残業に悩むサラリーマン諸氏のために「日本残業協会」がある。その設立趣旨と昨今の残業事情などを、会長の藤橋遼さんに聞いてみた。

――日本残業協会を設立しようと思ったのはどんなときでしょう?

残業で会社にかなり遅くまでいて、会社に一人で残って残業していると「自分一人しかこの時間に働いてないんんじゃないの?」というふうに思ってしまった。孤独な気分になったり、モチベーションが下がったりして仕事がはかどらなくなって。そういうときにコンビニに行くと、他のビルに灯りがついていて「自分以外に頑張ってる人いる」と励まされたりした。残業に励む人同士でそういう気持ちを共有できれば、と思い、設立しました。

――残業について会長はどう思われますか?
残業には無駄な残業と無駄でない残業の二種類あると思う。急な仕事で、残業が出るのは仕方がない。無駄な残業は、たとえば上司が帰らないので帰れないとか、残業代のために残っていたりとか、仕事のモチベーションが上がらないままずるずると時間が過ぎたりとか。他にも上司とコミュニケーションが悪いとか、話しかけにくいから細かい部分を聞きにくいとか、仕事環境とか人間関係が悪いと仕事が滞って残業になってしまうのは、仕事をする中で困った問題です。

――では、具体的にはどうしたら?
急な仕事で残業が出るのは仕方ないが、もっと仕事環境をよくして円滑にしましょうよ。モチベーションが低い中で残業することに意味があるのかな、と思っている人も多い。自分以外にも同志がいればモチベーション上がる。モチベーションが上がれば仕事の効率も上がる。そのために協会ではみんなで集まって、仕事環境を物理理的に、精神的に整理して仕事を早く片付けるために能率を上げる会議を開いたり、専門家を呼んで啓蒙活動をしています。

――サービス残業にはどう思われますか?
うちは法律的なことではなく、あくまでモチベーションを上げようという団体なので、残業の良し悪しを判断するものではないです。ただ、残業を政府がなくせといっても状況は同じ。臭いものにフタをするではないが、早く帰らせたり、タイムカードを押して残業時間を隠ぺいしたり、持ち帰り残業になったりするするようになる。結局、残業をなくす根本的な解決になっていない。それでは意味がないと思います。

――少し前とは、残業の意味が変わってきたように思いますが?
残業のとらえ方が変わってきましたね。働き方が変わってきて、裁量労働制であったり、ノマドであったりと新しい形が出てきたことで、世間的に変化が出てきました。残業といっても、夜やらないで朝早く行って仕事するという人も出て来た。朝であれば、仕事のはかどり方とかが違ったりする。朝であろと、夜であろうと、自分が動きやすい環境で仕事をするのがいいんではないでしょうか。

――最後にこれから残業をどうしていきたいですか?
残業のモチベーションを上げると本人のためになるし、企業のためになるし、企業が回ればお金ができるし、お金が動けば日本も回る。みんなが早く帰ることになれば、町に飲みに行くこともできる。そうすればお金がぐるぐる回るので経済も明るくなる。みんな本当は早く帰りたいので人も明るくなる。そういうことで結果的に日本が明るくなればいいと思います。

日本残業協会のサイトにある残業検定に合格すると「ザギョニスタ」の称号が与えられ名刺も作れるそう。残業効率を上げるためにチャレンジしてみては?
(カシハラ@姐御)