シリアの情勢悪化に伴い、欧州各国は多くの難民を受け入れてきた。だが、難民の受け入れをめぐっては課題も多く、デンマークや英国などでは難民問題をめぐって国民の間で大きな意見の相違が見られている。(イメージ写真提供:123RF)

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 シリアの情勢悪化に伴い、欧州各国は多くの難民を受け入れてきた。だが、難民の受け入れをめぐっては課題も多く、デンマークや英国などでは難民問題をめぐって国民の間で大きな意見の相違が見られている。

 難民問題が世界的に大きな注目を集めるなか、中国メディアの中国網はこのほど、日本は2年間で受け入れた難民の数はわずか38名にとどまると伝え、「日本の理性的な対応を見習うべき」と題した記事を掲載した。

 法務省によると、2015年における難民申請は7586人で過去最高となったが、認定は27人だった。これでも14年の11人と比べて増加しているものの、99%の難民を受け入れなかったことになる。一部報道によれば、申請の大半はブローカーが存在する「偽装難民」の可能性があるものだという。

 記事は、難民申請数は14年の1.5倍に増加したが、そのほとんどはネパールやインドネシア、トルコ、ミャンマーからで、シリアからの難民は5人にすぎなかったことを紹介。シリア難民のうち3人を受け入れた日本の対応は「欧州各国がシリアから400万人以上の難民を受け入れたのと比べると、ごくわずか」と指摘した。

 一方、欧州諸国が多くの難民を受け入れてきたのは人道的見地からだったにしても、難民をめぐって大きな問題が発生しているのも事実だと指摘したうえで、ドイツでは4割の国民が難民政策に不満を抱き、メルケル首相も引き締め政策を取るようになり、毎日何百人もの難民がオーストリアに送り返されていると説明した。記事は最後に、「盲目的な受け入れは難民にも国民にも悪影響」をもたらすと指摘し、日本について「合理的な難民受け入れは学ぶに値する」と締めくくった。

 シリア情勢は悪化の一途をたどり、難民の数も増え続けているが、受け入れる側も問題が複雑化している。難民にまぎれてテロリストが欧州に入っているとの報道もあるほどだ。人道的な支援と同時に国民感情も考慮しなければならず、各国の政治は難しいかじ取りを迫られていると言える。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)