこともある大のサッカー好きだ。

 今シーズン序盤、クラウディオ・ラニエリ監督は「カサビアンが聞こえたら、それはファンが戦士を求めているという意味だ」と選手に発破をかけたことを明かしたが、だからこそ、サージは自分たちの曲が選手を奮い立たせていると聞いて「どんな賞をもらうより嬉しい」と喜んだものだ。

 去る14年6月、カサビアンは5枚目のアルバム『48:13』をひっさげて、地元レスターのヴィクトリア・パークに5万人以上のオーディエンスを集めて凱旋ライブをしたことがある(ちなみに、ジェイミー・ヴァーディは観衆の1人で、ライブ後にメンバーと顔も合わせたとか)。

 地元を愛する彼らにとっては一大イベントだったが、次なる悲願こそが、これまで音楽イベントが開催されたことがないキングパワー・スタジアムでのライブだった。実はすでに2017年の予約を入れていたそうだが、4月24日のスウォンジー戦に4−0で勝利したのを目の当たりにして「今年の夏にやるのがパーフェクト」と考えてクラブに掛け合うと、たった2日で話をまとめ、ライブ開催を1年も早めたのだ。

「この街にとって史上最大のパーティーが待ちきれないよ」。サージがそう言えば、トムも「忘れられない夜になる」と気合い十分。

 ミラクルストーリーのエンディングに相応しい歴史的ライブは、プレミアリーグ最終節の2週間後。もしかしたら、シーズンを戦い抜いた選手たちの顔も見られるかも?

(記事/Footmedia)