原作者・松井優征も文句なし。映画「暗殺教室─卒業編─」製作報告会見レポ

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「ラストまであと5回」

昨日2月22日発売の「週刊少年ジャンプ12号」において、累計発行部数2000万部(既刊17巻)を誇る人気マンガ『暗殺教室』が3月発売の「週刊少年ジャンプ16号」で完結することが発表された。

同じ日の午後、東京国際フォーラムで映画「暗殺教室 -卒業編-」(3月25日公開)の製作報告会見が行われ、原作者である松井優征も登壇。自ら、原作マンガの最終回と映画公開が同タイミングになった背景を語った。


原作者としては満足する脚本に仕上げていただいた


「『暗殺教室』という作品は、連載開始当初からほぼ全てのストーリーが決まっていました。特に終わり方、エンディングに関しては、これじゃないとダメ、というのがありました」。


主人公・潮田渚役の山田涼介、赤羽業(カルマ)役の菅田将暉、死神役の二宮和也、雪村あぐり役の桐谷美玲、柳沢誇太郎役の成宮寛貴など豪華俳優陣が並んだ舞台上。ひと通りの挨拶が終わった後、マイクを握って語り出したのは俳優陣ではなく、原作者である松井優征だった。

「映画オリジナルのエンディングを採用されると、一番伝えたいところが伝えられなくなってしまう。だからといって、原作が終わってから映画を作り始めるとタイムリー感をなくしてしまう。そこで、こちらのほうから『原作が終わるタイミングにあわせて映画を公開するのはどうか』というご提案をさせていただきました」。

今回の「暗殺教室プロジェクト」が特異な点は、原作マンガも映画も、さらには1月から放映が始まったアニメ第2期も、同じタイミングで同じストーリーが描かれること。だからこそ、人気マンガの映画化の際いつも議論になる「原作との乖離問題」は、本作に限ってはないことが原作者の口から明言された形だ。


「(原作と映画で同じエンディングを描くためには)半年くらい前、映画を撮り始める段階で、ストーリー、キャラクターのセリフ、シーンを具体的に共有しておかなければならないので、前作よりかなり深くかかわらせていただきました。羽住(英一郎)監督は、原作を大事にしてくださる方。何度も打ち合せをさせていただいて、そのおかげで原作者としては満足する脚本に仕上げていただいたと思っています」。

ちなみに、原作であるマンガ『暗殺教室』の最終回のペン入れはまだ先、と語った松井。つまりは原作と映画が同じエンディングになっている、どころの話ではなく、原作が後から追いつくという逆転現象が生まれている、ということになる。

同じ思いになってからじゃないと前に進めない


松井優征が一通り話し終えたあと、今回の作品づくりの難しさについて語ったのが監督の羽住英一郎だ。

「一番難しいのが、原作を読んだ読者がどんな気持ちになるのか、がまだわからないこと。その「未知の気持ち」に向かって映画を作っていく、という部分はいまだに不安です」。

だからこそ、松井との綿密な打ち合せが欠かせなかったという。

「松井先生とは、ストーリーの最後の狙いも共有して、脚本を作る段階からいろいろ打ち合わせをさせていただきました。同じエンディングに向かっていても、映画は2時間にしないといけないため、登り方が違ってくる。その中で『このチェックポイントは絶対に通過して欲しい』という松井先生のポイントがいくつかあって、その辺は、納得がいくまで二人で話しました。同じ思いになってからじゃないと前に進めないので、そこは丁寧に、共同作業ができたと思います」。

「山田涼介 vs. 菅田将暉」も見どころ


原作と映画で同じシーン・ストーリーを共有する、ということは、最新17巻でも描かれた3年E組の内部分裂、そして渚対カルマの一騎打ちも当然映画で描かれる、ということだ。

記者会見でもこの一騎打ちの撮影ピソードについて、渚役の山田涼介、カルマ役の菅田将暉それぞれの口から語られた。

「今だから、ですけど、何発かもらいました」と切り出したのは山田涼介。
「でも、アレはしょうがない。台風みたいな強風で、目もあけられない砂埃の中で感覚だけでぶつかりあった。そこが逆に、中学生のケンカというか、リアル感が出てよかったんじゃないかな、と」。

一方、「なんなら、当たる前提で(防御用の)パット入れてました」と語ったのが菅田将暉。
「カット尻までまだあって、渚(涼介)の背中をもう一発蹴ったんですけど、『ごめん。今、ピキンっていった』という、涼介の弱い声を聞いてしまって……そこはちょっと反省しました」。

「中学生のケンカ」というワードが出たように、「暗殺教室」の舞台は中学校。山田、菅田はともに実年齢23歳にして15歳役を演じたわけだ。この点について山田は「まだまだ捨てたもんじゃないな、と。学生の役は30くらいまでは」と自己評価。

そして、急に後ろを振り向くと、「二宮くんはいくつくらいまで(学生役)やってました?」と事務所の先輩へ質問を投げかけた。

「俺? この間、中学生役やったよ(笑)」

熱く語った原作者よりも、熱演した主演よりも、このひと言で全部持っていった二宮和也のスターぶり!
前作では声のみの出演だった二宮和也の「顔出し」も注目の映画「暗殺教室 -卒業編-」は3月25日(金)、全国東宝系にて公開となる。


(オグマナオト)